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「おたのしみ頂けましたか?これぞentertainments!」
引き続きグラン・テゾーロをお楽しみください!と声高に叫んで締め括ると、テゾーロはタナカさんに螺旋階段をチェックするよう命じて去っていく。
「まずい!こっちに来る!」
「このままじゃ袋のネズミだぞ!」
「兎に角ここから離れないと!」
赤目フクロウたちのトラップも気にせずぶっちぎり、向かってきた警備員たちをサンジが見事な足技で吹き飛ばす。
「やりすぎだろう…」
「そうか?」
扉まで粉砕したサンジに、さすがのルークもパタリとひとつ瞬いて困ったように小首をかしげる。部屋を突破し、追っ手をふりきって一行が逃げ込んだのは、高い天井に床も壁も大理石で出来ている、どこか厳かな空間であった。
「えっ何ここ?」
「ここは天竜人も泊まっているハイパースイートエリアよ」
「天竜人?」
その言葉に、ルークはあからさまに顔を歪めた。いやお前嫌いすぎだろ、と思わず突っ込むウソップに、ルークは渋々といった様子で「絶滅すればいいのにと思うくらいには嫌いだ」と呟く。
(((あぁ、ルークは迂闊に死ねとか言えないもんなぁ)))
((((でもなんで選択肢が絶滅だったのかは気になるところだな))))
一生懸命考えた末の妥協案が「絶滅」だったのだろうか。そう考えるとこれはなかなかにほほえましい。一行がホッコリしていると、複数の足音が遠くから聞こえてきた。
物陰に隠れて様子を見ていれば、パンダに乗った男とその周りを着飾った婦人や奴隷たちがだえだえ言いながら歩いてくる。誰?と呟くウソップに、ついと目を細めたルークは、カマエル聖だな、と呟いて舌打ちする。
「あれに見つかって捕まったら、今度こそ俺は嫁にとられる」
(((((((なんですと―――――!!!!????)))))))
実はルーク、過去に天竜人と無理矢理結婚式をあげさせられそうになり、すっぽかして逃げてきた過去があったりする。お陰で天竜人一族も血眼になってルークのことを探しているのだ。
「…ここは一か八か、賭けに出よう」
フランキーとルフィは奈落の底に落ち続ける。彼らが落ちた先は、すべてが黄金に包まれた、広い広い砂漠のような空間であった。ルフィはコロコロと自身の近くへと転がってきた頭蓋骨にぎょっと目を剥く。
「ブルック!?」
「バカ…そりゃ人違いだ」
「あ!フランキー!?」
よろよろと立ち上がったフランキーは、全身に走る痛みに顔を歪めた。どうやら相当高いところから落とされたらしい。並みの人間なら死んでいた。
ついでぐるりと辺りを見渡し、フランキーは呆然と呟いた。
「なんだ、この部屋…」
黄金だらけじゃねぇか!?
幾つもの乾いた人骨が転がり、砂金の滝が部屋に流れ込んでいる。床は砂金で埋め尽くされ、まるで砂漠だ。黄金でできた彫像がずらりと並び、本当にすべてが黄金でできている部屋だ。
その時、二人は辺りを取り囲む複数の気配に気づき、辺りを見渡した。髪や髭は伸びっぱなし。生気の無い男たちが、黄金や金貨を腕いっぱいに抱えてふらふらと集まってきている。
「ハァ…水をくれ、水…」
「食い物をくれぇ…」
「頼む!金ならいくらでもやるから!」
「水も食い物も持ってねぇぞ!」
ルフィの言葉に男たちは力なく膝をつく。すげぇ金持ちなんだなーと目を瞬かせる二人。そんな人々を尻目に、帽子を目深に被ったサングラスの男は、ガッと骸を踏みつけた。
「無駄だよ。金なんてなんの価値もねぇ。この忌ま忌ましいゴールドプリズン…黄金の牢獄ではな」
テゾーロは世界中の金を溜め込み、黄金の町とその地下には黄金の牢獄を作った。一攫千金を狙った猛者たちが、金に囲まれ死んでいく。…皮肉な話だ。
ここには金はあるが、水も食料もない。テゾーロはこの牢獄に閉じ込められた「囚人」たちが苦しむ姿を見て楽しんでいるのだ。
「おっさん誰だ!?」
「おれか?おれはただの負け犬さ…」
「!?こいつは驚いた…おめェレイズ・マックスか!?」
レイズ・マックス、ただの一度として負けたことのない伝説のギャンブラー。人々の憧れだった大スターだ。革命軍に入ったとの噂がまことしやかに囁かれていたが…
「確かにおれはレイズ・マックス。負け知らずのギャンブラー。バツ2だがな」
ヒュォォォ…
なんとも言えない空気がルフィたちとレイズ・マックスの間を通り抜けた。人生のギャンブルには負けてたのか…と目を眇める二人の視線も何のその。レイズ・マックスという名は捨てたと吐き捨て、チョコチョコと短い足を素早く動かして駆けてくる。
革命軍も関係ない。このカジノで大勝負を仕掛けて惨敗した――――ギャンブルに負けた時点で、レイズ・マックスは死んだのだ。
―――――なんてカッコつけているが、ルフィにはそんなもの関係ない。早くルークと合流しなくては。…早くゾロを助け出さなくてはいけないのだから。
テゾーロに勝つためには、体に染み付いた金をとる必要がある。空気をとるダクトを伝って海水を真水に変えるポンプ室に辿り着ければ、海水を手にいれることができる。
ルークのことだ。生きてここから出さえすれば、あとは自分がどう動いたとしても何とかしてくれる。――絶対の信頼で結ばれているのだから。
(アイツは俺のなんだ!誰がテゾーロなんかに渡すもんか!)
大切なものはもうなにも手放したりしない。
だから、絶対に
「俺は諦めねぇ!!!!」
ルフィはダクトの中へと飛び込んだ。うぉぉぉぉと雄叫びが聞こえたかと思うと、ダクトの中から巨大なゴールデンバットが飛び出してきた。ボロボロになったそれはルフィにさくっとやられたらしく、殴打痕が無数についている。
「……なんで、そこまで馬鹿になれるんだよ…」
「絶対死ぬって分かってるじゃないか、死にに行くようなものだろ」
「―――そりゃあ、命かけるほど愛してる奴が上で待っててくれてるからだろう」
マックスは、ルフィに続いて飛び込んでいくフランキーの姿を見送りながら、ぽつりと呟いた。迷いが見えるその姿は、どこか小さく見え、男たちは皆顔を見合わせていた。