我が家にようこそ
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「病院?」
「医者のいる所だ」
本を読んでいた半兵衛にそう告げた。
「急にどうしたんだい?」
「あんたは病気持ちだろう」
「そうだけど…勝手に治療しに行ってもいいのかい?例の少年が止めにきたりは…」
「今止めに現れねぇんなら大丈夫だろ」
朱雀はチラリとテレビを見た。
「でも…」
「俺は目の前で咳き込まれるのは嫌なんだ」
そう告げて半兵衛から本を取り上げた。
「行くぞ」
「ふう…わかったよ」
半兵衛はフフッと笑い立ち上がった。
お抱えと言っても過言ではない行き付けの病院へ着くと、看護婦は直ぐに個室へと2人を案内した。
「こんにちは。今日はどうなさったのですかな?」
好好爺に笑顔を向ける。
「この人を見て欲しい。多分肺の病気だ」
「ふむ…」
医者の前に半兵衛を座らせると診察が始まる。
病状、発症を感じた時期、今までどうしていたか。
半兵衛の話を聞きながら聴診で様子を見ていた医者の手が止まる。
「治るのか」
「只の肺炎じゃ。儂にかかればすぐに治る」
医者は笑った。
「手術はまだ必要無さそうですな、一旦薬で様子を見ましょう」
「わかった」
朱雀は好好爺に礼を言い、半兵衛を連れて病院を出た。
直ぐには家に戻らず、植物園に向かった。
半兵衛は何故ここに来たのか解っていなかったが、それなりに楽しんでいた。
「凄いものだね、今の日の本は。世界各国の植物を一ヶ所に集めることが出来るなんてね」
「まぁ…昔と比べたらそうだな」
あまり会話は続かず、直ぐに沈黙が流れるが特に苦痛ではなかった。
朱雀は元々無口な方だし半兵衛は今珍しい植物達に意識が向いている。
会話は無くとも通じ合っている、そんな雰囲気を醸し出す位には仲が良さそうに見える2人組。
「綺麗なカップル…」
そんな2人を見て、誰かが呟いた。
「カップル…?とはなんだい?」
「………」
確かに朱雀も半兵衛は見方によれば女に見えなくもないが…
朱雀は頭を抱えた後、きょとんとする半兵衛を連れてその場を離れた。
「急にどうしたんだい?」
「いや、別に…」
自宅に戻ってきてからも朱雀は何も教えてくれなかった。
半兵衛は深く追及せず、礼を言って部屋に戻って言った。
普段は何も思わないが急にあんな事を言われて驚いた。
朱雀が溜め息を吐いてソファーに沈み込んだ時、リビングの扉が開いた。
特に気にせず目を瞑っているとキシッ…とソファーが鳴り隣に誰かが座った。
「朱雀君」
呼ばれて目を開き、チラリと見ればほんのり顔の赤い半兵衛と視線が合った。
「カップルって…恋仲…恋人のことなんだね」
照れ臭そうに半兵衛が言うもんだからなぜかこっちも照れ臭くなって「あぁ…」と視線を反らしながら答えた。
END 病気を治しに