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ルフィとフランキーが漸く時計部分に入り込めたのと時を同じくして、ルークたちも螺旋階段への道をひた走っていた。
「ここから先は私も初めての場所だから、何があるか…」
「…それは仕方がない。が、あの性悪男のことだから面倒な仕掛けがありそうだな」
あのテゾーロを性悪男とさらっと言ってしまうのだから、ルークにとってからの第一印象は最悪だったんだろう。……あの出会いでいいイメージを持つことは逆に難しいが。
ばたばたと走ってきた一行は、突如現れた仕掛けのある廊下に足を止めた。先程までの廊下より少し広くなっており、天井付近には赤目の梟がずらりとならんでホーホー鳴いている。
梟の目からは赤い光が放たれており、さながらスポットライトのようだ。首を上下左右に振っており、全く死角がない。
「赤目フクロウか…」
「なんだ?」
「…あの目から出ている光が生き物に触れると、大声で鳴く天然トラップだ」
ルークはついと目を細めた。命じて大人しくさせるにも、この量相手ではそこそこ大きな声を出さなくてはいけない。大きな声を出した瞬間に鳴かれるかもしれない。…リスクは大きいが、仕方がないか。
ルークが能力を使おうと口を開こうとすると、チョッパーがなにかに気づいたようすで顔をあげた。
「うっ?あいつら、…やっぱりそうだ!」
「どうした?」
「あいつら、首を動かす方向をいってる!ほら、上…下…上、って!」
「ほう。…皆、チョッパーの声に合わせて走れ。頼んだぞ、チョッパー」
頼りにされてもうれしかねーぞ~♡コノヤロ~♡と実に嬉しそうなチョッパーに突っ込みをいれつつ、一行は廊下を強行突破していく。だが、赤目フクロウも蠢く気配に気がついたのか、視線がどんどんこちらを追いかけてくる。
「っ、走れ」
ルークに言われるがまま、皆必死で足を動かす。漸く出口にたどり着いたとき、チョッパーは取り残されたブルックに気がついた。
「ブルック!急げ!」
「はい!ちょっとこれ走りにくい…」
言ってる間に足がもつれて先へ進めない。一人でわたわたしていると、とうとうフクロウの赤いランプがブルックに集中した。ぎゃー!あー!と悲鳴をあげるブルック。……だったのだが。
「あ~…っ………?あれ?」
「………静かだ」
「お前生き物じゃないから大丈夫みたいだな」
「さびしー!」
ルークとサンジは静かにうんうん頷く。いやぁこんなときには便利な体質だ。なりたいとは思わないけれど。
廊下を抜けた一行は、漸く螺旋階段へと辿り着いた。フランキーへ連絡を取りながら慎重に視線を巡らせる。
「フランキー、そっちはどう?」
《あと少しだ。よーし、いたぞ》
フランキーは空調のための鉄格子を取り外した。そこから下へと降りられそうだ。下には髭の生えた巨大な電伝虫が鎮座していて、その周りを幾人かの黒服の男たちが守っている。
(こりゃ、ちょっと厄介かもな)
副船長がルフィ(アホ)をよろしく頼むと言っていたが、流石に…流石にやるときはやってくれる男だから大丈夫だろうと思っている、んだが。本当に大丈夫だろうか?なんか滅茶苦茶厄介そうな状況じゃないか?
《そいつから伸びてる3番のケーブルが、螺旋階段の映像と繋がってる》
「あれか…あそこにこの白電伝虫をつければ、映像を止められる」
「よし!わかった!」
ルフィは意気揚々と頷き、枠に手をかけながらひょーいと飛び降りた。だが、長さが足らず、警備員に見つかる手前ですぐさま引き返す。
「気を付けろ!」
「ん、わかった!」
《……ルフィ、本当に大丈夫か?》
「ルーク!ニヒヒッお前が心配してくれんなら、ヘーキだ!」
任しとけ!と言いながらルフィは再び飛び降りる。体を安定させるために手足をケーブルに回した…ところまでは良かったんだが。
パシッと枠をつかんでいた手を離して元にもどし、白電伝虫をつけようと懐に手をいれる。取り付けが完了して、やったぞ!と言わんばかりに上を見上げたルフィは、フランキーがやっちまったと言わんばかりの顔をしていることに気づいて首を捻った。
ぎぎっと視線を巡らせると、呆然とした様子の黒服の男たちと目が合う。途端に鳴り響く警報。一斉に発砲してくる警備員たちから護るようにフランキーが飛び降り、相手に向かってロケットランチャーを撃ち込む。爆煙のなかを撤退しようとしたその時、まるで蔦のように伸びてきた黄金が、フランキーの左胸を刺し貫いた。
「フランキー!」
「ハハハ!こんなところにまで侵入してくるとは…」
床をすり抜けて、タナカさんとテゾーロが姿を表した。テゾーロは実に楽しそうにルフィをみて目を細める。この男を、仲間を、目の前で殺して見せたらルークはどんな表情をするだろうか。あのすました無表情が崩れるのだろうか。
恋慕、愛、そんなものでなくともいい。憎悪、悲しみ、怒り……どんな感情でもいい。――少しは自分に執着してくれるだろうか。
「全く…こんなことをして仲間がどうなってもいいのかな?」
パチンッとテゾーロが指をならすと、空中に巨大なスクリーンが現れた。そこには巨大な黄金のオブジェに飲み込まれ、肩口から上だけ出ているゾロの姿があった。思わず言葉を失うルフィに、どうだ?素晴らしいだろう?とテゾーロは続ける。
「公開処刑、そして私とルークの神聖なる結婚式にふさわしいステージだと思わないか?ハハハ!!It's a entertainments!!」
どうだ?麦わら
「笑えよ!アハハハハ!!」
「笑わねぇ…!お前をぶっ飛ばす!!」
ルフィはギア2を発動して飛び出した。圧倒的な速さでテゾーロへ拳を叩き込みに行くが、ここはテゾーロの半身とも言える場所。一瞬にして出現した黄金の壁が拳を遮り、黄金でコーティングした拳をルフィの横っ面に叩き込む。
もんどり打って吹っ飛ぶルフィ。だが、彼も諦めてはいない。すぐさま体勢を立て直して土煙に隠れて懐に飛び込む。不意打ちが成功したように思われたその時、ルフィの両腕はテゾーロの作り出した黄金に飲み込まれた。
「この街で私は無敵だ」
「動かねぇ…!」
「覚えておけ。この世界は金のないやつは何も手に出来ない。支配されるしかないんだよ」
「黙れ!!!!俺はそんなもんに支配なんかされねぇ!!!!」
「そんなもん?」
一瞬脳裏を過った、おぞましい記憶。
「やれるもんなら…やってみろ!!!!」
テゾーロは容赦なくルフィを投げ飛ばした。派手に飛んでいく体。動かないルフィとフランキーに、未来があればな、と吐き捨てて踵を返す。
「ボトムレス・ヘル」
タナカさんがそう呟いて二人の足元にポンと手を触れると、床に円形の穴が開き、ルフィとフランキーはなすすべなく奈落の底へと落ちていった。