マテールの亡霊編
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翌朝、むくっと寝台から起き上がり、レイはそのままぼんやりとする。実はこのレイ、頭はいいし何でもできるし天から二物所か三物も四物も貰ってるようなものなのだが、朝だけはどうにも弱い。酷いときには、ほっとけば半日このままだったりする。
「レイ、入るぞ」
「………………」
神田は中から聞こえぬ返事に一つため息をついた。いつものことだ。さっさと中に入って扉を閉める。ぼんやりと寝台に座るレイのそばにより、ぐらりと傾いだその華奢な体を支える。
「おい、寝るな」
「…………ん」
すり…と寝ぼけ眼で肩口にすり寄る。ふわりと香る桜の甘い香りに、神田はすんと鼻をならした。本当に、朝のこいつは無防備が過ぎる。
「起きろ、レイ」
「……………ゆぅ…ん、おきる……」
もたもたと寝巻きのワイシャツを脱ぐ間に、神田は寝台脇のデスクから櫛を取り出して髪を鋤いてやる。他の教団関係者が見たら腰を抜かしてぶっとびそうな光景だが、神田は殊の外この幼馴染には甘かった。
髪を一通り鋤き終わり、レイが服を着替える間に適当に珈琲をいれる。短く礼を言いながら珈琲を受けとる頃には、すっかりレイは覚醒していた。
「ユウ、おはよう」
「あぁ」
優雅に長い足を組み、カップを口に運ぶ姿は、それだけで何処か芸術的で絵になる。まるでどこぞの貴族のようだ。
「レイ!おはよう!」
「あぁ、おはよう。リナリー」
「あっもう起きてたの。今日は絶対私の方が早いと思ったんだけどなー」
リナリーは残念そうに頬を膨らませる。実は、誰が朝一でレイの世話をするのか、というのは争奪戦のようになっている。…まぁ、寝起きのふにゃふにゃなレイを見られる機会は中々無いので、この二人だけでなく教団関係者皆が狙っていたりするのだが、如何せん付き合いが最も長く、かつ強いこの二人が主に争っているのである。
「レイ。リーバー班長がね、探索部隊用の新しい武器について話聞きたいって。朝食後でも良いらしいんだけどどうする?」
「わかった。今行く。ユウは先に朝食にしていろ」
「……チッ」
三人は仲良く連れだって部屋を後にする。そんな微笑ましい、何でもない日常の朝である。