一週間待っててね

玄関に置かれた小さなクリスマスツリーの置物を見て、ああそういえば今日はクリスマスだったっけと思い出した。
でも、だからといってどうということはない。親が買ったフライドチキンとケーキを一人で食べて、寝るだけ。ただそれだけの日。
小さい頃はとってもふわふわきらきらしていて、素敵な味がしたそれは、もうただの習慣というか…クリスマスだからこれを食べよう。というだけのものになってしまっていて、笑い合ってくれるひとすらいない部屋には空虚が立ち込めていた。

「…はぁ。毎年のことだけれど、この日になると寂しさがうざったらしく出てきて面倒ね」

誰に聞かせるでもない独り言をつぶやいて少しぬるくなったコーンスープを啜ったら、ピンポーンという大きな音がして、うっかりむせてしまいそうになる。宅配便かなにかだろうか?と思って出ると、そこには見慣れた笑顔。

「る…りね?」
「やあ、ほのちゃん。メリークリスマスだね」

ーーー

「夜にいきなり訪ねてくるなんて、常識知らずもいいところね」
「ただのサプライズさ。できれば大目にみてくれよ…ほら、ちゃんとプレゼントもあるから」

にこにこと笑うるりねが差し出したのは、少し大きめの袋だった。手に取ってみると、そんなに重たくはないようだ。

「…わ」

開けてみて、私は目をまるくした。私のかなり好きなお店の服だったからだ。
そしてそれと同時に気付いた。この間私は、お店に張り付いて服たちを眺めていたところを見られたことがあったのだ。…ほんと、そういうところに気が利くのよね、この子…

「喜んでくれてるみたいで良かったよ。買った甲斐があるというものさ」

るりねはいつもの調子でにこにこと笑ったけれど、私は心配なことがひとつあった。お返しだ。
今日来るだなんて聞いていなかったし、プレゼントの用意もない。どうしたらいいのか見当もつかないのだ。どうしようかしら…としばらく悩んで、私はこう言った。

「残念だけど、私はなにも返せないわよ。だって今日来るなんて聞いてなかったもの。…だけど、一週間後までに用意しておいてあげるから、せいぜい楽しみにしておくことね」

るりねは目をぱちくりさせた。

「…えっ?ほのちゃん、僕の為にプレゼントを用意してくれると、そう言っているのかい!?」
「あー、そうやってしつこく聞くなら考えなおさせてもらおうかしら」
「わかったわかった、喜びは胸の中に秘めておくよ。プレゼント、とっても楽しみにしてるからね」

そうして、私はるりねにクリスマスプレゼントを贈るのを、一週間だけ待ってもらうことになった。
一週間後には彼奴の笑顔が見れると思うと、嬉しいような、でもうざく感じるような、しかしやっぱり喜ばしいような…
不思議な心地だ。

さあ、一週間後に備えなきゃね。
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