独り言小ネタ
思いつき小ネタ。
『敵』
トーリが書類の最終チェックのため、上司である紫苑のもとを訪れると、上司はデスクに突っ伏し寝息をたてていた。
珍しいなと思いつつ、なるべく音を立てないように近づく。
日頃の激務により疲れが溜まっているのだろう、このまま寝かせておきたいとは思ったが、室内が適温に保たれているとはいえ風邪を引かないとも限らない。心苦しくも起こそうと細い肩に手を伸ばした。
と、その手が紫苑に触れる前に、小さな影が視界の端に映りこみ手を止める。
「鼠……?」
そこには、真っ黒い毛の小さな鼠。
視線を移せば、ばちりとこれまた小さな葡萄色の瞳と目が合う。獣の考えている事など解るはずもないのだが、その小さな瞳は――。
彼に気安く触らないでいただけます?
そう言っているように感じた。
まさかと思ったが、そう言えばこの小ネズミは、以前紫苑委員から紹介されたのを思い出す。その時、大切な友人だと、紫苑委員は穏やかに微笑み小ネズミの背を指の腹で撫でていた。
あの時も、この小さい生き物は、自分に対していい感情を向けてなかった気がする。たかが鼠一匹に何を、と言われるかもしれないが、トーリに見せつけるように紫苑に擦り寄って、必要以上近づく事を許さなかった。
そこまで思い出し合わさったままの視線に力をこめれば、バチバチと見えない何かが弾けるのを感じた。
どれだけ小さくとも、獣であろうと、目の前の生き物が自分にとって巨大な敵であると理解し、トーリは口許が引きつるのを抑えられなかった。
ヲワリ。
ツキヨぶいえすトーリ。
ツキヨは、マスターが帰って来るまで紫苑は私が守る!とか思ってて、紫苑に近づく悪い虫をイヌカシ印の犬達と共同戦線張って防いでればいい。
クラバットがさ、性格やんちゃっぽいとか思ってたらさ、割と落ち着いた、主人に苦言も言えるできる秘書とか執事とかな感じだったからさ。
ツキヨも近い感じなのかなってさ。
だぁー!って書いたから、いつも以上に文おかしいね。ただツキヨの一言と、トーリ君の口許ひきつらせたかった。