アズリエル
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先に目覚めたのはアズリエルだ。尤も、いまは眠っているので状況証拠からの推理になる。
繋いだ手はそのまま。私が寒がっていると勘違いしたらしく、彼の手のひらは私の右の手の甲を包み込んでいる。もちろん、助手席側から私の右手へ手を伸ばせば、自然と身体は私に凭もたれる。私の腕は、愛おしい重さに圧迫されて熱を帯びていた。
「……あれ……? ナル、起きたの……?」
挨拶を返すも、まだ眠そうなアズリエルは心ここに在らず。生じたあくびを隠すこともない。
「すぐには歩けそうにないね」
「うん……、ごめんなさい」
「いいよ。転んで怪我したら危険だからね。落ち着いたら外に出よっか」
蕩けそうな赤い瞳は、何度も瞬きで閉じた。まだ微睡みに片足を突っ込んでいるようだけど、かろうじて返事が来る。
傾いていた身体を戻したアズリエルは、両手を持ち上げて自分のほっぺに触れた。ほっぺたが落っこちないようにしてるポーズにしか見えないけれど、彼曰く、触っていると眠気覚ましになるらしい。真偽はわからないけど、夢かどうか確かめるために頬を抓る逸話は数多い。その類のものなんだろう、たぶん。
「力が入らないや。ごめんね」
眠気覚ましの後押しになれば、とペットボトルを差し出すも、はにかまれて終わる。寝起きなんだからそりゃそうだ。どうやら私もまだ頭が働いていないらしい。
飲み口を解放して渡せば、素直に受け取ってくれる。嚥下の最中、彼はようやく周りの景色を見る余裕が生まれたようで、驚きに目を見張って、フロントガラスを注視する。
「わあ……! 窓にお花がたくさんくっついてる!」
道中も寝ていたから、彼は桜並木を見ていないのだ。想定外のサプライズになってしまったらしい。
「窓から見るお花見も、素敵だねえ」
「外はもっとすごいよ?」
「えっ、ほんと……?」
途端に落ち着きをなくすアズリエルは、ちらちらと車窓に視線を向ける。その挙動がかわいらしくて、堪えきれずに吹き出せば、彼も嬉しそうに破顔した。
「じゃあ、お花見に行こうか」
「うん!」
繋いだ手はそのまま。私が寒がっていると勘違いしたらしく、彼の手のひらは私の右の手の甲を包み込んでいる。もちろん、助手席側から私の右手へ手を伸ばせば、自然と身体は私に凭もたれる。私の腕は、愛おしい重さに圧迫されて熱を帯びていた。
「……あれ……? ナル、起きたの……?」
挨拶を返すも、まだ眠そうなアズリエルは心ここに在らず。生じたあくびを隠すこともない。
「すぐには歩けそうにないね」
「うん……、ごめんなさい」
「いいよ。転んで怪我したら危険だからね。落ち着いたら外に出よっか」
蕩けそうな赤い瞳は、何度も瞬きで閉じた。まだ微睡みに片足を突っ込んでいるようだけど、かろうじて返事が来る。
傾いていた身体を戻したアズリエルは、両手を持ち上げて自分のほっぺに触れた。ほっぺたが落っこちないようにしてるポーズにしか見えないけれど、彼曰く、触っていると眠気覚ましになるらしい。真偽はわからないけど、夢かどうか確かめるために頬を抓る逸話は数多い。その類のものなんだろう、たぶん。
「力が入らないや。ごめんね」
眠気覚ましの後押しになれば、とペットボトルを差し出すも、はにかまれて終わる。寝起きなんだからそりゃそうだ。どうやら私もまだ頭が働いていないらしい。
飲み口を解放して渡せば、素直に受け取ってくれる。嚥下の最中、彼はようやく周りの景色を見る余裕が生まれたようで、驚きに目を見張って、フロントガラスを注視する。
「わあ……! 窓にお花がたくさんくっついてる!」
道中も寝ていたから、彼は桜並木を見ていないのだ。想定外のサプライズになってしまったらしい。
「窓から見るお花見も、素敵だねえ」
「外はもっとすごいよ?」
「えっ、ほんと……?」
途端に落ち着きをなくすアズリエルは、ちらちらと車窓に視線を向ける。その挙動がかわいらしくて、堪えきれずに吹き出せば、彼も嬉しそうに破顔した。
「じゃあ、お花見に行こうか」
「うん!」