そのニ
名前変更
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少し前に会った不思議な青年、彼は旅をしながら資金稼ぎに海賊を討伐しているみたいだが、こんな所で会うとは誰も思っていなかっただろう。
「おや、君達は…」
「ムナカじゃねえか!!!」
ルフィはニカッと笑ったが他の面々は口をあんぐりと開けた。
バラバラに壊滅した海賊船の中央、しかも水の上に彼が立っていたのだ。
彼の回りで蠢く海水はその船で賞金のかかっている人物をしっかり捕まえていた。
「オメェスッゲー強いんだなぁ!!!」
「それほどでもないよ」
ムナカが指を動かすと、海がゆっくり波打ち少し離れた所から小舟が現れた。
そこへ賞金首を乗せると舟は勝手に動き出した。
「勝手に舟動いてんぞ!」
「ああ、僕の能力だよ。水が海軍のいる所まで運んでくれる」
んーとムナカが伸びをすると腕を掴まれた。
「ん?うわっ!?」
急に宙に体が浮かんで驚いたが、すぐにキャッチされた。
驚いて下を見ると、床から出た腕にキャッチされていた。
「大丈夫かしら?」
「ああ、ありがとう。お姉さんは能力者だったね」
「ええ、ハナハナの実よ」
下ろしてもらい、回りを見る。
どうやら船の上に下ろされたようだ。
「ルフィ!!急に危ないでしょ!!!」
「一人で1つの海賊船潰してんだ、平気だろ」
ナミは怒ったがゾロが欠伸をしながら言った。
「うん、平気だからそんなに怒らなくて大丈夫だよ」
「おい!ナミさんにデレデレしてんじゃねぇぞ!!!」
「魅力的な女性だから難しいなあ」
フッと笑うとサンジに思いっきり睨まれたが気にせずルフィを見た。
「僕を船に乗せたのは何か用があっての事かい?」
「ああ。お前仲間になれよ」
突然の申し出に目を丸くする。
船員達も驚いてぽかんとした。
「えっと…僕に麦わらの一味になれと?」
「おう」
「随分唐突だね」
ポリポリと頬を掻いていると足に衝撃を感じた。
「おれ、ムナカと旅がしたいぞ!!」
「チョッパー君…」
僕のどこを気に入ったんだい?
頭にハテナを浮かべていると、今度は長い腕が巻き付いてきた。
「なあ、仲間になれよーお前の芸がもっと見たいぞ!!!」
ゴム人間であるルフィの腕により身動きが出来なくなる。
「困ったなぁ…」
「コラ!あんた達迷惑かけないの!」
ナミに二人を引き剥がしてもらい、一息吐く。
「まったく…ごめんなさいね」
「気にしてないから大丈夫だよ」
フフッと笑うとそうだ!とウソップが声をあげた。
「水が操れるって事は…魚をこの船の近くに誘導出来るか?!」
「ああ、勿論だよウソップ君」
「おい!お前ら!釣りだ!」
ルフィやチョッパー、フランキーを引き連れウソップは釣竿を取りに走った。
海水の動きを変化させ、魚を船の回りに集めておいてやる。
「ねえ、あなたの食べた実はなんて名前なのかしら?」
「あーんー」
ロビンの問い掛けに口ごもる。
「ヨホッ?何か不都合でも」
「ん~まぁ知ってる人の方が多いからいっか」
「知ってる人?」
ゾロは片眉を上げてムナカを見る。
「僕の食べた実はミズミズの実。水を操れるし自身も水になれる」
サンジに向けた片手がドロリと溶け水に変わった。
「うおっ!?」
「ははっ、驚かせちゃったかい?」
「当たり前だろ!!!」
怒るサンジにフフッと笑い、謝る。
一方、能力を聞いてきたロビンは驚いていた。
「君がそんなに驚くなんて…その事に僕が驚いたよ」
「だって、ミズミズの実なんて…本当にあるなんて」
「ねえロビン、なんでそんなに驚いてるの?」
「ミズミズの実はね、希少中の希少なんだ」
ムナカはナミにニコリと笑う。
「どういうことだ?」
「悪魔の実の能力者は海水を含むありとあらゆる水が弱点に変わる。だけどミズミズの実の弱点は海水だけ。ほとんど普通の人と同じなんだ」
「へー」
お風呂でさえも湯船に浸かると力が抜けてしまう能力者。
ムナカは海水に入らないかぎり普通にお風呂にも入れるしプールにも入ろうと思えば入れるのだ。
「だから希少…ね」
「まあ、僕としては風呂よりも海に入りたいんだけどね…残念だ」
眉を下げてムナカは笑った。
「ねえ、あなたの訪れた島の話、教えてくれないかしら?」
「いいですよ」
話を変えようとしたロビンの誘いにムナカは快く答えた。
話し込んでいるうちに、日が沈みつつあった。
飯を食べていけとの誘いに甘えて今は料理が出来るのを待っている。
料理が好きだと言ったムナカはいきなり手伝いはしないものの、キッチンの椅子に座り、サンジを見ていた。
キラキラと尊敬の意を込められた眼差しは嫌な思いはしないもののなんせ女性を愛してやまないサンジ、男に見られていては落ち着かない。
居心地悪くしていると「あっ」とムナカが口を開いた。
「ごめんねサンジ君。居心地悪いよね」
「あ?いや、別に…」
「お邪魔しないように外にいるよ」
立ち上がって出ていったムナカをジッと見ていたがあまり気にせず手を動かした。
折角の客人だ、少し豪華にしてやるか。
サンジは笑みを浮かべた。
「うっひょー!!!!!スッゲーなサンジ!!」
食卓一杯に並ぶ豪華な料理の数々。
「少し豪華にするつもりが、全部完璧に仕上げてしまった…」
殆ど空になった食料庫の前でサンジは四つん這いに項垂れる。
「あの…ごめんねサンジ君、僕のせいだよね」
しゃがんでサンジの肩をポンと叩くと申し訳なくて謝る。
「あぁ…次の島に着いたときの出費が怖いわ…」
ナミもズーンと頭を抱えていた。
「ナミさん…ごめんね、あの、これ受け取ってくれないかな?」
出されたのはまたしてもお金が入った袋。
「え、ダメよ!」
「いいから」
有無を言わせない笑顔にナミは困った様に笑い、ありがたく受け取った。
「あ、それと…次に上陸予定の島ってここかい?」
見せられた地図に「ええ、そうよ」と答えると、首を振られた。
「ここには今海軍がいるから上陸しない方がいいよ」
「え!そうなのか!?」
「うん、今日僕が討伐した賞金首はこの島で引き渡され、賞金を貰う約束だから」
「これはありがてェ情報だな」
笑うフランキーの横でロビンがフフッと笑い、ムナカを見る。
「貴方、随分お人好しなのね」
「そう?」
「ええ、ワザワザ海賊に海軍の情報を教えて下さる方などいませんよ?」
「なーそれより早く飯食おうぜー」
ルフィが涎を垂らしながら言ったため、先ずは食事にすることにした。
賑やかな食事にムナカも自然と笑みが溢れる。
目の前にあるスープを一口飲むと、手を止める。
「………」
「ん?どうしたんだ?」
不思議そうに見てくるチョッパーには答えず、スープの皿を手にすると全て飲み干した。
「スッゴク美味しい…こんなに美味しいスープ、初めて飲んだよ!!!」
少し興奮気味で話すムナカに面々は驚いて手が止まったが、ルフィは相変わらず食べていた。
「だろっ!!サンジの飯はスッゲーうめェんだ!!!」
ニカッとルフィは笑う。
「こんな美味しい物が毎日食べれるなんて、幸せだね」
「仲間になれば毎日食えるぞー」
抜け目ない勧誘にフッと笑う。
「食事だけの為に仲間になるのもいいかもね」
「ならっ!!」
「でも…断っておくよ」
えー!!!と声をあげるルフィに笑い、ムナカは食事を再開する。
面々もハッとして食事を再開した。
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