独り言小ネタ

 
 
 
愛妻の日小ネタ。




キィ、と僅かに音を立てて戸を開く。室内は暗く、光源は弱く点いたストーブのみ。ネズミにとっては十分な照明の中、奥にあるベッドに近付く。

ベッドには、すうすうと穏やかな寝息を立てる愛しい同居人。

ここの所仕事が立て込み、まともに顔を合わせていない。紫苑が寂しい思いをしているのは気付いていた。寝言で名を呼ばれた時は、寂しさが少しでも紛れるように、抱き締めながら眠りについた。

けれどやっと明日、休みが取れた。

紫苑が寂しい思いをしていたように、ネズミも物足りなさを感じていた。

紫苑の紅玉の瞳を、心地良い声を、なによりネズミへの情愛を溢れさせた微笑みを。この眼に映したいという想いが胸にくすぶる。

だから、明日は紫苑と1日共に過ごそう。一緒に買い物に行き、夕飯は久し振りに自分が作ろう。

仕事疲れで昼近くまで寝てしまい、朝食は紫苑に任せてしまうだろうが、起きたらまず先に紫苑におはようのキスを贈ろう。
目覚めて最初に見るのが紫苑の笑顔であるように。

明日を想い知らず口元を綻ばせ、紫苑の髪を一撫でし、このままベッドに潜り込み寝てしまいたい衝動を抑え、ネズミはシャワーを浴びるため浴室へ向かった。

明日は紫苑を甘やかそう。そう心に決めながら。



おわり。




愛妻の日、前日話になってしまった。
それに愛妻ゆうよりいい夫……。

ネズミさん別人。甘くしようとしたら別人に。

これは原作よりなのか現パロなのか。





 
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