アズリエル
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「ドライブ、行かない?」
「いく!」
目の前で車の鍵をちらつかせると、アズリエルは二つ返事で頷いた。元気の良さが大変よろしい。
助手席に乗り込んだアズリエルは、日当たりの良さに目を眇め、しっかりシートベルトを締めた。得意げに鼻を鳴らしているけど、窓から入り込む風が彼の白い毛を揺らしているので、頼もしさよりも可愛らしさが勝る。笑みが漏れないよう堪えるのも一苦労だ。
「道案内は任せて!」
A4用紙に印刷したマップを広げて強気に意気込むから、お手並み拝見といこうか。今日のルートは直進が多いから案内してもらうことは少ないけど、はてさてどうなることやら。
懸念していた通り、舟を漕いでいたアズリエルはとうとう睡魔に負けてしまった。安心しきった顔でヘッドレストに頭をもたれている様子は信頼の証。引き続きの安全運転を心掛ける。
「ねぼすけだなあ」
目的地に到着したあとも、彼は幸せそうに寝息を立てていた。起こすのは忍びないので、遠慮なく眺めていると、彼の鼻の頭には桜の花びらがひとひら舞い降りているのに気が付く。心なしか、呼吸もしにくそう。気を利かせるつもりが、薄い花びらは中々の強敵だった。手のひらに収まった薄紅色を見て、胸を撫で下ろす。なんとかセーフ。
それにしても本当に起きない。それを望んでいたはずなのに、ほんの少しだけ悪戯心が働く。
「失礼するね」
無防備な右手に、私の左手を繋ぐ。触り心地の良い手のひらは温もりを帯びて、安定しない春先の空気を和らげる。
「私も眠くなってきた……」
春眠暁を覚えずとはまさにこのこと。
アズリエルをねぼすけと言ったことが彼に聞こえていませんように。そう祈りながら、微睡みに身を委ねて瞼を閉じる。どっちが早く起きるか、ぼんやりと予想を立てながら。
「いく!」
目の前で車の鍵をちらつかせると、アズリエルは二つ返事で頷いた。元気の良さが大変よろしい。
助手席に乗り込んだアズリエルは、日当たりの良さに目を眇め、しっかりシートベルトを締めた。得意げに鼻を鳴らしているけど、窓から入り込む風が彼の白い毛を揺らしているので、頼もしさよりも可愛らしさが勝る。笑みが漏れないよう堪えるのも一苦労だ。
「道案内は任せて!」
A4用紙に印刷したマップを広げて強気に意気込むから、お手並み拝見といこうか。今日のルートは直進が多いから案内してもらうことは少ないけど、はてさてどうなることやら。
懸念していた通り、舟を漕いでいたアズリエルはとうとう睡魔に負けてしまった。安心しきった顔でヘッドレストに頭をもたれている様子は信頼の証。引き続きの安全運転を心掛ける。
「ねぼすけだなあ」
目的地に到着したあとも、彼は幸せそうに寝息を立てていた。起こすのは忍びないので、遠慮なく眺めていると、彼の鼻の頭には桜の花びらがひとひら舞い降りているのに気が付く。心なしか、呼吸もしにくそう。気を利かせるつもりが、薄い花びらは中々の強敵だった。手のひらに収まった薄紅色を見て、胸を撫で下ろす。なんとかセーフ。
それにしても本当に起きない。それを望んでいたはずなのに、ほんの少しだけ悪戯心が働く。
「失礼するね」
無防備な右手に、私の左手を繋ぐ。触り心地の良い手のひらは温もりを帯びて、安定しない春先の空気を和らげる。
「私も眠くなってきた……」
春眠暁を覚えずとはまさにこのこと。
アズリエルをねぼすけと言ったことが彼に聞こえていませんように。そう祈りながら、微睡みに身を委ねて瞼を閉じる。どっちが早く起きるか、ぼんやりと予想を立てながら。