我が家にようこそ
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(疲れた…)
ツアーを終えたのは先日。
最後に訪れたライヴハウスから、朱雀はこの街へ車を1日走らせていた。
街へ着いてからはメンバーをそれぞれの自宅へ送り、最後にやっと自宅へ帰って来たのだ。
まだ朝も早い時間。
もしかしたら起きている奴もいるだろうが、寝ている奴もいるだろう。
朱雀はなるべく静かに家へ入り、直ぐ様一階の作業部屋へと足を運んだ。
防音になっている部屋に足を運び、扉を閉めてやっと力を抜いた。
ドサドサっと荷物を下ろすと、仮眠の為に置いていた布団を引っ張り、クルッと丸まった。
「朱雀…遅いね」
「…あぁ」
一方、リビングで椅子に座っているのは小十郎と佐助だった。
今日帰ってくると言った彼のために朝食を用意していたのだ。
庭では元就が太陽を幸せそうに眺め、その近くで小鳥と小太郎は戯れていた。
少し離れた道場からは鍛錬をする声が聞こえた。
「しかし…遅いよねぇ…」
ソワソワとした様子の佐助を、家の中に入って来た元就が鼻で笑った。
「少しくらい予定はずれるものよ…」
我はその様な失態は起こさぬがな。
そう言った元就にカチンとした佐助だったが、なんとか我慢した。
リビングを出て、トイレに行こうとした元就はフと廊下の奥の扉が開いているのに気付いた。
(彼処は…確か出入り禁止の部屋)
ならば何故開いているのだろう。
面倒に感じた元就だったが、家主の家に何かあって追い出されたら困る。
先にトイレに寄ってから、元就はその部屋に近づいた。
そっと隙間から中を覗くと、布団にくるまる何かを見つけた。
元就は中へ足を踏み込むと、そっと布団にくるまる塊を覗いた。
「………」
そこにいたのはスヤスヤと眠る朱雀だった。
(いつの間に…)
帰って来た気配など全然なかった。
あの駒共(猿飛と風魔)が気づかなかったのだ。
(しかし…我が一番はじめに気付いたとなると…)
彼に懐いている他の者共はさぞ悔しがるだろう。
ククッと笑うと、朱雀がもぞりと動くのが見えた。
「……誰だ?」
「………我ぞ」
別に返事などしなくてもよかった。
しかし、返事はもうしてしまった。
ムクリと起き上がった朱雀はジッと寝惚け眼で元就を見た。
「な、で…ここ…?」
何故ここにいるのか聞きたいのだろうが、呂律が上手く回らないのか途切れ途切れになる言葉。
元就は鼻で笑うと、彼を見た。
「扉が開いていた…不届き者が侵入したのかと思ってな」
「そ…ありがと」
普段見せない様な子供の様な笑みを浮かべ、朱雀は元就を引き寄せた。
「なっ!?」
「も少し…寝る…」
「ひ、1人で寝よ!!」
バタバタと元就は暴れるが、朱雀はびくともしない。
戦国武将をものともしない意外な力強さに、元就は疲れて溜め息を吐いた。
何度か抜け出そうと試みる内に、元就を眠気が襲い…
「…………すぅ」
そのまま眠ってしまった。
「ねぇ…いくら何でも遅すぎない?」
「そうだな…もう昼だ」
朝に彼は帰ると言っていたのに、未だ彼は帰ってこない。
何かあったのか、と不安になる。
「なぁ、毛利のやろう知らねぇか?」
リビングに顔を出したのは元親だった。
「あ?いねぇのか?」
「おう。部屋にも庭にもいねぇ。思い付くのは出入り禁止の部屋だけなんだけどよ…」
ポリポリと元親は頭を掻く。
「ふむ…行ってみるでござる」
「旦那!?」
ソファーから立ち上がった彼に佐助は声を上げた。
「もしかしたら毛利殿はそこにいるかもしれないでござる」
「そうかも知れないな。あの毛利だし」
慶次も立ち上がり、幸村にニッと笑いかけた。
「いた」
「いたね」
「だけど…どうゆう状況だ?」
「はれ、ムゴッ!!」
「だーり、ムグッ!!」
7人がやって来たその部屋では、朱雀と元就が1つの布団にくるまって眠っていた。
叫びそうだった幸村と政宗の口を小太郎が抑えた。
無言で佐助は朱雀に近づくと、その肩を揺すった。
「朱雀ちゃん、起きて」
「ん…」
揺さぶられて朱雀はゆっくり目を覚ました。
「さ…すけ?」
「うん、そう。お帰り」
「ただい…ま」
そう言いながら朱雀が元就から腕を離した。
その瞬間を狙っていたかのように、佐助は元就を引っ張って朱雀から一歩下がった。
「まったく…」
溜め息を吐く佐助に、幸村はハテナを浮かべた。
「どうしたでござるか?」
「朱雀ちゃん、寝惚けてると人を引き込む癖があるみたいで…今回は毛利の旦那が引き込まれたみたい」
元就の肩を揺らしながら佐助は淡々とそう言った。
「ほら、旦那も引き込まれた事あるでしょ?」
「そう言われれば…」
「全く…darlingはとんだplayboyだぜ…」
「ぷれいぼうい、ってなんだ?」
「…色男、とでも思っとけ」
そう言って政宗も1つ溜め息を吐いた。
END 一息?