上陸
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おはよう」
「お、おはよう」
3日目、今日はマルコと出掛ける日だ。
こちらに来て、マルコと再開してから初のお出掛けだ。
「こうやって出掛けるのも、久しぶりだな」
「まぁ…何十年も経ってからの再開だしな」
「久々にマルコと出掛けられるから、オジサン嬉しいよ」
頭を撫でると、頬を赤くしたマルコに睨まれた。
「子供扱いするんじゃねェよ」
「悪い悪い。昔の癖だな」
少しづつ治すよと言った太智にマルコは頬を掻いた。
「ま、気を取り直して行こうか」
スッと手を伸ばされ、自分の手を掴まれる。
一度ギュッっと繋いだかと思うと、離れ、指を絡められた。
所謂恋人繋ぎだ。
「よ、よい…」
ドキドキとなる鼓動に静まれと念じながら、マルコは手を引かれて歩き出した。
「どこに行く?」
「そうだな…ぶらぶらするか?」
特に行く宛は無くてゆっくりと歩く。
「昨日はエースが寝るから色々回れなかったし、一緒に買い物とかどう?」
「お、いいな。ところで何か欲しいものでもあるのかよ?」
「ん~本とか?」
「おれも新しい本が欲しかったし、買いに行くか」
マルコに微笑むと、本屋を目指した。
店に着いて中に入ると自然と2人は別々の場所に。
欲しい本の種類が違うのだ。
(これと…これと…これだな)
欲しい本を選び、マルコを探しに行く。
(お、いたいた)
本を選ぶマルコを見つけ、声をかけようとしたがやめた。
(うん…立派に育ったんだな)
凛々しい横顔、逞しい肉体、先日の戦闘で見た強さに頭の回転の良さ。
(嬉しいな)
フッと笑うとマルコがこちらに気付いた。
「なに笑ってんだよ」
「いや、何もない。それより、買いたい本は決まったかい?」
「ああ」
マルコの手に持たれた数冊の本をスッと取ると、会計をしに行く。
「…それぐらい自分で買う」
「俺がマルコに買ってあげたいんだよ」
振り返って微笑むと、マルコは照れ臭そうに視線を反らせた。
「はい、どうぞ」
「ん、ありがとよい」
受け取ったマルコに笑うとぐ~とお腹が鳴った。
「…悪い、お腹すいた」
「なら飯屋に行くか」
柔らかく笑ったマルコに少し照れながら、飯屋へ向かう事にした。
「うん、中々美味しかったな、マルコ」
「悪くなかったな」
上機嫌で歩いて町中を散策する。
繋がれた手をチラチラ見ながら、たまに嬉しそうにするマルコ。
そんなマルコを見て嬉しそうにする太智。
ピンクオーラ全開の2人を周りにいた白ひげ海賊団の船員達は微笑ましそうに見ていた。
その時だった。
「いたぞ!!あそこだ!!」
「捕まえろ!」
突然の大声。
周りの人間は声の主を見た。
「なっ…!?」
「海軍…?なんでこの島に」
どこから嗅ぎ付けたのか、白ひげ海賊団の船員達を捕まえようと走ってくる海兵達。
「チッ、お前ら!やるぞ!!」
マルコは周りにいた船員達に声をかける。
太智はスッと目を細めた後、マルコを見た。
「マルコ、鳥になって船へ」
「何言ってんだよ!!」
「オヤジさんに今すぐ伝えてくれ。出航しよう」
「ここで返り討ちにしちまえば「島の人が怯えてる。俺達は一刻もここを早く去り海上で戦うべきだ」
強い瞳と視線がぶつかり、知らぬうちにマルコは頷いていた。
「楽しみは後の方がいいだろ?頼んだぜ、ヒヨコちゃん」
チュっと額に柔らかな触感がした後、太智は海兵に構えようとする船員達に退却を指示していた。
マルコからの命令だと伝える彼を横目で見た後、船へと急いだ。
「オヤジ!!海軍が!」
「あァ、今聞いたところだ。皆戻ってるか?」
白ひげの声にマルコは後ろを振り返る。
「太智がマダだよい!!」
変身して羽ばたこうとしたマルコは咄嗟に後ろに飛び退いた。
「くっ!!」
「マルコ!!」
「大丈夫だ!!!」
飛んできた銃弾を飛ばした犯人を見つける為に顔を上げると、目を見開いた。
「なっ…!!」
「久しぶりだね~不死鳥」
海兵を引き連れた青キジが、縄で捕まえた太智と共に離れた場所へ立っていた。
「太智!!」
「悪い、捕まったわ」
「笑い事じゃないだろ!!」
焦るマルコとは反対に、太智はのんびりとしていた。
「いや~クザン見つけて話してたら捕まっちまって」
「敵と話してる場合じゃなかったろ!!」
「こらマルコ、クザンはオジサンの大事な友達だぜ?大体、クザンに拾われなかったら今生きてなかったわけだしな~」
「太智…おれの事、そんなに…!!」
何故か感極まっているクザンにキョトンとして見上げた。
「クザン?」
「よし決めた、やっぱり連れて帰るわ」
「は?」
「赤犬も黄猿も結構太智の事気に入っててさ~ガープさんも遊び相手がいなくなった~って言ってたし、おつるさん達もお茶友達が戻ってきたら喜ぶだろうしな」
うんうん、と腕を組んで嬉しそうに頷くクザンの横で太智はフワッと優しい笑顔で笑った。
「俺も皆さん好きだけど、一緒に行けないわ」
「うんうん、だから帰ろ…はッ?」
パサリと音がなり、太智の縄が地に落ちた。
「あれ、なんで縄…」
「クザン、一番はじめに縄抜け教えてくれたじゃないか」
「ああそっか…じゃなくて」
「クザン、また遊ぼうな」
ニッと笑うと太智は走り出した。
「オヤジさん、出してくれ!!」
「野郎共!出航だ~!!」
面白そうに笑う白ひげの号令で船が動き出す。
「太智!!!」
「ごめんな~クザン。オジサン、可愛いヒヨコちゃんがいないと生きてけないわ」
ザッと地を蹴り、船へ飛び乗る。
「うおっ!!」
「太智!」
ギリギリ届かなくて落ちかけたがマルコが手を引いてくれた。
「サンキュ」
「…よい」
マルコの頭をぽんぽんと撫でクザンをもう一度見る。
「じゃあな!」
「じゃあな、じゃなくて、刺青入れる前にこっち来なさい」
「あぁ、手遅れだよ」
シャツを勢い良く脱ぐと、蒼い鳥と誇りが姿を見せた。
「なっ…!!」
「こういう事だから、じゃッ!」
ため息を吐くクザンと呆気にとられている海兵に手を振り、背を向けた。
「あ~あ、行っちゃった」
クザンは頭を掻くと、撤収を命じた。
「………」
一方船では、無言で見てくるマルコに太智は柔らかな笑みを向けて頭を撫でていた。
「捕まってごめんな?そんなに怒るなよ。反省してるから」
「………」
「マルコの笑った顔、見たいんだけど」
マルコは長い沈黙の後、深いため息を吐いてしゃがみ込んだ。
「…無事で良かった」
「俺、そんなに弱く見える?」
「よい」
「即答って…」
太智は少しシュンとしながら同じようにしゃがみ込んだ。
「まぁ…安心しろよ」
「…?」
「俺は勝手に死なないから」
マルコはツンとする鼻の感覚を誤魔化す様に、太智に抱きついた。
(可愛い可愛い)
ニコニコしながら頭を撫でていると、フと不快な気配を感じた。
視線を上に向けると、ニヤニヤしたサッチがいた。
太智は無言で銃を取り出すと撃った。
「うおッ!!危ないだろ!!」
「大丈夫、オジサンはサッチに当てないように撃ったから」
「今思いっきり狙ってただろ!!」
「4番隊隊長なら避けれるだろ?」
ニコニコ笑いながら話す太智に悪寒がして、サッチは離れた。
「太智…オメェ…」
「はい?」
「いつの間に刺青を…」
「あっ!!オヤジさんに報告するの忘れてた」
ぽんぽんとマルコの背中を叩くと彼は離れた。
「ちょっとだけ待っててな」
そう言って白ひげの所へ行く。
「え~彫って結構経ちますが、こちらの蒼は不死鳥を。で、ここに誇りを刻ませて頂きました」
「グラララララララ…!!!太智、オメェって奴は」
「わわっ…!!」
上機嫌で太智の頭を撫でる白ひげ、その姿を見て他の船員も集まりだした。
「いや~旦那さん、人気だな」
「誰が旦那だ」
「まあ確かにマルコは嫁って感じじゃねえけど、でも…太智が旦那って感じだしな」
「だから、お前は何の話してんだよい!!」
バシッとマルコはサッチの頭を叩いた。
「痛って~!!エース見た!?長男が暴力振るった!!」
「末っ子から見ても今のはどっかの誰かがウザかったからな~」
「うっ…おれには味方がいないのか!!」
泣き真似をするサッチを放っておき、エースはマルコに笑った。
「マルコ」
「なんだよ」
「良かったな!!」
ニッと笑ったエースに何がだ、とは聞かずにただ笑っただけだった。
(とりあえずそろそろ返してくれねえかな…)
(でもオヤジが楽しそうだしな…)
((ってな感じで葛藤してんだろうな))
END 上陸