伍
名前変更
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「私に何か用ですか…?忍のお兄さん?」
クナイを投げると、それをパシッと受け取る青年が現れた。
「バレた?」
「序でに言いますと、後ろで固まっている少年も…」
桜の言葉に青年は頭を抱えた。
「旦那~バレてるって」
「う、うむ…」
青年が背後に声をかけると、全体的に赤い青年が出てきた。
(六文銭…真田幸村…か?)
どこかギクシャクした様子の真田幸村(仮)を見た後、顔にペイントを施し、迷彩柄の服をきた青年を見た。
「一体私に何用でしょうか?」
「いや~実は先日、山賊を一発で倒すただ者では無さそうな女を見たと聞いた者で…小田原に来た序でに見てみようかと」
その女ってアンタだろ?と青年は笑いながら言った。
「仮にそうだとしたら…私をどうなさるのですか?」
「お館様の命により、武田へ連れて行くでござる!!!」
大声で話し出した少年に、忍の青年は頭を抱えた。
「旦那…敵地で大声でそんな事言ったらダメだって何回も言ってるでしょ!!!!」
真田幸村(仮)を怒鳴りつける青年を見て思わず「おかん…」と呟いていた。
「おお!そなたもそう思われるか!」
「え?」
真田幸村(仮)が爛々とした表情で手を握って見詰めて来たのでジッと見返すと、その顔は段々と赤く染まっていった。
「そ…その…」
「貴方、
クスクスっと笑うと、青年が近づいてきた。
「ちょっと、旦那から離れてくれる?」
「離れたくても彼が手を離してくれないので…」
首に、持っていたクナイをそのまま突き付けてくる青年を見て、微笑んだ。
「あんた…肝が据わりすぎ」
「よく言われます」
ニッコリ笑うと、青年はクナイを下ろし、固まったままの真田幸村(仮)の手を離してくれた。
「さて、この後はどういうご予定で?」
「とりあえず、一緒に来てもらいたいな」
笑う青年から素早く離れると同時に、風が吹いた。
「なっ…!?」
「………」
「あら…」
驚く青年と桜の間に立つように、彼はいた。
「小太郎…来てくれたの?」
「………」
小太郎は返事の代わりに忍刀を手に持った。
「殺る気か」
大型手裏剣を構えながら青年は小太郎を見た。
「さ、佐助!!戦いに来た訳では無いぞ!!!」
「小太郎、大丈夫だから落ちついて」
忍二人を落ち着かす為に二人で声をかける。
「佐助!!!」
「こた!」
自分より少し背の高い小太郎をジッと見上げる。
「……(ちっ)」
(今舌打ちしやがったな)
それでも刀を下ろした彼に微笑んだ。
「ま、確かに戦いに来た訳じゃないからねぇ~」
佐助も手裏剣を下ろした。
「今回は唯の様子見って事で…帰って頂けないですか?」
ニコリと笑い、小太郎に視線で二人の名前を尋ねる。
(甲斐武田の真田幸村とその忍猿飛佐助)
(ありがと)
視線だけで会話した後、桜は踵を返した。
「それでは、またお会いできたらいいですね…真田幸村様に猿飛佐助様?」
フフッと笑った桜に二人が驚いているうちに、桜と小太郎は一瞬で消えてしまった。
「小太郎、下ろしてーや」
「………」
小太郎に抱えられてあの場を離れ、城に戻ってきた後も小太郎は下ろしてくれなかった。
「なぁ、小太郎~」
「お前はもう城下に出るな」
「はっ!?」
突然の言葉に驚く。
「俺の情報でも流れ出したんか?」
「あぁ。だから甲斐のやつらが此処に来た」
「因みにどんな情報なん?」
「……北条氏政を山賊から助けた屈強で見目麗しい女がそのまま小田原城に住んでいる」
(女…か)
まぁ、こんな姿だし、別にいいが。
「まぁ、それはわかった。俺を見に小田原に忍やら武将やらが来るかも知れないから無駄に城下には行かない。これでええか?」
頷いた小太郎に少し笑い、桜は床を指差した。
「とりあえず…下ろしてや」
少し渋った様子の小太郎だったが、桜を下ろした。
「ふぅ…こんな格好やけど男やねんから、女みたいな扱いしやんでええで?」
「お前が女の格好や仕草話し方をしている時は、貴様は女だ」
フン、と鼻を鳴らす小太郎に少しムッとして桜は直ぐそこの部屋に小太郎を引き込んだ。
「なっ!?」
襖を閉めて起き上がろうとする小太郎を押さえつける。
「何を「確かに、俺は女の格好してるし、女の仕草も話し方も叩き込まれたから女扱いされてもええわ。でも本質は男…あんまり舐めた態度されてたら流石にむかつくわ~」
ククッと笑って首もとの服を引っ張り噛みついた。
「!?」
強めに吸い上げると、そこには紅い華が咲いた。
「あんまお痛をしてたら…犯すよ?」
「………」
黙り込む小太郎に満足して桜は立ち上がった。
「なーんてな」
小太郎に手を差し出す。
「じっちゃんとこ行こうぜ」
「………」
「小太郎?」
「…!?」
ぼーっとしていた小太郎は慌てて起き上がった。
「ククッ…口は生意気やけど、かわええな」
「なっ!?///」
顔を赤くした小太郎の手をとった。
「行こか」
桜は挙動不審な彼に笑いながら歩き出した。
(何で俺はこんなに…この感情は捨てたはずだ)
頭を痛くする小太郎の横では桜は呑気に歩いている。
(訳の分からない奴だ…)
だが、不思議と心地がいい。
小太郎は溜め息を吐き、一緒に氏政のもとへ向かった。
(俺の情報が流れ、他国の者達が現れた)
(なら、俺がやる事は……)
「じっちゃんの力になることだ」
桜はニッと笑った。
END 伍