短編
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たまの休日、しかも2人揃った休日、なかなか一緒にはならない休みにアレをしようコレをしようとウキウキしていたのは昨日のこと。
朝のアラームをオフにしていたスマホロトムに起こされることはなく、まだ彼の匂いが残るあたたかな布団の中で惰眠を貪っていた私が悪いのかもしれない。
目を覚ますとベッドの近くに置いてあるソファーには、そのとてつもなく長い美脚を見せつけんばかりに足を組みながら、先日発売されたバトル雑誌を読みふけるキバナがいた。
表紙は今を輝くチャンピオンのダンデだ。キバナの最高のライバル。だからきっと雑誌はデジタル派の彼でもついつい買ってしまったのだろう。
あまりにも真剣な眼差しで読む彼に、私の中の嫉妬心がひょこっと顔を出す。
せっかくの休みなのだから、今日は私にかまってくれないと気がすまない。
「おう、よく寝てたな。疲れは取れたか?」
雑誌に夢中かと思ったら、ベッドからむくりと起きた私の気配に早々に気づいたのか、キバナがこちらに顔を向けて私に声を掛ける。寝起きの掠れた声を聞かせるのは恥ずかしいので、とりあえず首を縦に振って応えた。
「昨日も夜寝るの遅かったもんな。眠たけりゃまだ寝ててもいいぜ?今日は一日オフだからな。」
そういうわけにはいかない。
早く起きて、私はアナタとイチャイチャしたいのだ。
私は素早くベッドから立ち上がり、洗顔、歯磨き、その他諸々を済ませ、キバナの横にピタリとくっつく。
大きめのソファーを買ってよかった。ぴったりとくっついているせいもあるが、2人座ってもなお横幅に余りあるそれは、私とキバナの体重を余裕で受け止めてくれている。
キバナにピタリとくっつけば、目は雑誌を捉えながらも逞しい腕で私を引き寄せ、更に密着度を高めてくれた。
関心を自分に向けさせようと息巻いていた私だったが、このスーパー良い男キバナは無意識のうちにこんなかっこいいことをやってのけるのだ。
しかしこんなに密着していても、キバナの目は相変わらず雑誌に釘付けになっている。
ダンデには悪いが、そんな雑誌じゃなくて私を見て欲しい。
キバナの肩にぐりぐりと頭を擦り付けてみると、
「なんだァ?ワンパチの真似か?」
一瞬こちらを向き頭を撫でてくれたキバナだったが、数秒もすれば元に戻ってしまう。
誰がワンパチだ!と、少し唇をとがらせながら、再度頭を擦り付けると、
「おうおう、やけにちょっかいかけてくるなァ。今日はかまってちゃんか?」
その通り。今日の私は、アナタにただただ甘やかして欲しいひとりの女なのだ。
キバナの関心がこちらに向いたことに喜びを覚え、彼の分厚い胸板に腕を回し、彼からしたらなんてことない力だろうが、私にとっては最大の、とびきりの愛を込めてぎゅうっとしがみつく。
そうするとキバナは、雑誌をベッドの上に放り投げ、私の体を抱きしめて、少し体の位置を変え自分の背中がソファーの肘掛けにもたれるような体勢になる。ついに私の念願が叶いそうだ。
「俺も、今日は一日オフだからお前と家で色んなことしてぇなと思ってたんだよ。でもお前がなかなか起きないから、雑誌でも読んでようと思ったら夢中になっちまって。悪りぃな。」
そう言いながら、大きな手のひらで私の頭をゆっくりと撫でる。
「待たせたお詫びに今日は何でもお前の言うこと聞いてやるよ。」
それならばと、昨日のうちに考えていたやりたいことを次から次にキバナに伝える。
キバナは頷きながら、優しく細めた目で私を見つめる。
その目がなんだか恥ずかしくなって、胸板に顔をうずめてしまう。
「なるほどな。で?その中で一番したいことは?」
その問いに、私がどれからにしようかと頭を悩ましていると、
「まあ、俺はこのままお前を抱きしめながらぐーたら過ごしてぇんだけどなァ〜」
彼の提案に、「私も!」の肯定の気持ちを込めて再び腕の力を強める。
それに応えるようにキバナの腕にも力が入る。
どうやら今日は私の思惑通り、2人だけの甘い時間が過ごせそうだ。
(甘えたがりのヒロインと意図を汲み取らずとも甘やかしてくれるスパダリ気質のキバナさん)
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