天下は彼のモノ
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「やっぱり話せましたね」
満足そうに笑う桜とは正反対に、小太郎はムスッとした態度をとる。
「なぜ話せると分かった」
「長年の経験、と言っておきます。さて、それよりお伺いしたい事が…いつから私を付けてられてましたか?」
「お前が空から落ちてきた時」
あぁ、やっぱり…
(空から落ちてきたんや)
ズキっと痛む頭を抱える。
「風魔さん、信じる信じないは後に…私の話を聞いていただけませんか?」
桜は小太郎をジッと見つめた。
「と、いうわけです」
私は未来から来ました、その言葉から始まり、色々と話をした。
苗字があることも、平和な国だったことも。
話をしている間、小太郎は怪訝そうに桜を見ていた。
ふぅと一息つき、話し終えた桜は、恐る恐る小太郎を見る。
「やっぱり…信じられませんよね。こんな話」
「当たり前だ」
突き放す小太郎の言葉に傷つき、眉を下げた。
小太郎はなんとなくそんな表情を見ていたくなくて、口を開いた。
「何故お前から血の臭いがする」
小太郎の言葉に、ピクリと反応する。
「何を隠し持っている」
「そこまでわかりますか…」
「俺は忍だ」
それぐらいわかる。
キッと桜を睨むと、桜は諦めたように口を開いた。
「少々ナメてました」
桜は懐に手を入れ、スッと二本の鉄扇を取り出した。
「私が先程言った歌舞伎の仕事は表の仕事。本職は…」
鉄扇をバッと開き、小太郎を見た。
「殺し屋、というものをやらしてもらってます」
殺し屋の言葉に小太郎は警戒して距離をとろうとするが、それより早く桜が抑えつける。
暴れる小太郎に溜息を吐き、鳩尾を殴った。
「くっ…」
「少し落ち着いてもらえませんか?私は別に貴方を殺そうと思ってません。それより、助けてほしいのですよ」
鉄扇をジッと見てくる彼から手を離し、そのまま鉄扇を放り投げた。
「本当に貴方を殺そうなんて思ってませんから、とりあえずこの時代の話を聞かせてもらえませんか?」
「………」
だんまりを決めた彼に内心溜息を吐き、離れた。
「すみません、もういいです」
桜は鉄扇を拾い、洞穴の外に向かって歩く。
「とりあえず、もうちょっと体休めた方がいいですよ」
最後に振り返って微笑むと、強い風が吹いた。
小太郎は思わず顔を腕で庇ったあと、うっすらと目を開けると桜の姿は消えていた。
「!!!!」
それを小太郎は驚いた様子で見ていた。
END 参