参ったピヨった
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「え?今なんて?」
「だから!!………ケーキ、作りたい…んだよ」
サッチは煙草をポロリと落とした。
パチパチと瞬きし、目を擦り、目の前の人物をぺたぺたと触る。
「なぁマルコ急にどうしたんだよ、悪いもんでも食ったか?」
「食ってねえよ」
イラッとしたマルコはサッチを殴ると、腕を組んでそっぽ向いた。
「太智の…誕生日なんだよ」
「おっ!いつだ?」
「…一週間後」
「なら、オヤジに報告して、盛大に祝ってやらねーとな!!!」
ニシシとサッチは笑うがマルコは難しい顔をしていた。
「どうした?」
「いや…わざわざ俺が作らなくてもサッチが作ればいいのかと思ってな」
「バカ野郎!」
突然怒鳴ったサッチにマルコは驚く。
急になんだとサッチを見ていると、ガシッと肩を掴まれた。
「いいか、大切なのは気持ちだ」
「お、おう」
「上手くいくか不安なんだろ?」
サッチの言葉に頷く。
「太智なら、味や見た目が万が一ダメでも喜んで食うよ。お前が作ったもんならな」
サッチの言葉にマルコは照れ臭そうに頬を掻いた。
「これから一週間、毎日特訓だな」
「おう」
珍しく頼りに見えたサッチに、マルコは笑った。
「今日もか…」
マルコが俺を避けている。
なぜかと聞かれても俺には心当たりなどない。
(マジでなに?)
オジサン泣いちゃうよ?そんなに避けられたら泣いちゃうよ?
しょげているとビスタが前方を歩いていた。
(う~気を紛らわそう)
太智はよし、と気合いを入れると駆け出した。
「ビスター!!!」
「ん?ああ太智か。どうした?」
「稽古つけて欲しいなと思って」
「おれにか?」
「おう。花剣のビスタに稽古つけて欲しい」
ニッと笑って剣を手にした。
「これからもこの船に乗らせてもらうんだ、少しでも強くなりたい」
「ほう…マルコのためにか?」
「うん」
ニヤニヤしながら聞いてきたビスタに頷くと、面食らった後、笑った。
「厳しくいくからなッ!!」
「よろしく頼むよ」
他愛ない事を話しながら甲板に出ると早速剣を手にした。
「しかし、なんでまた剣なんだ?銃の方が得意だろ?」
「ほら、弾が無くなったら肉弾戦に切り換えないといけないだろ?」
「おう、確かにそうだな。だけど海軍大将をはじめ色んな奴に鍛えられてたんだろ?」
「ん…まぁ…だけど鍛えて損はないだろ?」
「まァな」
ビスタも笑って剣を抜いた。
「オジサン弱いから死なない程度によろしくね~」
「言ってろよ」
ダッと二人は地を蹴った。
「さすがマルコだな…」
もうマスターしやがった。
サッチはククッと笑った。
凄く可愛らしいケーキを手にマルコは感動していた。
見た目は可愛いが味は甘さ控え目。
太智に合わせた味だ。
上手くいった事に満足してサッチを見た。
「ありがとうな」
「おうよ。頑張れよ」
マルコは片手を上げてキッチンを出た。
「おー!!ハルター!!!負けんなよ!!」
「太智!避けろ!今だ、反撃しろ!」
甲板は大いに盛り上がっていた。
太智がビスタと互角の勝負をしているとの話に次々と船員が集まり、お祭り状態になったのだ。
「くっ…」
「よっ…と、おらっ!!」
「うわっ!!!」
太智はハルタの剣を避けて足を払うと倒れたハルタに剣を向けた。
「ふう…オジサンの勝ちでいいかな?」
「ちっ…しょうがねェなー」
笑うハルタに手を差し伸べると、ハルタはその手をとった。
「うおー!!!!太智さんつえェ!!!」
「さすが海軍の化物共に鍛えられただけある!!」
わーわーと騒ぐ様子をマルコは遠くから笑って見ていた。
太智が皆に受け入れられ、慕われていく様子が見れて嬉しいのだ。
頃合いを見て彼に今日の夜は空けといてくれと伝えようと様子を見ていたが、それがいけなかった。
「太智さん!!」
「ん?」
「そういえば今日誕生日なんすよね?!」
「そういえば…そうだなぁ…」
また1つオジサンになったよと笑う太智の周りで船員達は祝いだ宴だと騒ぎだした。
(ヤバッ!!)
慌ててマルコは太智の予定を確保するべく動き出したが、それより先に響いた白ひげの宴の号令に崩れ落ちた。
やんややんやと騒がしい船。
宴だ飲めや騒げやと賑やかな連中に太智は囲まれていた。
次々と渡される酒を上手く断ったり少し飲んだり、次々にかけられる祝いの言葉に礼を言い目の前に積み上げられた山盛りの料理を太智はちみちみと食べていた。
しかし、用意された巨大なケーチには全く手をつけておらず、マルコはその様子を不思議そうに見ていた。
(もっと食って飲めばいいのに)
今日の記憶がぶっとんじまうくらいに。
マルコは持っていたビールをグッと飲み干すと、お代わりを直ぐさま手にする。
飲みすぎだと言われても関係ない。
飲まないとやってられない。
マルコはそれほど自分に苛立っていた。
もっと早く声をかけていたら今頃2人で過ごせたかもしれないのに。
ため息を吐いた後、ケーキを作っていた事を思い出した。
(処分するか…)
マルコは立ち上がると、食堂へ向かった。
2人で過ごしたかったな。
ケーキをあげたらどんな顔をしただろうか。
色々考えながら食堂へと入った時、腕を引かれた。
いったい誰だと振り返るとそこには太智がいた。
「太智!?なにしてんだよい」
「マルコが船内に戻るのが見えたから」
だから追い掛けてきた。
そう言って微笑んだ彼に胸がきゅうっとなった。
単純な自分にマルコはフと笑って、太智の胸を小突いた。
「主役がいなくちゃ宴にならないだろ」
「好き勝手に騒いでるから大丈夫だよ。そう言えば食堂になんの用だ?」
「…秘密だ」
「言うまでオジサン手を離してあげないぜ?」
ぎゅっと手を握られ、ジッとこちらを見る太智の手を振りほどけず、マルコはため息を吐いて手を握り返した。
「マルコ?」
無言で歩き出したマルコを不思議そうに見ていた太智は向かった先がキッチンだと気付いた。
「酒のお代わりか?」
「違うよい」
頭にハテナを浮かべる太智を椅子へ座らせると少し待つように伝えた。
普段は立ち入らないキッチンに入ると、皿を手にした。
それをジッと見つめ、覚悟を決めると太智のもとへ向かう。
太智はフとマルコを見て目を丸くした。
「それ…」
「おれから…太智に…」
机にケーキを置き、隣へ座る。
太智の視線はケーキとマルコを何度も往復する。
「マルコが作ってくれたのか?」
「………よい」
頬を赤らめて目を反らしたマルコをギュッと抱き締めた。
「やべぇ…ちょー嬉しい」
少し体を離すと、ちゅっとキスをする。
「食べてもいいか?」
「ああ…不味くても知らねえからな!!」
「マルコが作ったんだ。不味いなんてあり得ない」
太智はご機嫌でケーキにかぶりついた。
「うん、美味い。俺好みの味だし…俺への愛も感じるし…最高だ」
笑う 、太智に照れてマルコは視線を反らした。
「なあマルコ」
「なんだよ」
「祝ってくれねぇの?」
「甲板で散々皆から言われてただろ」
「マルコに言われてない」
オジサン、寂しいな。
笑っていて全然寂しそうに見えない太智にククッと笑う。
「誕生日オメデト」
「アリガト」
マルコの頬に手を添えると額に唇を落とした。
「太智」
「ん?…!!」
名前を呼ばれると直ぐ様口にキスをされた。
驚きつつもマルコの好きにさせているとヌルリとした感触を感じた。
入ってきた舌に一瞬驚いたものの、マルコの好きにさせた。
アルコールの匂いが一気に肺へと入り込んでくる。
(どれだけ飲んだんだ)
唇を離してマルコを見ると、アルコールから来る眠気とキスで目がとろんとした顔が目に入り、思わず視線を反らした。
(ヤバイ)
自分は性欲が湧かない方だ。
しかも先日互いに痛い目に合ってゆっくり慣らしていこうと決めたばかりなのに、今確実に。
(欲情している)
黙り込んだ太智を不思議そうに見るマルコから顔を離すと、再びケーキに口を付けた。
「しかし、ここまで俺好みに作れるなんて…ホント愛だな…」
マルコの愛が嬉しいよい。
なんて、真似をしたらマルコに再びキスをされた。
「ん!?」
驚く太智を余所にマルコはキスを深くしていく。
(真似されてこんなにときめいたのは初めてだ)
その照れ隠しと触れていたい感情が重なってマルコはキスをしたのだがそれが太智に火を付けている事には気づいていなかった。
普段はこんなことしないのに思わずしてしまったのはやけくそになって飲んだ、酒のせい。
それにより、太智に火を付けてしまったのだ。
「ん、んん!?」
腰に手を回され、グッと引き寄せられる。
膝に乗せられてマルコはやっと太智の異変に気付いたが、時既に遅しと言った状態だった。
上手くはなくとも気持ちの良いキスに溺れる。
互いに絡め合う舌からは水音が響き、互いの気持ちを高めていく。
唇を離すと、マルコの熱っぽい視線とかち合う。
シたい、とは思うが酒を飲んでいる相手にスるのは何となく気が引ける。
体を離して頬を撫でると笑った。
「ヒヨコちゃん、眠いんだろ?今日はもう寝るか?」
「!!?」
その言葉に驚いた後、マルコは急に不機嫌な表情に変わった。
ゴッと太智に頭突きをすると、両頬をつまんだ。
「い、いひゃい!!!」
「バカヤロウ」
「な、なに!!」
「……ムード…壊すなよ」
赤い顔で真剣に言われ、太智はウッと息を飲んだ。
「マルコ…でもまた痛い思いすんぜ?」
「太智に触れてもらえないなら、痛い思いしてもいいから触れて欲しい」
マルコの言葉に太智はギュッとマルコを抱き締めた。
「ん、ごめん」
「バカヤロウ…」
「なるべく痛くしないように頑張る」
頬を掴んだままの両手を握ると、コツンと額同士を当てた。
「マルコ…ベッド行く?」
「よい…」
太智は照れ臭そうに笑った。
「ん…」
「大丈夫?」
「平気だ」
聞いた話を思い出しながらマルコに愛撫をしていく。
彼が気持よくなるよう、優しく、丁寧に手を這わす。
徐々に息を上げてくマルコにホッとする。
胸の飾りを口に含むと、コロコロと転がす。
「う、あ…」
ピクッピクッと体を震わせながら甘い息を溢す。
(熱い…)
太智に触れられてるだけで身体中熱くなる。
そんな感覚にマルコは歓喜の声を溢した。
太智は意を決すると、下腹部へと手を動かす。
ピクリと反応したマルコに一瞬肩を揺らしたが、そのまま蕾へと手を伸ばした。
「ん、ひっ、くっ…!!」
「っ…はぁ」
「ああっ…!!!」
ビクッと体を震わせ達したマルコ。
太智も達した後、自身を抜くとマルコの隣に寝転んだ。
「大丈夫?」
「ん…」
スリッと擦り寄るマルコの頭を撫でる。
「太智…」
「ん?」
「…気持ち良かった、よい…」
真っ赤な顔で言った後、背中を向けたマルコに面食らった。
それと同時に、マルコが痛い思いをしなくてすんだ事にホッとした。
「マルコ…」
「ん…?」
「また…しような?」
後ろから包み込むように抱きしめ、耳元で囁いた。
ビクッとマルコは震えたが、ゆっくり頷いた。
(皆に祝ってもらって)
(好きな奴と一夜を過ごせて)
(幸せすぎて死ぬかもしれない)
END ハッピーデイ