我が家にようこそ
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「朱雀さん」
「なんだ」
「いいお天気ですね」
「そうだな」
「朱雀さん」
「なんだ」
「お茶飲みますか」
「あぁ」
「朱雀さ「さっきからなんなんだ」
何度も何度も自分を呼ぶ男をジロッと睨む。
「構っていただけないので、寂しくて」
「1人で遊んでいろ」
俺は忙しい。
ため息混じりに告げると光秀は残念だと言って笑った。
「ならば勝手に遊びます」
光秀はそう言ってソファーに座る朱雀の隣に座る。
するりと朱雀の手に自分の指を絡めた。
「おい」
「綺麗な手ですね」
光秀はうっとりと朱雀の手を見ている。
チラリと視線を移すが、自分の手は肉刺や胼胝があり決して綺麗ではない。
この男は何を言っているんだ。
視線を光秀に移すが、彼は頬を赤らめてただ朱雀の手を見ている。
「血に染まっていない、綺麗な手…」
あぁ、そうゆう意味か。
朱雀は溜め息を吐いた。
「どうしました?」
「いや、別に」
それより離せと手を引く。
簡単に解放された手。
光秀は名残惜しそうに見ていた。
「…俺の手は血に染まっていないが汚い」
「……」
「しかし、お前の手は血に染まっていても綺麗だな」
朱雀の言葉に目を見開き、光秀は面白そうに笑い出した。
「フフッ…朱雀さんは面白いですねぇ」
「そうかよ」
「私の手が綺麗だなんて」
自分の手を上に向けて翳す光秀は笑っていた。
「………何をしているんだい?」
そこへタイミング良くやって来た半兵衛と三成は怪訝そうに光秀を見た。
「私の手、綺麗だそうですよ」
「貴様の手?」
訳が解らないと顔を顰める三成。
「血に染まっている私の手を、綺麗だと」
「傷はないだろう。そういった意味で言ったんだ」
溜め息を再び吐いて半兵衛と三成を見た。
「朱雀さん」
「なんだ…っておい」
膝の上に乗られて驚いていると、首に腕を回される。
「どうやら貴方に惚れてしまったようです」
「はぁ?」
綺麗だと私の手を綺麗な目で見つめる貴方に。
「ふふっ」
驚く朱雀の口の端に口付けると、半兵衛と三成が息を飲んだ。
「き、き、貴様!!何している!!」
「何って…接吻ですよ」
シレッと答えた光秀。
「君が心酔しているのは織田だけじゃなかったのかい?」
「それとこれとは別です」
ふふっと笑った光秀に朱雀はハッとした。
「おい明智」
「ですから、光秀とおよ「どけ」
此方に来てから見せた事も無いような鋭い目で睨まれる。
光秀は目を丸くし、膝の上から降りた。
「お前のせいで…楽譜がぐしゃぐしゃだ」
「楽譜?」
確かに朱雀の膝の上にはぐしゃぐしゃになった紙が数枚。
「俺は仕事してんだ。忙しいって言ったよな」
「は…い」
朱雀は楽譜を綺麗に伸ばしながら光秀を見た。
「ねぇ朱雀君」
「なんだ」
「口付けられた事より…その楽譜というのをぐしゃぐしゃにされて怒っているのかい?」
「当たり前だ」
今度は半兵衛が目を丸くした。
「貴様には貞操観念はないのか!!」
「それぐらいある。だが俺の中では貞操観念よりも音楽のが大事なんだ」
声を上げた三成をチラリと見た。
「朱雀さん」
「なんだ」
「すみません」
「……次は邪魔するな」
ふぅと溜め息を吐き、頭をポンポンと撫でて立ち上がった。
「ちょっと部屋に籠る」
そう言った朱雀はもう怒っていなく、柔らかい笑みを浮かべていた。
「……懐が深いというかなんというか」
お人好しなのかな?
そう言った半兵衛に三成は頷いた。
END 優先事項