我が家にようこそ
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「…………」
俺は帰って来る家を間違えたのだろうか。
家に入ると気まずそうな表情で佐助と小十郎が出迎えてくれた。
そんな2人を見ながらリビングへ行くと、そこにも気まずそうに立つ政宗、幸村、慶次。
3人は何かを隠すように立っていた。
「そこ、退け」
3人にそう告げると、大人しく横に動いた。
「………なに、コレ」
3人が隠す様に立っていたのは、正座するこれまた3人の男達を隠す為だろう。
「今朝テレビが光って…」
「例の神様とやらが映って…」
「次にコイツラが…」
目をキョロキョロさせる3人を後目に、座る3人の前に自分も座った。
「多分聞いてると思うけど、俺は神無月朱雀。あんたらは?」
「俺は長曽我部元親だ!!!」
「……毛利元就ぞ」
「…………!!!」
上から白銀の眼帯男、緑の某野菜を連想させる格好の男、顔の半分以上が兜で隠れ一生懸命口をパクパクさせる男。
「……慶次、そこの紙とペンとって」
「はいよ」
慶次から紙とペンを受け取り、兜を被る男に渡した。
「俺、読唇術とか出来ないから、とりあえず名前書いて」
そう言うと、偉く達筆な字で彼は名を書いた。
「風魔……小太郎?」
「……!!」
「朱雀ちゃん読めたの!?」
「なんとなく」
必死に頷く小太郎の頭をポンポンと撫でた。
「何故風魔殿が話せないと分かったで御座るか?」
「勘」
流石darlingと言う政宗を無視し、3人を見た。
「自称神さんの話聞いてるなら、ここでの暮らし方も何となくわかるか?」
「あぁ。その自称神さんの力でこっちでの生活の仕方は粗方頭に入ってる」
元親はそう言いながら自分の頭をトントンと叩いた。
「そうか(どうせなら着替えとかも用意してくれたらよかったのに)」
朱雀は立ち上がり、政宗と幸村を見た。
「そこの2人は3人を衣装部屋に連れて行って着替えさせてきて」
「あぁ」
「あいわかった!!」
3人を引き連れて2人は出ていった。
「小十郎と佐助は俺に飯作ってほしいんだけど」
「わかった」
「任せて!!」
また2人いなくなり、残された慶次は朱雀を見た。
「俺は何したらいいんだい?」
「飯出来るまで俺の話し相手」
朱雀がニッと笑うと、慶次もつられて笑った。
「………なぁ、これ何」
困惑した表情で周りを見るのは朱雀。
テーブルに座って食事をする彼の足元には現代の服に着替え、兜を外したものの長い前髪で顔の見えない風魔小太郎が跪いていた。
「ふん、家主である貴様に忠誠心を見せているのだ」
鼻で笑い、優雅に紅茶を飲む毛利元就がそう言った。
「………そうゆうの要らない、ここは身分も何もないのだから、好きにしたらいい」
朱雀がそう言うと、小太郎は凄い勢いで首を振り、朱雀の膝にちょこんと手を乗せた。
「……!」
(犬みてぇ…)
意外と柔らかい髪を思わずわしゃわしゃと撫でた。
一瞬驚いた様子の小太郎だったが、直ぐに嬉しそうな雰囲気に変わった。
「俺に忠誠とかは誓わなくていいが…あんたの好きにしたらいいよ」
その言葉に小太郎は何度も頷いた。
「で…そこのからくりバカ」
「なっ…俺の事か!?」
急に声をかけられた元親は興味津々に眺めていたテレビから視線を此方に向けた。
「そうだ。この家の物を何か1つでも解体してみろ、ボコボコにした後ちょんぎってから向こうに送り返すからな」
「ちょ、ちょんぎるって…何を」
ニィっと笑うと、元親は顔を真っ青にした。
「わかったか?」
「わ、わかった…」
何度も頷く元親にククッと笑った。
「ただ…言い付けを守れるなら解体してもいい格繰りやるから、いい子にしてろ」
「おう!!」
返事してテレビに視線を戻した彼から、己の目の前で優雅に茶を飲む彼を見る。
「あんたは…まぁ、特にないかな」
「ふん!当たり前ぞ」
「強いて言うなら、最低限の自分の事は自分でしろよな」
紅茶入れたり、菓子を出したり。
「なぜ我がそのような事を…」
「守れないなら自称神さんにあんたを引き取ってもらう」
そう言うと、彼はこの世界に興味があるのか、また鼻を鳴らして紅茶を入れに台所へ向かった。
「毛利を黙らせるとは…」
唖然とした様子でこっちを見る元親に視線を移す。
「あんたは尻に引かれてそうだな…」
「な、なんでわかったんだ!?」
「…勘」
そう言うと、他の皆が笑っていた。
元親はポリポリと頬を掻いてテレビに再び食いついた。
「ところで、次はいつ家を出るんだ?」
風呂上がり、ソファーに座ってのんびりしていると隣に座りながら水を差し出してくる小十郎がそう聞いた。
「明日の昼すぎ」
「そうか…随分忙しいんだな」
「まぁな。ツアーが終われば暫くはゆっくり出来るさ」
ククッと笑い、テレビゲームに熱中する面々に視線を移した。
「留守の間、よろしくな」
「あぁ」
「小太郎は着いて来たらダメだからな」
「……!!」
いつの間にか足元にちょこんと座っていた小太郎にそう告げた。
嫌嫌と首を振って腰にギュッと抱きついてくる小太郎に政宗が声を荒げた。
「おい風魔!!俺のdarlingから離れやがれ!!」
ゲームのコントローラを投げ出し、政宗が駆け寄ってきた。
首に手を回し抱きついてくる政宗に驚いていると、これまた驚くべき人物に抱きつかれた。
「ま、政宗殿も離れるで御座る!!!//」
顔を真っ赤にしながら抱きついてくる幸村だった。
それをニヤニヤして見ていた慶次もちょこちょこと寄ってきた。
「やっぱり恋敵がいるか~」
「どうゆう事?」
「俺も朱雀の事好いてるからね」
「ちょ!!前田の旦那まで!?」
何が何だか分からない。
とりあえず、何故俺は計4人の男に抱きつかれているのだろうか。
ポカーンと此方を見る元親と我関せずとする元就を見た。
「お前ら…助けろ」
キッと睨むと元親は慌てて立ち上がり、元就は溜め息を吐いた。
それを見ているといきなり浮遊感に襲われた。
「いい加減にしろ。朱雀が困っているだろう」
どうやら小十郎が助けてくれたみたいだ。
「サンキュー」
「さんきゅー?」
「ありがとうって意味だ」
助けてくれた小十郎に微笑んだ。
小十郎は照れ臭そうに頬を掻いてそっぽ向いた。
「そこでいい雰囲気作るんじゃねぇよ!!」
ムッとする政宗に呆れた様に溜め息を吐いた。
「とりあえず、留守中は頼んだぜ」
「…あぁ」
頷いた小十郎はどこか疲れた様子だった。
END ツアー中の悲劇