参ったピヨった
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ヒヨコちゃん基マルコをジッと見る。
ん~?と首を捻った後、とりあえず思ったことを聞いてみた。
「ヒヨコちゃん、何処から来た?」
太智の問いにマルコはビクリと体を震わせた。
途端、忙しくなる視線に太智は手を伸ばした。
「!?」
「ゆっくりでいいから、オジサンに教えてくれないか?」
なるべく柔らかく笑ってみる。
子供には笑顔で接するのが大事だと(上司に)言われた。
ぎこちなかったかもしれないが、それでもマルコは少し落ち着いたようなので効果はあったみたいだ。
「………た」
「ん?」
「逃げてたら、ここに、いたよい」
少し涙目のマルコは一瞬太智を見た後視線を反らした。
「何から?」
「かいぐん」
かいぐん?海軍か?
軍に追われるなんて何かしたのだろうか。
みすぼらしい格好のマルコはもしかしたら孤児で保護の為に追い掛けられたのかもしれない。
「まる、ちょっと目の前で転けただけなのに…!!」
目に溜まってたモノがブワッと溢れ出す。
「うっ、まる、悪くないのに…!!」
ワーッと泣き出したマルコに慌てる。
(え、え、どうしろと)
目の前でわんわん泣くマルコ。
太智は一つ溜め息を吐くと、そっと腕を伸ばした。
「怖かったんだな」
ギュッと抱き締めてやるとマルコは首に腕を回してきた。
そのまま泣くマルコの背中を一定のリズムで叩きながらあやす。
「大丈夫、今は追い掛けて来てないし、マルコは一人じゃない」
俺がいるだろ?
そう問い掛けるとマルコは段々と泣き止んだ。
「転ける前、なんかしてた?」
「ひっ…く、‘力’使った」
(力?)
太智は頭を捻る。
(力って…何だ?)
ああ、そういえばこの子供は突然現れたのだ。
「なぁヒヨコちゃん」
「?」
「ヒヨコちゃんの身の回りの話、言いたくない事は言わなくていいから話してくれ」
マルコは首を傾ける。
「まるの話?」
「そう。一緒にご飯は食ったけどお互いの事知らねぇだろ?」
太智は笑った。
それにマルコは頷いた。
(頭がいてー話だな)
海賊、悪魔の実、能力者。
俺が説明したテレビに釘付けのマルコをチラリと見る。
どうやら少年は異世界からの訪問者のようだ。
話を聞く限り、彼は能力者のように思えるが、それについて少年は何も言わないので追及しない。
しかしこれからどうしようか。
突然やって来た少年。
もしかしたらいきなり帰るかもしれないし暫く居るかもしれない。
それなら彼の生活用品が必要になる。
(買物…行くか)
んーと伸びをし、寝室へ戻る。
クローゼットを開き、適当な服を出す。
淡い水色のTシャツの上には薄めの白いパーカー、やや暗い紫のパンツを穿き、少しばかりアクセサリーを付ける。
服の裾を伸ばしてチェックしていると部屋と部屋を仕切る布の隙間から金が覗いていた。
「どうした?ヒヨコちゃん」
「っ…!!」
パタパタと駆け寄ってきたマルコはギュッと太智の足にしがみついた。
(か、可愛い…!!)
抱き上げて顔を見る。
「俺がいなくなったと思った?」
コクコクと頷くマルコの頭をわしゃわしゃっと撫でた。
「大丈夫、出掛ける準備してただけだ」
「おでかけ?」
「おう、ヒヨコちゃんの服買いに行くぞ」
そう言うと少年は酷く驚いた。
「まるの…服?」
「そっ」
「でも、まる、服あるよ!」
今着ている服を掴みながら言ったマルコに笑いかける。
「それはもうボロボロだ。それに一緒に住むなら何着か買っとかないとな」
一瞬の沈黙の後、こてんとマルコは首を傾けた。
「いっしょ?」
「そ、俺と一緒。ヒヨコちゃん行くとこないだろ?何れ帰る時まで、一緒」
その言葉に、マルコは首にギュッと腕を回して抱き着いてきた。
再び泣き始めたマルコの頭をぽんぽんと撫でた。
(行く宛の無いだろうヒヨコちゃんとの新たな暮らし)
END 増えた住居者