その五
名前変更
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「出番?」
「気付いてるかい?天竜人がいる。今の一味の資金じゃ到底奴等に勝てない」
ナミはムナカが指差した方を見て顔を青くした。
「じゃあ、どうしろと…!」
「大丈夫、僕の資金を出し切ろう」
「ムナカの?」
サンジの問いに頷くと、布は降ろされケイミーの姿が露になる。
それと同時に、天竜人のチャルロス聖が5億ベリーを提示した。
場が静かになり、誰もが彼の一人勝ちと思った時、静かな声が響いた。
「なら僕は6億だ」
その言葉に場はざわめく。
「なに!?なら一気に、10億だすえー!!!!!」
「なら20億」
チャルロス聖が提示する金額の上の金額を次々に提示するムナカ。
ナミとサンジがハラハラする中、チャルロス聖が遂にキレ、銃を取り出しムナカに向けた。
「ムキー!!!コイツゥ!!!!」
銃を撃つが、弾はムナカの体を通り抜け椅子に当たる、勿論ダメージはない。
「どうしましたチャルロス聖、もうこれ以上の金額を提示なさらないのなら、私があの人魚を頂きます」
見える口元だけをニヤリと歪ませ、前を見据えた。
父であるロズワード聖がチャルロス聖を治めていると、ルフィやハチが登場した。
折角丸く治まりかけていた会場が、魚人であるハチの登場と再びチャルロス聖が銃を撃った事とで騒がしくなった。
ハチを撃ったチャルロス聖は彼を奴隷にすると騒いだが、ルフィの怒りに触れた為、ぶん殴られた。
あの天竜人に手を出すなんて、海軍が来る、それだけで会場にいた人達はパニックに陥り、慌てて逃げ出そうとしているのに、怒ったロズワード聖が大将を呼んだことにより更に騒がしくなった。
慌てふためく人達を後目にハチに手当てを施し、ケイミーを見るといつの間に近付いたのか、チャルロス聖の妹のシャルリア宮がケイミーを撃とうとすぐ近くに立っていた。
すぐに止めようとしたが、急に泡を吹いて倒れたシャルリア宮。
誰が、と思ったが舞台奥から現れた男を見て笑い、納得した。
「すみませんそこの方、彼女の首の爆弾を外しておいて下さいませんか?」
「ああ、任せなさい」
そう言って男と笑いあった後、ナミ達を見た。
「ナミさん、サンジ君、ルフィ君は僕が必ず連れていくから、先に避難してください」
「避難って…どこに?!」
「シャクヤクさんのところへ」
探索前に寄ったバーへ行くように告げると、外に飛び出した。
外に出ると集まった海軍相手に暴れる、キッド海賊団船長のユースタス・キャプテン・キッド、そしてハートの海賊団の船長トラファルガー・ローと我らが船長に笑みが溢れた。
「ルフィ君、そろそろ退散しよう」
「ん?ムナカか?何で顔隠してんだ?」
ルフィの言葉にキッドやローだけではなく、海軍迄もが動きを止めた。
「水芸のムナカだと…!!」
「よし、おれ達の勝ちだ!!」
喜ぶ海軍を不思議に思うルフィに、分が悪いと冷や汗を流すキッドとロー、その姿を見てムナカは苦笑しながらフードを脱いだ。
「なあムナカ、何でアイツら喜んでんだ?」
「そうだね…きっと、僕が麦わらの一味の船に乗ってる事を知らないから、助っ人が来たと思っているんだよ、ほら僕、賞金稼ぎだし」
笑いながらそう言ったムナカに注目が集まり、悲鳴が上がった。
ムナカが麦わら一味の船に乗っている事は世間では広まっていないのだ。
海軍は一気に絶望に染まり、キッドとローは面白いと笑った。
「さてさて…
海軍と自分達の間に水の壁を作り上げると、ルフィを見る。
「ルフィ君、シャクヤクさんのところに行って。今ならあっちに走ったら皆に追いつくから」
「ムナカはどうすんだ?」
「君が見えなくなったら壁を解いて逃げるよ」
「んー分かった!ワリィな!!」
ルフィはニシシと笑い走り出した。
その姿が見えなくなるのを確認すると、ふふっと笑った。
「最高のコーティングお願いしますよ、シルバーズ・レイリーさん」
先ほどオークション会場で会った人物を思い出して笑い、まだこちらを見るルーキー二人に視線を向けた。
「君達も早く逃げるといい、大将が来る」
「ああ、そうさせてもらうぜ、水芸のムナカよ」
「まさか麦わら屋の船にいるとはな…」
何か言いながら去っていく二人を見送ると、壁を解いた。
「さあ、僕も逃げるかな」
「ま、待て!!!!」
歩き出したムナカを追い掛けるように海軍達は走り出す。
ムナカは苦笑して自分も走り出した。
海軍をなんとか振りきり、やっと皆の元へ向かえた時、衝撃の光景が目に入った。
「なっ…!?」
政府が作ったパシフィスタが壊され、少し離れた場所には戦う黄猿とレイリー、そして…王下七武海のくま。
さらにはボロボロの仲間達。
呆気にとられたが、直ぐに動き出した。
くまが動けないゾロに腕を振り上げていたからだ。
「やめっ…!!」
ムナカの声が届く前に、ゾロの姿は消えた。
くまの能力でどこかへ飛ばされてしまったのだ。
ゾロだけではなく、次々と仲間が…その中には勿論サンジも。
「サンジ君!!!」
ムナカの手が届く前に、その姿は消えた。
「サンジ…君…」
目を見開いて固まるムナカの目の前で、最後にルフィも姿を消された。
くまに敵意がないのは分かっていた。
しかし、何故こんなことをしたのか、直ぐには解らなかった。
「ムナカよ…お前は、どこに行きたい」
くまの手が目の前に迫り、ゆっくりと瞳を閉じた。
(くそっ!!!)
サンジは果てしなくイラつき、恐怖していた。
シャボンディでくまに襲われた後、よく解らない土地へ飛ばされていたのだ。
それだけではなく、女性を見かけ、追いかけてみるもそいつはオカマ。
カマバッカ王国という、オカマの国へ飛ばされてしまったのだ。
オカマから逃げ、撃退する日々を過ごしながら、なんとかこの島から出る方法を探すが、見つからない。
そんなある日、一人のオカマから新聞を奪った。
そこには、ルフィの兄であるエースの処刑の記事が。
(これは…)
間違いなく、うちの船長は阻止するべく、救出するべく動くだろう。
そして、ムナカも。
しかし、海軍もバカじゃない。
エースの所属する白ひげ海賊団が来ることも考え、厳重な警備をする。
そんなところに、ムナカ一人で行かせたくない。
でも、この島を今一人で出る術もない。
サンジは悔しくて、地面を殴った。
あれから数日、相変わらずオカマから逃げる日々のサンジを更なる絶望が襲った。
王国の女王とやらが帰還したのだ。
名をイワンコフ。
強いソイツを気にしながらも、エース処刑関連の新聞記事を読む。
エースと白ひげの死、黒ひげの暗躍、壊滅的な海軍。
オカマを倒しながら次々と情報を集め頭に入れていく。
ある日、ルフィに関する記事があった。
それを読み、ニヤリと笑った。
「二年後に、シャボンディ諸島だな」
ルフィの映った写真を見てそう呟いた。
これから二年、修行の日々が始まるだろう。
覚悟を決めるサンジの背後に、イワンコフが近付いてきた。
「ヴァナタ!!もしかして…黒足のサンジかしら?」
「あ、ああ…」
「手配書と全然違うじゃない!!!」
散々探したのにと怒るイワンコフを意味が解らないと見ていると、我に帰ったイワンコフが懐から何か取り出した。
「ムナカから預かってきたのよン」
「ムナカから!?」
出された手紙を慌てて受け取り、開封した。
『サンジ君、元気にしてるかい?大丈夫かい?』
自分を心配する文から始まる手紙に思わず笑みが浮かんだ。
手紙には、海軍対白ひげ海賊団の頂上戦争のこと、エースのこと、ルフィのこと等が書かれていた。
ルフィも相当荒れたみたいだが、ムナカも精神的に来ていたそうだ。
『今すぐにでも会いたい。けれど、大切な君を守れる為に力もつけたい』
だから、2年後にシャボンディ諸島で。
その言葉で締め括られた手紙を大切に懐へ納めた。
「ムナカ…」
大切な恋人を思い浮かべると、迫って来ていたオカマを撃退するべく蹴りを繰り出した。
END その五