独り言小ネタ
-Blanc-
ホワイトデー。
それが、とある国が後から作った風習だというのは知っていた。
けれど悪意からのものならともかく、好意からの贈り物をまた同じ気持ちでもって返す、というのは尊い事だと思う。だからそのイベントに紫苑が乗っかるのは当然といえた。
普段から働き過ぎだ、休みを取れと言われていたため、言葉に甘えて当日は休日だ。
3月に入ってから、僅かでも時間があれば色んな店を見て回り、なにがいいかと頭を悩ませる。お菓子作りなんて初めてだろうに、慣れない作業に火藍が付いてても苦労したはずだ。それでも完成させ簡易でもラッピングもされたチョコレートは嘗てクロノスで食べた高価な菓子よりずっとずっと美味しかった。
なによりイヌカシの想いが籠もっているそれの価値は、紫苑にとって計り知れない。そんな特別なもののお返しに悩むのは当然で、等価だと納得できるものなどなく。
仕事場では部下のトーリに心配されたし、悩みがあるのなら力になりたいとも言われたが、イヌカシを知らない相手に相談する気もなかったのでごく個人的なことだからとやんわり断った。心なしかしょんぼりしているトーリに首を傾げつつ、仕事を熟して1日を終えた。
結局自分で思い浮かばず、イヌカシ本人にお返しは何がいいか聞くことにした。
「お返しぃ?そんな日まであるのか。まぁくれるっていうなら、おれは遠慮なんてしねぇぞ」
「勿論、遠慮なんていらない。ぼくにできることならなんでも言ってくれ」
「・・紫苑。なんでも、なんて気軽に言うもんじゃないって、あいつは教えてくれなかったのか?」
「教えてもらってるよ。だけど気軽にでもないし、誰にでも言うわけじゃない。イヌカシだから。きみだから言えるんだ」
「っ、」
真っ直ぐに、親愛を隠さずむしろ溢れた瞳で見られ、イヌカシは思わず顔を逸らした。未だ紫苑やその母から向けられる純粋な好意には慣れない。
頬が褐色の肌でも誤魔化せないほど赤くなっているのは無視をすることにして口を開く。
「そうかよ。なら―――――」
イヌカシの望みを聞いて、紫苑はその日一番の笑顔で頷いた。
終
昨日独り言呟いた後、お風呂入りながらぼんやり考えて、ちょこちょこ文字におこして。載せてみた。いちおう連作になった。
文章が安定してないこと、キャラが違うこと、どうか見逃して下さいませ。
聞きに行ったの白い日より前なのか当日なのか。
私もわからない。
お返し何になったのか謎にしないと書けなかった。
トーリ君は蚊帳の外。割込めずハンカチ噛んでて下さい。
西組の甘さもあるけどスパイシーないちゃわちゃはいいものだ。
私ごときには書けないものだしね。
ネズ紫が一番だけど、いぬかしおんも大好きなんだよなぁ。
そしてまたまたちーさんにおねだりして、タイトル頂きました!
『- Blanc -』「ブロン」フランス語で「白」とのことです!
前のと合わせてフランス語で考えてくれました!
ちーさん、ありがとうございました!!
ちなみに旧題『普通の独り言だと言ったな、あれは嘘だ。』でした。