その五
名前変更
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それからの日々はサンジにとって新しい事だらけだった。
ムナカがいる事により船の雰囲気も良くなったと思う。
勿論サンジも変わった。
一番の変わったところと言えば、メロメロになる時間が短くなった事だ。
女性に目が行っても、ムナカはただ優しく微笑むだけで、その姿を見るとムナカ以外に目が向かなくなるのだ。
女好きのサンジにとって、それが一番の変化だった。
勿論、困ってる女性は手助けするが、なんというか、厭らしい目で見なくなった。
相変わらず男に目もくれないが、自然とムナカを見てしまう。
相当ハマっているようだ。
相変わらず、好きになった理由は解らない。
でも、ハマっている。
皆でいるときと2人でいるときとは違う呼び方、笑顔、時たま出す甘い声色、その優しさ。
全部にハマっており、溺れていく。
抜け出せない気がしてサンジは身震いするが、それもいいかと思えてくる。
(随分なこった)
自嘲の笑みを浮かべると、ふと頭上に影が出来る。
「こんなところにいたのかい?」
「ムナカ」
名を呼べば嬉しそうに笑い、隣へ座る。
「久々の島なのに、探索に行かないのかい?」
「そうゆうムナカは?」
「僕は…サンジがいないとどこにいても楽しくないからなあ」
笑顔付きでそう言われ、顔が一気に熱くなる。
「お前な…」
「え?」
「いや…何でもない」
サンジは頭を振ると、ムナカを見た。
「そう言えば、この島を出た後はシャボンディ諸島だったよな」
「そうだよ?どうかした?」
魚人島を目指す一味は船をコーティングしてもらうため、シャボンディ諸島を目指していた。
レイリーというコーティング職人へ会うためだ。
その話をしたとき、どこか含んだ笑みをムナカは浮かべていたが、今はそれより気になる事がある。
「シャボンディ諸島ってよ…その…テーマパーク、みたいなとこ、あるんだよな…?」
「うん、あるよ。一緒に行こうね」
サンジ君と回るのが楽しみで仕方ない。
そう言って笑うムナカにサンジは顔が真っ赤になりながらも頷いた。
「その前に…この島も一緒に歩かないかい?」
立ち上がって笑うムナカに続き、サンジも立ち上がる。
2人の一番の共通点は料理な為、島でデートをするときは主に食べ歩きになる。
勿論、今日もそうだと思っていたサンジだが、どうやら違うようだ。
「今日は、僕の買い物に付き合ってくれない?」
「ああ、いいぜ」
2人揃って歩きだし、買い物とやらを始める。
アクセサリーショップや露店、色々な場所を見ては「ん~」と悩み、次の店へ。
陽も落ちてきたころ、漸く気に入った店へが見つかり、そこで何かをムナカは購入した。
「ごめんね、色々と付き合わせちゃって」
「いや、別にいい」
「お礼にご飯でも奢るよ」
「いや、だから別に」
(普通に誘ってくれたら良いのに)
サンジはそう思ってわざと断るが、人差し指を唇に当てられ、話すのを遮られた。
「ごめんねサンジ、言い方を変えるよ。僕がサンジと2人でご飯食べたいから、食事に行こう?」
そう言って微笑むムナカに、頷いた。
「中々美味しいね」
「ああ、食材のバランスも最高だ」
普段なら酒場に行くが、今日はバーへとやって来た。
ムナカが珍しく自分の意見を言ったからそのまま着いて来たが、来てから後悔した。
ご飯は美味しい、飲み物も美味い、ただ照明が不味かった。
暗めの照明により、いつもよりムナカが色っぽく見えるのだ。
(ヤバイ)
凄く照れくさくて、動きがぎこちなくなる。
目の前の料理に意識を集中させようとした時、ムナカに名を呼ばれた。
「サンジ」
「ん?」
「目、瞑って」
突然の要求に頭がパニックになる。
(まさか…キス…か?)
あれから数える程度にしか唇は合わせてないが、全部人がいないところでだ(一味には薄々気付かれてるが、勿論船長と船医以外)
こんな人のいる所でだなんて経験なく、どうしようかと頭をフル回転させていると、ムナカがクスクスと笑った。
「サンジ、何もしないから、素直に目を瞑ってごらん?」
「う…わかった」
サンジは恐る恐る瞳を閉じた。
肩に触れた感触に、一瞬ピクリと震えたが、直ぐに感触は消えた。
「目、開けていいよ」
その言葉にゆっくり目を開くと、満足そうに笑うムナカが視界に広がり、ドキリとした。
「うん、似合ってる」
「え?」
「ネックレス」
言われて首の辺りを触ると、リングの通ったネックレスが付けられていた。
「それ、僕の気持ち。戦闘の邪魔にならないようにと思ってネックレスにしたんだけど…」
サンジは嬉しくて、微笑んだ。
「あり、がとな」
「………その笑顔はズルいなァ」
「え?ん!?」
唇に柔らかな感触が触れ、離れる。
「ごめんね、我慢出来なかった」
そう言って笑うムナカに、サンジは恨めしげな視線を向けるのだった。
シャボンディ諸島へ向かう途中、人魚のケイミーとの出会いやトビウオライダーズとの一悶着、更にはハチとの再会があったもの、無事にシャボンディ諸島へ辿り着いた。
シャボンディ諸島へ上陸する際、船に残る組と探索組と別れ、更にムナカとサンジがペアになって皆と別れた。
その組み合わせに驚くサンジだったが、ナミ達に「付き合ってるんでしょ?」と言われ、顔を真っ赤にした。
「気遣いありがとう」と笑うムナカに引かれ、サンジはやっと動きだした。
「サンジ君、楽しいね」
「ああ」
遊園地を二人で回る事が嬉しく、ムナカは笑う。
サンジもつられて笑う、ただ歩いてるだけだか、凄く楽しい。
「サンジ君と此処でデート出来て良かった」
ふふっと笑うムナカにサンジも笑い、煙草を取り出した時、持っていた子電伝虫が鳴った。
行動を共にしていたケイミーが拐われ、人間オークションへと出される様だ。
「ムナカ」
「ああ、行こう」
サンジに頷き、二人は大急ぎで走り出す。
オークション会場へ着くと、そこにはナミがおり、顔を合わせて頷くと中へ入った。
中に入るとすぐにオークションは始まった。
買われた人物や、奴隷になりたくないと自ら命を絶つもの、その光景をジッと見つめていると、布で仕切ったステージに人魚のシルエットが映し出された。
「次ね…必ずケイミーを助けるわよ」
「ああ、勿論だ」
「よし、僕の出番だね」
ムナカは何時も着ているマントのフードを被り、笑った。
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