君を思う
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「すっげー!!!」
ルフィは目を輝かせて叫んだ。
偶々皆で行動していた麦わら一味はルフィの視線の先を見た。
そこには人だかりが出来ており、中心には何か芸をしている人物がいた。
ルフィが注目しているのはその人物のようだ。
「あれ、どーやってんだ!!?」
スゲー!スゲー!と繰り返すルフィ。
ルフィを虜にする人物の回りには、ふよふよと蝶やら兎やら、犬や猫が浮いていた。
と言っても色は水色だったり黄色に緑、形状を見ていると液体で出来ているみたいだ。
水芸と言うものだろう。
彼が手を動かす度に蝶は舞い兎は跳ねる。
見に来ていた子供達の回りを犬や猫が走り回り子供達は楽しそうに笑う。
その和やかな雰囲気に一味達もほだされていた。
そうこう眺めていると小さなショーは終わりを告げ、次々とコインやら紙幣が飛ばされる。
犬や猫は投げたお金をキャッチすると、投げた持ち主に返却しに動く。
「皆様、はじめに言いました。お代は無用と」
ニコリと笑った青年に観客達は不満そうに言葉を溢すが、青年は「そうだ」と笑った。
「この町で一番の料理が食べれるお店と安い宿を教えてください」
そちらの方が助かります。
そう言った青年に人々は群がった。
「へーお代は無用だってよ」
「勿体無いわねー」
「お前な…」
ナミに呆れてウソップは溜め息を吐いた。
ロビンはその様子を見て笑っていたが「あら?」と声を漏らした。
「あ?どうしたロビン」
「ねえフランキー、船医さんがいないわ」
「チョッパーならあそこだ」
フランキーと話すロビンの前にいたゾロが指差した方向は青年がいる人だかりだった。
「ヨホホホホ!!チョッパーさんは握手をしてもらいに行ったみたいですよ?」
「チョッパーだけずりぃな!!おれも!!」
「今はやめとけ、後にしな」
今にも人だかりに突っ込んで行きそうなルフィをサンジは止めた。
その間に人だかりは解散し、残ったチョッパーと青年が握手しているのが見えた。
「喋るトナカイは初めて見たなあ、お名前は?」
「おれはチョッパーって言うんだぞ!!」
「チョッパー君か、よろしくね」
チョッパーを特に珍しがるわけでもなく、しゃがんだ状態で握手を交わす青年はフと思った。
「君はどこから来たんだい?」
「おれは海賊なんだぞ!!」
「海賊…?」
チョッパーを見て少し考えこんだ後、あぁ…と手をポンと叩いた。
「思い出した、君は麦わらの一味だね」
「知ってるのか?!」
「有名だからね。じゃあこっちを見ているのは君の仲間か」
少し離れた場所にいたルフィ達に青年は笑った。
それが合図になりルフィやウソップは青年に駆け寄り、さっきのはなんだどうやってるのかと質問をする。
落ち着きなさい!とナミに殴られた2人を見て青年は笑った。
「随分とパワフルなお姉さんだね」
「おい、ナミさんに惚れんじゃねえぞ」
グイッと前に出てきたサンジを見て青年は首を傾けた。
「君は黒足のサンジ君?」
「だったらなんだ」
「随分と…手配書と違うんだね」
青年は懐から紙の束を取り出した。
それらは全て手配書のようで、もしや…とそれぞれが戦闘準備に入る。
それに気付いた青年は手配書をなおすと微笑んだ。
「僕の名前はムナカ。しがない旅芸人してます。手配書を持っているのはちょっとした小遣い稼ぎの為」
戦う意思はないよと微笑む。
ルフィ達は警戒を解いたが、今だ警戒をする一部の面々に笑うと後ろに置いていたマントを羽織った。
「お前、どっか行くのか?」
「さっき教えてもらった料理店に行こうと思ってね」
「飯か!?」
キラキラと目を輝かすルフィにムナカは手を差し出した。
「一緒に行くかい?」
「おお!!」
ルフィはパシッと手を握ったが、ナミが慌ててルフィを止めた。
「バカ!そんなお金どこにあるのよ!!」
「え~でも飯…」
「僕がご馳走するよ。ここで君に会ったのも何かの縁だし」
ニコニコ笑うムナカにロビンは何かを感じた。
「あなた、船長さんの事よく知ってるみたいね?」
「ああ、彼のお祖父様やご兄弟によく出会すものでね」
「え!?じいちゃんとエースにか!?」
「話を今すぐしてあげたいけど、お腹が空いて限界なんだ」
先に食事にしても?
そう言ったムナカの手を引いてルフィは走り出した。
「全く…ルフィったら」
ナミは溜め息を吐きながらサラダを口にした。
ムナカは世界を回っているらしい。
目的が特にあるわけではないが、様々な島を訪れるのが好きなようだ。
ルフィの祖父、ガープを何故知っているのかと尋ねると、賞金首を捕まえて海軍に行ったときによく会い、そのうち仲良くなったそうだ。
兄であるエースとは旅の途中で彼個人や彼の所属する海賊団に何度も出会すから。
なぜルフィとの関係を知ってるのかというと、孫バカと弟バカの彼らがよく話すからだそうだ。
すっかりムナカに懐いたルフィに再び溜め息を吐いた。
「なあなあ、お前どうやって戦ってんだ?」
「ああ、それはね」
微笑んで彼は水の入ったグラスを指差した。
フイッと指を動かすと、中の水が動き出し、蝶となって羽ばたいた。
「僕は水が操れるんだ。これで戦ってるよ」
チョッパーの回りに蝶を飛ばしながら笑う。
「お前、能力者か?」
「うん、まあね」
ウソップの問い掛けに答えると、料理を口に運ぶ。
「何の実を食ったか、言えねえのか?」
ギロッと睨んできたゾロにきょとんとした後、首を振った。
「いや、言えるよ?ただね…」
懐中時計を取り出すと、また慌てて料理を口に含んだ。
「おい、何慌ててんだ?」
「んぐ…ふう。この後、海軍に呼ばれてるんだ。君達が見つかったら騒ぎになるだろ?」
だから早く別れないとね。
そう言って料理を平らげると、どこに持っていたのか驚くぐらい金の入った袋を取り出した。
「これで支払うといいよ。余った分は貰って」
「おい、こんな大金「今からまた海軍に賞金貰えるから大丈夫だよ」
じゃあまたどこかで会えたらいいね。
颯爽と出ていったムナカを、皆はぽかんと見送った。
((警戒してたおれがバカみてぇ))
サンジとゾロは同時に息を吐いた。
END その一
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