アズリエル
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頭上でうるさいくらい燦然と輝く太陽に照らされて、なぜか私は河原にやって来ていた。……ドリーマー一家と一緒に。
「はい、これ。美味しいよ」
小さな手のひらが、焼きたてのとうもろこしを差し出す。香りがなんともお腹をくすぐるので、受け取らない訳にはいかない。お腹の虫も、私の手も正直者なので。
「ありがと」
火の魔法を扱う彼らは、すっかりバーベキューを楽しんでいる。私が紛れ込んでいるのが申し訳なくなるレベルだ。むしろ申し訳ないのでいますぐ帰りたいけど。アズリエルが次から次へとご飯を提供してくるので、断りきれずに滞在を余儀なくされる。
まあ、私の参加が決まったのも、彼の母親――トリエルに、食生活の是正を言い付けられたからなので、実は拒否権はない。あの笑っていない笑顔を思い出すだけで背筋が震える。
ただ、ご飯の用意が面倒だからと何日かカップ麺生活を送っていただけなのに、この世の終わりみたいな悲鳴をあげられたことはいまだに解せぬ。お湯を沸かしてるだけ文化人だと思う。
「ナル、ちゃんと野菜も摂ってね?」
「……キミがキミのお母さんにチクったこと、許してないからね」
「だって……、栄養摂らないと体調崩しちゃうよ」
アズリエルは尤もらしいことを言う。しかし、元を正せば、近所に住む彼が、私の現状を心配しなければ良かったのだ。案じて母親に報告したせいで、このバーベキューに参加することになり、自宅での自堕落な暮らしが消えてしまった。恨みがましい視線を向けながらも、食べ物に罪はないのでかぶりつく。素材の甘みが絶妙だ。私に合わせたのか、味付けは醤油で、塩気がちょうど良い。途中から恨みを忘れてしまったほどだ。
「焼きおにぎりもあるよ」
「……いただきます」
とにかくお腹がすいていたので、香りの良い醤油の匂いに誘われるまま、手を伸ばす。トリエルが作ったにしては、形がすこし不揃いなのが気になったけど、些細なことだ。外は香ばしく、口の中ではふわりと広がるご飯の美味しさに、言葉をなくしてがっつく。
やけに嬉しそうな表情をしているアズリエルに気付いたのは、全部平らげたあとだった。
「はい、これ。美味しいよ」
小さな手のひらが、焼きたてのとうもろこしを差し出す。香りがなんともお腹をくすぐるので、受け取らない訳にはいかない。お腹の虫も、私の手も正直者なので。
「ありがと」
火の魔法を扱う彼らは、すっかりバーベキューを楽しんでいる。私が紛れ込んでいるのが申し訳なくなるレベルだ。むしろ申し訳ないのでいますぐ帰りたいけど。アズリエルが次から次へとご飯を提供してくるので、断りきれずに滞在を余儀なくされる。
まあ、私の参加が決まったのも、彼の母親――トリエルに、食生活の是正を言い付けられたからなので、実は拒否権はない。あの笑っていない笑顔を思い出すだけで背筋が震える。
ただ、ご飯の用意が面倒だからと何日かカップ麺生活を送っていただけなのに、この世の終わりみたいな悲鳴をあげられたことはいまだに解せぬ。お湯を沸かしてるだけ文化人だと思う。
「ナル、ちゃんと野菜も摂ってね?」
「……キミがキミのお母さんにチクったこと、許してないからね」
「だって……、栄養摂らないと体調崩しちゃうよ」
アズリエルは尤もらしいことを言う。しかし、元を正せば、近所に住む彼が、私の現状を心配しなければ良かったのだ。案じて母親に報告したせいで、このバーベキューに参加することになり、自宅での自堕落な暮らしが消えてしまった。恨みがましい視線を向けながらも、食べ物に罪はないのでかぶりつく。素材の甘みが絶妙だ。私に合わせたのか、味付けは醤油で、塩気がちょうど良い。途中から恨みを忘れてしまったほどだ。
「焼きおにぎりもあるよ」
「……いただきます」
とにかくお腹がすいていたので、香りの良い醤油の匂いに誘われるまま、手を伸ばす。トリエルが作ったにしては、形がすこし不揃いなのが気になったけど、些細なことだ。外は香ばしく、口の中ではふわりと広がるご飯の美味しさに、言葉をなくしてがっつく。
やけに嬉しそうな表情をしているアズリエルに気付いたのは、全部平らげたあとだった。