黒の教団壊滅事件?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふぁ…すっかり遅くなってしまいましたね」
「この嵐で汽車の発車が遅れてしまいましたから」
教団の地下水路。暗くじめじめとしたそこを船で進みながら、アレンは己の肩に寄りかかってうつらうつらしているレイを揺り起こした。
「レイさん、そろそろ着きますよ。…レイさん?」
「………ん、ぅ……」
「ウォーカー殿。レイ殿は一度眠ってしまわれると、覚醒まで時間がかかります。」
トマはそっとレイの傍らに膝をつくと、その体にブランケットをかけてやる。安心しきった様子でアレンにその身を預け、すよすよと寝息をたてる様子からは、平生の高慢さはうかがえない。
伏せられた長い睫毛。ビスクドールのように整った面差し。さらさらと流れる艶やかな白銀の髪。ふわりと香る甘い香り。薄く開かれた形の良い薄桃色の唇。
(て、天使みたいって、きっとレイさんのためにある言葉なんだろうな////)
吸い寄せられるように唇を寄せたとき、触れる直前でトマの冷たい声がそれを押し止めさせた。
「ウォーカー殿」
「わ、分かってますよ!」
内心舌打ちの嵐だが、まぁ寝込みを襲うのは紳士ではないかと思い直し、アレンはそっとレイの美しい髪を撫でた。
「でもそろそろ着きますよ。…荷物はレイさんがイノセンスで送ってくれたからいいですけど」
レイが買い出しで大量に買わされた薬品だのなんだのは、三人で持って帰るには多すぎるか、と呟いたレイが、イノセンスを発動して「"コムイのもとへ行け"」と命じて荷物だけ飛ばしたのだ。ぐにゃりと空間が歪んだかと思えば山ほどあった荷物が一瞬にして無くなった時は思わず腰を抜かしたものだと思い出して、アレンは乾いた笑いを浮かべる。
「失礼しますね」
そっと膝裏に手をまわして抱き上げる。優しく横抱きにして、アレンは目を剥いた。
(軽っっ!!!!!!!!)
「ウォーカー殿、仰りたいことは分かりますが、レイ殿に言ってはなりませんよ」
若干気にされているようではありますから、とトマは苦笑する。そういえば、いつぞやもジェリーたち厨房のメンバーに「軽すぎる!細すぎる!もっと量を食べろ!」と説教されて耳を塞いでいたな。
それにしても、とアレンは思う。レイは神田よりは若干小柄だが、それでも自分やリナリーよりは背が高い。恐らく175以上は軽くありそうなものだが、ここまで軽いのか。確かに均整のとれた美しい肢体は華奢で女性的と思えるほどにほっそりとしているけども。多分自分よりも大分軽い。…甘いものは別として、普段食べるのが得意ではなさそうだが、これは確かに心配される。
(今度から食事もご一緒しよう…!)
「ふぁ…あれ、ん…?」
「!すいません。起こしてしまいましたね。今ホームに着いたところですよ」
「………おりる」
おろせ、とたどたどしく言うとレイはふらふらしながら立ちあがり、船を降りた。眠たそうに目を擦りながら欠伸をして、伸びをする。
「あ、そういえば回収したイノセンスってどうしたらいいですか?」
「それならヘブラスカに…まぁ、科学班にでも持っていけ。あそこなら誰かしら起きてるだろう」
「!そうなんですか。行ってみますね」
ドサッ
「え」
(………………また面倒な事になったようだな)
レイは回らない頭でぼんやりとそう思った。でなければあのリナリーが階段の上から落ちてくるはずがない。アレンはリナリーを揺り起こそうとするが、リナリーは薬でも盛られたのか眠ったままだ。
そのとき、土煙の中から一人の人影が…
「よぉ…」
「リーバー班長!?」
「…………ぼろぼろだな」
くぁ、と欠伸をしつつレイは目を眇めた。まったく、帰ってきて早々なんだこの騒ぎは。
「にげ、ろ…コムリンが来る…」
「は???」
次の瞬間、ドカンッッッとけたたましい音をたてて壁が崩れ、大きなロボットが突っ込んできた。アレンとトマはさぁっと青ざめ、リーバーは「きたぁ…」なんて呟いている。
四人は全力で走り出した。レイはリナリーを抱いて走るアレンを一瞥すると、苛立ちも露に盛大に舌打ちした。走ることも面倒になったのか、風に乗ってふわりと飛びあがり、走る三人の横を同じスピードで飛んでいく。
「どういうことなのか簡潔に分かりやすく説明しろ」
「あれはコムリン2!見ての通り暴走してる!」
「だから何で!?」
額に青筋を立てたレイにぎろりと睨まれ、アレンのなかば悲鳴のような突っ込みに、リーバーは静かに語り始めた。勿論、全力疾走をしながら。
あれは俺達が終わらない残業をしていたとき………