はじまりは…
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マキノの店がまた騒がしい
「ルーク!!帰ってきたのか!!なんか歌ってくれよ~!」
「…あとでな」
買ってきた食材をカウンターのうらに置く
「…ルフィ。大怪我したんだって?」
「あぁ。なのにシャンクスは連れてってくんねーんだ!!」
「ルークはともかくお前はなァ…ルフィ」
「んだとこら~!!」
お前らは味方じゃねぇのかよ!!と憤慨するルフィにため息をついているとベックマンに呼ばれた
「ベック…?」
「ルーク。お前今いくつだ?」
「…七歳だ」
「そうか…」
ルークはベックマンの膝に乗せられた。優しく髪を撫でられ、思わずすりよる。
「あ゛ーっ!!ベックずりぃーぞ!!」
「ルークは俺のなんだ!!なにしてんだルーク!!早く副船長から離れろ!!」
「クククッだとよ?ルーク」
「…ぃやだ。ルフィにはシャンクスがいるだろ」
ぎゃいぎゃい騒ぐシャンクスとルフィを無視して、ルークはベックマンの服をちんまり握る…と?
バンッ!!
「ん?」
「?」
「ジャマするぜェ…ほう。これが海賊って輩か。間抜けな顔してやがる」
けたたましい音をたててぞろぞろと入ってきたのは、山賊。山賊から顔を隠すようにルークは大人しくベックマンの胸に顔を埋めた。
いかんせんルークの容姿では何をされるか分かったもんではない。ベックマンもそれを分かってか、抱く腕に力が入る。だが山賊がシャンクスに酒をかけたとき、ルークの気配が変わった
「(…覇気が滲み出てるな…)ルーク」
「…ごめん、なさい。ベック…」
「ほう。随分と上玉の餓鬼がいるじゃねぇか」
「本当だな。おいそこのガキ。テメェが来んならこの店のこと…許してやっても構わねぇぜ?」
「…………」
ルークは下卑た視線に耐えかねたように山賊を一瞥するときゅうっとベックマンにしがみつく
「聞いてんのかコラ」
「そんな男とじゃなくて俺らと「黙れ」――――ッ!?ッ!!」
ルークの静かな声に、男の声が消えた
「薄汚い手で私に触るな」
「な…なんだこりゃぁ!?」
「っか…体が動かねぇ…!?」
力を発動した桜色の瞳がルークに触れようとした男たちを射抜く。帰れ、と冷たく命じれば意思とは無関係に足は出口へと向かっていく。それでもなけなしのプライドでか、カッコつけて帰ろうとした山賊たちにムカついて、ルークはついと手をあげた
「風よ」
ぶわっ ゴンッ!!
「「「へぶぅっ!?」」」
地面から風が巻き起こり、山賊たちを巻き上げて天井へとぶつける。それを容赦なく地面に叩き落としても、ルークの怒りは覚めなかったようで…
「とっとと…出ていけ!!」
風を纏わせた手を振り下ろす
ぶわっっ
「「「「ぎゃぁぁぁぁ!!!!」」」」
キラーン☆
山賊たちは遠く遠くへ飛ばされて星になった
「「「……………」」」
「……」
シーンと静まり返る店内
最初に吹き出したのはシャンクスだった
「ブフッ」
「「「「「あっはっはっはっは!!」」」」」
「我慢ならんかったのか!?ルークwwwwwww」
「お頭も何て様だwww!!!!」
「っ~~……!!/////」
ルークは頭が冷えたのか、みるみるうちに赤くなるとばっと顔を隠した
小さな耳まで真っ赤に染まっている
「何で笑ってんだよ!!」
ルフィの声にびくっと肩を震わせるとそろそろと顔を上げる
ルフィはルークの手を引いて頭を胸に抱き込んだ
「ルークは間違ったことしてねぇだろ!!」
「る…ふぃ…?」
ルフィはひとしきり怒鳴るとルークの手をとり歩き出したが……
「待てルフィ!!」
ルフィがしっとシャンクスに腕を捕まれ、
びよ――――――んっっ
「!!!!」
相棒が悪魔の実を口にしたことが判明
「こ…の馬鹿……」
ルークは人知れず大きなため息をついたのだった
それから数日後…
ルークは隣町へ買い出しに来ていた
風に乗ればルークにとって距離などさしたる問題ではない
「いつもありがとうねぇ♡ルークちゃんはしっかりものだことぉ♡」
「……ん」
買い物袋を小さな両手でしっかりと抱く可愛いらしい姿に八百屋の女主人は頬を緩ませた
人見知りなのか口数は多くないが、礼儀はきちんとしていて実に立派だ
最初は女の子だと思っていてのちゃん付けだったが、今ではルークも訂正しないので(諦め)皆ルークちゃんと呼んでいる
手を振る女主人にペコリとお辞儀すると、ルークは風に乗った
一瞬にしてマキノの店の前にたどり着く
荷物を置くと、ルークの耳に風の声が飛び込んできた
【ルーク様!!ルーク様ぁ!!】
「どうした?風?」
【ルーク!!大変よっ!!】
【ルフィが山賊に!】
【シャンクス殿が腕を…っ!!】
【海獣が腕を!!】
「っ落ち着け…順をおって話せ」
ルークは風にのって海岸へと飛んだ
そこでは、丁度ルフィとシャンクスが浜へあがってきたところだった
片腕を失った、シャンクスが…
「シャ、ン…クス…?」
風から話を聞いてまさかとは思っていたが、想像を遥かに超える現実に、声が喉に張り付いてうまく出てこない
「おう、ルーク。お前ルフィを何とかしてくれよ。泣き止まねぇんだ」
泣きじゃくるルフィはずっと謝っていた
ルークは震える手を伸ばし、シャンクスの無くなった腕に言霊をかけた
「回復(ベッセルング)」
シャンクスの細胞は活性化し血管もめぐり、皮膚もはる
しかし、完全にちぎれ、海獣の腹に収まってしまった腕は二とは生えてこなかった
「ご…めんな…さい…っ」
「おいおい…お前まで泣くのか?…ルーク。これで十分だ。ありがとうな」
「っ…ふ…ぇ…」
ごめんなさい、と…己の力の不甲斐なさを痛感して、ルークとルフィはひとしきり泣き続けた
「もぅ…行くのか」
「あぁ。ルーク、お前ならいつでも大歓迎だ。遊びにこい」
「…ん」
ベックマンにぎゅっと抱き締められる
名残惜しげに離れると、今度はシャンクスに抱き締められた
麦わら帽子は着けていない
どうやらルフィに預けて来たようだ
「ルーク」
「なんだ…―――っ!?」
ちゅぅっ♡
「なっ…なっ…!?////」
「「「「あ゛あ゛ぁぁぁぁっ!?!?」」」」
唇に触れた柔らかい感触
視界いっぱいに広がったシャンクスの端正な顔
それがキスだと気付くのに時間はかからなかった
「ニーッシッシッシ!!俺ァ海賊だからな。いつか奪いに行くから待ってろよ!!」
カッコつけながらもベックマンに無言でぶん殴られているし、船員たちからも怒りと嫉妬を向けられているシャンクス
ぐいっと強く手を引かれ、はっとしてそちらを見やれば涙を目に浮かべた二つ年下の幼馴染みが…ルフィが怒りの形相でシャンクスをにらみつけていた
「シャ…っシャンクスの馬鹿ぁぁぁぁ!!!!」
「はっはっは!…じゃぁな。ルフィ。ルーク」
そう言って身を翻したあの逞しい背中にいつか追い付くために
少年たちの夢は始まったのだった