我が家にようこそ
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今日は朝から嫌な予感がしてたんだ。
案の定、車は渋滞に捕まるし、機材トラブルが起きるし、ギターとベースの弦は切れ、ドラムのスティックも折れたり。
とにかく朝からツいてなかった。
疲れた体を癒やすために借りてるマンションに寄った時、嫌な予感が何故したのか理由が分かった。
「…………」
少し広いリビングには、数人の男が倒れていたのだ。
(蒼に茶に紅に迷彩…)
カラフルな服装の男達は、空き巣にしてはおかしい。
なんせ気絶してるし。
そもそも服装もおかしい。
まるで戦国時代から来たかのような服装…
「???」
そんな考え事をしてると、彼等をどこかで見たような気がした。
(確か…どっかの女の子が見せてくれたような)
とりあえず武器のような物を持ってない彼等を眺める。
「っ……」
その時、1人の男が目を覚まし、パチっと視線が合った。
「………」
「………」
目を覚ましたのは迷彩柄の男で、何が起きたのかわかってない彼は朱雀をジッと見たままだった。
「…あんた誰?」
「…!!!」
朱雀が言葉を発すると、男はハッとしたように懐に手を伸ばした。
が、一瞬何かに戸惑った後、黒い煙を残して消えた。
「!?」
「どこ見てんの?」
すぐ後ろで声がしたかと思うと、首には手が回されており、頸動脈に指が食い込む。
「…俺を殺しに来たのか」
「は?何言ってんの?俺様達を殺そうとしてるのはあんただろ?」
背後にいるであろう迷彩服の男に気を取られていたせいか、残りの3人が起き上がった事に気付くのが遅れた。
「Ah…?此処はどこだ?」
「小十郎にもわかりませぬ…」
「ぬっ!!佐助!その御仁は?」
「今聞いてるところ」
紅い男は佐助と呼んだ迷彩に問いかけた。
紅い男の声に蒼と茶は周りを見渡した。
「真田幸村に猿もいやがるのか」
「それと謎の男…」
辺りにピリピリと緊張した空気が広がる。
「なぁ…お前ら誰?」
そんな空気をものともせずに話したのは朱雀で、どっかで見たことあるけど思い出せない人物達を見渡す。
「オレらの事知らないのか?」
「知らないというか…分からない。どっかで見たような気もする」
淡々と話す朱雀に苛ついたのか、首に回る手の力が少し強くなった。
「つっ…」
「あんた、とっとと目的吐かないと、このまま死ぬよ?」
所謂殺気と言うものを当てられ、気分が悪くなる。
「ちっ…吐くも、なにも…お前らが勝手に俺の家にいたんだろ。不法侵入」
「なっ…!?」
「某は不法侵入など…!!」
「あんた、煩い。てかさ、ほんとあんたら誰?どこの人?」
朱雀は訝しげな表情で問いかける。
「本気で知らないようだな」
「あぁ、知らない」
「HA!!中々ふざけた野郎だな…オレは奥州筆頭伊達政宗だ」
「………はぁ?」
ふざけてるのはお前らだろ。
(少なくとも、俺の知ってる伊達政宗はこんな奴じゃねえ)
昔読んだ本の内容に書かれていた伊達政宗はこんなんじゃなかった。
考えこんでいると、目の前に自称伊達政宗がいた。
「What your name?」
「…神無月朱雀」
「Oh~氏があるうえに南蛮語までわかんのか」
面白そうに笑う彼を見た後、ずっとこっちを睨む、“その”道の人にしか見えない男を見る。
「あんたが伊達政宗なら、小十郎と自分を呼んだ貴方は片倉小十郎か?」
「!!!」
「紅いあんたはさっき真田幸村って言われてて、後1人に向かって佐助って呼びかけたから…今俺の首締めてんのは忍の猿飛佐助か?」
「ちょっとあんた…ほんと何者?」
力がまた強くなる。
(流石に苦しいな)
危機感のないまま口を開く。
「あん、たら…戦国武将には大変残念なお知らせだ」
「残念なお知らせとは?」
「此処は…あんたらがいた世界とは別の世界。ついでに言うなら何百年も後の世界だ」
思い出した、彼等はこのマンションのリビングにあるゲームのキャラクター。
興味はないが無理やり渡された。
(あぁ、驚いてる)
ポカーンとしてる彼等の表情はきっと忘れないだろう。
佐助の力も少し緩んだ。
「何言ってやがる」
「片倉さん、俺は事実を言ってます。嘘だと思うなら…そこの布を捲って外を見てください」
窓を指差すと、大人しく従う。
窓の外を見た3人はあまりの驚きに声が出なかった。
「…佐助、その御仁の話は本当のようだ」
「…マジで?」
ふざけた様子の佐助を、振り返った幸村は見た。
「その方と話をする必要があるみたいだ。とりあえず、手を離すでござる」
「でも旦那「佐助」へいへーい」
佐助は言われた通り手を離した。
朱雀は首を摩ると、ため息を吐きながらソファーに座った。
「あんたらも聞きたい事あるだろうし、俺も聞きたい事がある」
彼等はパラレルワールドなるものからトリップして来たのは明確だ。
ただ、原因が分からない。
「とりあえず…座ってくれないか?」
目の前のソファーに4人を促す。
警戒したまま政宗と幸村はソファーに座り、小十郎と佐助は床に座ろうとした。
「あ、待て」
2人を止めると、座っても大丈夫なクッションを渡す。
「その上座れ」
「ありがとね~」
口調は軽いが警戒心バリバリの佐助が座る。
小十郎も座ったところで、口を開いた。
「まずは、今あんたらに起きてる現象の話をしよう」
ジッとこっちを4人が見る。
「あんたらは今、トリップというものをしている」
朱雀は頭が痛くなり、こめかみを押さえた。
END 逆トリップ