マテールの亡霊編
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「…………………この量を一人で買い物して持って来いというのは中々に横暴ではないのか」
レイは薬品の入った山積みの荷物に小さく舌打ちした。ホテルの部屋に運んでもらったが、よもやこんなに堆く積まれるとは…。後で任務終わりのアレン達にも運ばせよう。なんて当たり前のように考えているあたり、彼も中々なジャイアニズムの持ち主である。
(…さて、マテールに行くか)
「…これは、ユウとアレンは何処だ?」
二人を探すには中々広い街。すたっと軽い音をたてて風を降り、街の中に降り立つ。目を閉じて二人の気配を探る。
(地下か)
レイは気配の方向へと歩いていく。暫く行くと、広い歌劇場の様な場所の真上に出た。僅かに月あかりが差し込む隙間を見つけ、そこから体を滑り込ませる。
「事情があるなら、教えてください。可愛い子相手に、戦えませんよ」
(………このタラシが)
口説いてどうする。それどころじゃないだろう。あれか、ああいう人種なのか。英国紳士とはなんだったのか。あれでは女タラシのナンパ野郎ではないか。
そんなことを好き勝手思いながら、レイはふわりと風に乗った。音もたてずに空を飛び、そっと歌劇場跡の2階部分へと腰かける。ここは影になっていて、恐らく下からは見えない。
「マテールが、神に見放された地と呼ばれていたのは知ってる…?」
「えぇ。聞きました」
「この街の人は、厳しい気候と強い日差しを避けるため、地下に住居を広げていったの。長い長い間、ずっと掘り続けて、そして彼らはその先にあるものを見つけたわ。」
(それがイノセンスだったのか)
レイは静かに目を閉じた。ララと言うらしいマテールの人形の声は、何処か優しく、心地よかった。