side虚

淡々と進んでは引き返しを繰り返す中、遂に彼女​───リリスが異変として顕れた。
「ねえ、逃げちゃおうよ。虚。」
リリスは今此処に居るはずもない。間違いなく異変だ。
そもそもリリスはそんな事​──いや、普通に言うかもだ。なんてきっと今私は泣きそうになりながらも苦笑いしているのかもしれない。
でも、どうあれ私はこう言う他ない。
「…逃げないよ…。」
何しろ私は今はカルデアの一員で、汎人類史を取り戻すまでは戦い抜かないと行けないから。
勿論これまで逃げ出したいと思い、駄々をこねよう!…なんて情けない真似をしようと事は何度もあるけれど。結局の所、どうせ逃げられないからと諦めては自室でうつ伏せに寝転ぶのが日課のようなものだったか。
​─────なんてそんな回想は置いておいて。
それだけではない。
きっとこの誘惑に負けてしまい逃げ出したら…リリスはどう思うだろうか。
彼女は人間らしい人間を好む傾向のある彼女は……。失望するだろうか。それとも…。
考えはするが飄々としている彼女の本音を見抜くのは中々難しいと思う。正直、私にはわからないかもしれない。
でも私は胸を張って彼女の隣に居続けたいから。
意志を強く持ち何とか来た道を引き返すのであった。
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