参ったピヨった
名前変更
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マルコが来てから早数ヶ月。
元々夏から秋・冬への季節の変わり目だったのもあり、一気に寒くなった。
ニット帽を被りマフラーに少し顔を埋めた鼻の赤いマルコは正に天使。
買い物帰り、手袋をした手を繋ぎながらのんびり歩く。
「今夜の鍋は美味いだろうな~」
「なんで?」
「寒いから」
笑ってマルコを抱き上げるとマルコは首に手を回した。
数ヶ月の間で彼はこの世界に完璧に対応し、今では(子供の)ある程度の読み書きも出来るしよく話し甘えるようにもなった。
そんなマルコに俺もすっかり骨抜きだ。
「それに、マルコが準備手伝ってくれるしな」
「うん!まる頑張るね!」
そう言えば呼び方もヒヨコちゃんからマルコに変わった。
可愛いからヒヨコちゃんでもよかったのだが「まるの名前ちゃんと呼んで…?」なんて言われたら素直に言うこと聞くしかない。
上機嫌で朝の戦隊アニメの歌を唄うマルコをパシャリと激写。
「よい!?」
突然近くで写真をとられて驚くマルコをもう一枚。
最近こうやってカメラを持ち歩き写真を撮る。
マルコとの思い出だ。
「びっくりしたよい!!」
「悪い悪い」
「気持ちが込もってない!」
「ごめんってば」
そう言って柔らかい頬に唇を押し当てるとマルコは照れ臭そうに笑った。
「ゆ、許してあげる」
「ありがと」
ルンルン気分で家に帰る。
手洗い嗽をするとさっそく料理の準備に変わる。
「マルコ隊員!!」
「はい!隊長!」
「お野菜全部洗ってくれたまえ」
「りょーかいだよい!!」
ウキウキと野菜を洗い出すマルコ。
ヒヨコ頭巾にヒヨコエプロン…可愛い。
特別ヒヨコを可愛いと思った事はないがマルコが付けるとスッゴク可愛い。
最早親馬鹿だわ。
笑みを浮かべながら湯を沸かす。
「隊長!洗い終わりました!」
「流石マルコ隊員仕事が早い。じゃあ湯が沸くまでたい「お野菜切りたい!!」
上目遣いで見られてしまえばノーと言えない。
(くそ…)
太智は溜め息を吐くと、マルコの後ろに立った。
「こっちは猫の手な」
マルコの手に自分の手を重ねる。
ゆっくり切るように言うと、マルコは指示通りにやる。
(大丈夫…か?)
太智は手を離す。
マルコは真剣に野菜を切っていく。
少しハラハラしながらも鍋の準備をしていく。
ほんの一瞬、ほんの一瞬目を離した時、マルコがガチャっと包丁を落とした。
「どうし…指切ったのか!?」
慌てる太智に対しマルコは力なく笑った。
「大丈夫だよい」
「何言って…」
太智の方に向けられた小さな手から蒼い炎が上がった。
「!?」
「ね?」
炎が消えると傷が消えていた。
「…ね?じゃない」
「太智…?」
怖い顔の太智にマルコは首を傾ける。
次の瞬間、額を指で弾かれ抱き締められた。
「傷は治るにしても痛みはあるだろ。痛いときは素直に言えって、言っただろうが」
その言葉にマルコは太智の服を握り締めた。
「い、痛かった…」
「そうだな。痛かったな」
頭をよしよしと撫でてやる。
抱き着いてくる小さな少年を太智はただ優しく抱き締めた。
(あ、鍋噴いてる)
(やっちまった!)
END 素直に