拾四
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(嵐が去った…)
無事に同盟が組まれ、各々越後と甲斐に帰っていった。
騒がしかった城が静かになり一息ついていると、小太郎が慌てた様子で現れた。
「ん?どうしたんや小太郎」
「貴様、今すぐ隠れろ!!」
「は?」
何を言ってるんだと首を傾けていると、荷物の様に肩に抱えられる。
一瞬視界がぶれたかと思うと、暗い場所へ移動していた。
「ここどこやねんな」
「少し黙っていろ」
そう言って口を塞がれる。
(ほんまなんやねん)
訳が解らないが小太郎が焦っているため大人しく指示に従う。
下から光が差したのでそちらを見ると、さっき自分が座っていた座布団が見えた。
どうやら屋根裏にいるらしい。
ジッと下を見ていると、ドタドタと騒がしい足音がしたかと思えば、襖が勢いよく開いた。
「Hey!Honey!!!」
開かれた襖から現れたのは蒼い甲冑を身に纏った伊達政宗だった。
「あ?ここにいねぇのか…?」
ああ、小太郎が慌てていたのが分かった。
彼は凄く面倒くさそうだ。
大人しく息を潜めていると、また騒がしい足音がした。
「政宗様!!政宗様!!」
「ここだ小十郎」
そう言った政宗の背後に小十郎が現れた。
「政宗様!!」
「痛っ…何しやがる小十郎!!」
「何しやがるではございません!!執務を放りだしたかと思えば、急に相模へ行くと言い出し!!!」
くどくどと始まったお説教に桜はポカンとする。
(………面倒くせえ)
それに出れない。
他でやってくれないかと祈るが説教は止まらない。
「小太郎、あかん、あれ止まらんわ。もう出よ」
「…………」
少し渋った様子の小太郎だったが、決心したように頷いた。
小太郎に腕を掴まれると同時に視界が変わる。
一瞬暗くなったかと思えば目の前には氏政がいた。
「じっちゃん…どうしたんや」
隅の方でちょこんと座りお茶を飲む氏政。
着ている着物が若干乱れてるのは気のせいではないだろう。
まるで誰かに掴まれたような…
「…!!もしかして」
バッと小太郎を見ると、彼は頷いた。
「じっちゃん、伊達にやられたんやな、任せとき」
氏政の肩を掴んでそう言うと部屋を出る。
「こ、こりゃ桜!!風魔!桜を追うのじゃ!!」
「……!!」
氏政の命を受け、小太郎は姿を消した。
「重々、お気をつけなさるように」
「ああ、わかったわかった」
長ったらしい説教がようやく終わり、政宗は立ち上がる。
早速漆黒の風こと若葉桜を探しに行こうとしたが、直ぐに足を止めた。
目の前にいたからだ。
「Hey!Honey!!会いたかったぜ!!」
嬉々として近付いてくる政宗にニコリと微笑んだ後、掴みかかった。
「なっ!!」
「さっ、殿のもとへ参りましょうか」
にっこりと笑う桜の後ろには鬼が見え、小十郎も直ぐに反応は出来なかった。
「い、いでででで!!おい!!痛えよ!!おい!」
政宗の耳を掴んで桜は歩き出す。
後ろでギャーギャー騒ぐ政宗にはお構い無しだ。
その更に後ろで騒ぎ出した小十郎は小太郎に任せる。
「ちょ、離せよ!!」
目的の場所へ着いたと同時に言われた言葉に手を離す。
「いきなりなん「さあ伊達殿、我が軍の殿に無礼を働いた事についてどうぞ詫びて下さい」
にっこりと、それは男なら惚れてしまうような笑みで告げられたが、政宗は顔を真っ青にする。
「お、落ち着けよ…な?」
「貴方は言い訳などせず、自分の否を認めて詫びて下さい」
桜を見て自分の乳母の喜多を思い出し身震いすると、驚き固まる氏政を見た。
「いきなり、城に来て…更には掴みかかって問い詰めて…すまなかっ、申し訳ございませんでした」
桜の睨みを受け言葉を選び謝罪する。
氏政はきょとんとした後、盛大に笑うと政宗を許した。
その一連の流れを見た桜は満足そうに微笑むと、政宗に向かって座り頭を深く下げた。
「私の名は若葉桜、またの名を漆黒の風と申します。頭に血が上り、無礼を働いたことを深くお詫び致します。どうぞ、何なりとお申し付け下さい」
急に下手に出た桜に驚いていると、小十郎が慌ただしく足音たてながら部屋へ来た。
「漆黒の風!!テメェ政宗様になにし…て…」
怒りの形相を浮かべていた小十郎が訝しげに桜を見る。
「これはいったい、どのようなご状況で…?」
そう言った小十郎に、一連の流れが書かれた紙を小太郎が渡した。
小太郎に渡された紙を読み、状況を理解した小十郎は氏政に主の無礼を謝り、政宗へ説教を始めた。
小太郎により移動させられた桜は暢気にお茶を氏政と飲んでいた。
「長いのう…」
「……まだ終わりそうにないなぁ」
「………」
はぁ、と溜め息を吐くと、政宗達を見る。
「あのーお説教中申し訳ないんですけど、伊達様は何用で相模へ?」
「そんな事…決まってんだろ!!My Honeyに会いに来たんだよ!」
「政宗様!」
意気揚々と話し出した政宗だったが、小十郎に一喝される。
「あ~片倉様、そう怒らずに」
「しかしだな」
「こちらはもう誰も怒ってないですし…」
桜は笑うと茶を進める。
受け取ったのを確認してちらりと政宗を見た。
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