ONE PIECE FILM GOLD
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黄金に光る広い部屋。その奥にはジャグジーがあり、テゾーロは3人の金髪の美女を従えて楽しんでいた。呼びつけた客人が来ても全く意に介さないらしい。否、そもそもこのような場に客人を招くこと自体どうかしているのだが。
「よく来てくれた。サイファーポールの、何といったかな?」
「はぁ!?っ、ぐ、今回の天竜人と天上金の警護は、このCP0のスパンダムにお任せあれ!ドゥワーッハッハッハ!!アーハッハッハー!」
スパンダムは己の扱いに不満げな声を漏らしたが、喉元まででかかった文句を飲み込んだ。気にしないで大人の対応ができる方がこちらの評価も上がると言うものだ。
「まぁ、よろしく頼むよ」
それは気持ちだ、とテゾーロはタナカさんに大金の入ったケースを渡すよう指示を出した。流石のスパンダムも、海軍に対して賄賂を渡すテゾーロに眉根を寄せた。なめられている。公権力をなんだと思ってるんだこの男。
「どうした?いらないのか?」
「ま!まぁ~とりあえずもらっておこうか。ワーッハッハッハ!!」
「そういえば、今この船に麦わらの一味が来てますよ」
「何!?」
「大層酷い目に遭わされたそうで。スルルルル」
「ふん!うるせぇよ」
どかどかと足音高くスパンダムは部屋をあとにした。よいのですか?あのような者に任せて、と振り返るテゾーロに、もっと使えるやつを寄越せとサイファーポール総監に伝えるように命じ、ザパァッと立ち上がる。
「あと海軍からも10隻ほど軍艦を出してもらえ」
「スルルルル…承知しました」
「やっぱりね」
盗聴用の黒電伝虫から聞こえてきた会話に、コアラは満足そうに笑ってカップを傾けた。首尾は上々。懸念事項と言えば、先に潜入したマックスとは連絡がつかなくなったことか。何かあったのだろうか。
「あいつのことだ、カジノに入り浸ってるのかもな」
帽子で顔を隠した金髪の青年は、寝転がったまま呟いた。心配しなくても大丈夫だろう。彼も優秀な人材だ。コアラは、そういえばと笑顔で青年――サボを振り返った。
「彼らも来てるみたいよ」
「?誰だ?」
「麦わらの一味」
「へぇ?」
愛しい彼にもまた会えるのだろうか。面と向かって会うことができないのがもどかしい。
コアラはにやけた面を晒すサボに、またルーク様のこと考えてるのね、と苦笑して盗聴に専念する。ルークは世界政府から「皇」と呼ばれ、その美貌と言霊を操る絶対的な能力から崇拝するものも多い。
もっとも、ルーク本人はうわべだけを見られるのを厭い、呼ばれると少しばかり不機嫌そうになるけれど。
それは革命軍とて同じことで、「皇」と呼ばないまでも、ルーク様と敬称付けて呼ぶのが常だ。彼を知れば知るほど、尊敬の意も込めて自然とルーク様と呼ぶようになった。
ルーク様をルークと呼び捨てにし、俺の嫁だからと豪語する男なんざこいつくらいか、とぼんやり考えていると、使用人たちの声が聞こえてきた。コアラはその内容に思わずコーヒーのカップを取り落とした。
「あ、明日夜12時から、フリージア・ルークとギルド・テゾーロの結婚式!?」
「はぁぁあ!!??」
サボも思わず飛び起きた。あいつまた変な男に目をつけられてんのか!!ルークは、クールで冷たいように見えて、実は感情の出し方が分からないだけで押しに弱く、身内に頗る甘い。見た目も能力も一級品だが、中身も知ればよりほしくなる気持ちはわかる。だが、あれは俺のだ…!
実はこのサボ、幼少期にルークと三三九度の盃を交わしていたりする。もう一度言おう「三三九度」だ。ルーク自身はそれが和の国の婚儀の証とは知らず、エース、ルフィとも三人に言われるがまま盃を交わしているのだが、そんなことは記憶の彼方に投げ捨てておく。
要するに、「ルークは俺の嫁」という事実さえあれば、当時盃の意味をルークが知らないで交わしたのだとしても、それはそれでいいんだと力業の解釈な訳だ。
「あー…喧嘩参戦するの?」
「………………これは麦わらの一味とテゾーロの喧嘩だ。強いて言うならルフィ、ルークとテゾーロの。俺が手ェ出したら怒るだろうなぁ…」
怒ったところで可愛いだけなんだが。
コアラはのろけながらもあーだのうーだの言いながら一人テゾーロへの殺意を高めていくサボに、呆れたようにため息をつくのだった。
翌朝、町へ繰り出した一味は、変装に必要な物を買いこみ、作戦を練った。ルフィとフランキーは黒のレザースーツ。ルークたちは各々メイドや道化師など様々な格好に着替え、やる気十分だ。
……まぁ、仲間たちにゴリ押しされて、ロビンと同じくピンク色のメイド服に網タイツ風のニーハイソックスを履かされたルークの顔は若干死んでいるけれど。緩く巻かれた金髪のウィッグはセイレーン特有の耳のヒレを隠し、元々の中性的な美貌のために女装も違和感はない。
(……俺がこの格好をする意味はあったのか?)
まぁ、皆が楽しそうならいいか、とさくっと諦めて遠い目をする辺り、どれだけクルーに甘いかがうかがえる。
計画はこうだ。
巨大金庫があるのはホテルの最上階、ハイパースイートエリア。そこにある黄金の天空ドーム、その中に5000億ベリーはある。床も壁も天井も分厚い黄金で出来ているから、侵入は不可能。
テゾーロは覚醒した能力者。この街の金は全て繋がった状態で、もし金に強い衝撃が加わればすぐに気づかれる。
そのため、侵入するにはドームへ続く螺旋階段を登るしか道はない。でもここには映像電伝虫が大量に配置されているから、普通に侵入してもすぐに見つかってしまう。
まずチームA…ルフィとフランキーがホテルの外壁を上って上層階へ。時計部分から侵入。コントロールルームへ入り、そこの上にいるホスト電伝虫を操作して螺旋階段内部の映像だけを一時的に停止する。
その間に別動隊のチームBは、カジノフロアからエレベーターを使ってVIPカジノへ。タナカさんのチェックを通り抜けて、ハイパースイートエリアへ侵入し、その奥にある螺旋階段への入り口へ向かう。警備を突破すればあとは一本道。
まっすぐに進めば螺旋階段にたどり着く。電伝虫の映像が止まっている間に一気に上まで駆け上り、最上階の金庫を用意していた鍵であければ、目的のものは手にはいる。あとはホテルのランドリーカートに札束を詰め込んで、堂々と正面からでる。これでミッションコンプリート。
(とは言ったものの、大丈夫だろうか?)
主にルフィ。フランキーがいるからいいだろうが、あれもなかなかの馬鹿だから気を抜かないでおかないと。
「あれ?そういえばサンジさんも空飛べるんじゃ…」
「あんな重い奴乗せて飛べるかよ。それに俺はレディたちをお守りする大事な役目があるからな~~♡」
「しっ!来た」
ナミの声に皆で息を潜める。数人の男たちが、ガラガラとダイスがスペシャルギャンブルで使う丁半の壺のようなものを運んでいた。カリーナが引き付けている間にこの中に忍び込む算段になっている。
「あら、素敵なマッチョさんたち」
「あっカリーナさん」
「ねぇ、それはどこに運ぶの?」
「あの…これはVIPエリアに。ダイス様が割ってしまうので、自分達が補充を…」
男たちはカリーナへ道を開けた。##NAME1##は今なら行けるか、と皆をそっと移動させる。カリーナはそれを横目で確認しつつ、胸を強調するように前屈みで揺らす。
「へ~!見せて見せて♡あぁっすごい!なんて大きいの?」
「はい…大きいです♡」
「なんて立派なの?」
「はい…立派です♡」
男たちがすっかりカリーナの体に見とれている間に一行は音もなく壺の中に忍び込む。息を潜めてタナカさんのチェックを通り抜け、隙を見て抜け出すと全力で走り出す。
「おい、そこのメイド」
「っ!?」
ガードマンの一人がルークの腕を捕まえた。全員が慌てて物陰に隠れるのを確認して、ルークはどうしたものかと思案する。
「お前、新入りか?」
「あれ?見ない顔だな?こんな美人なメイド、今までいなかっただろ」
「こりゃ、今度は楽しめそうだなァ」
腕をつかんだ男の周りに、他のガードマンも集まってくる。下卑た男の視線に耐えかねたようにルークは下を向いた。どうしてこうも次から次へと貞操の危機に陥るんだ俺は。
俯きながら辺りを見渡し、素早く状況を察知する。相手は今目の前にいる三人。他は近くにはいない。大声をあげられては厄介だからさっさと伸さなくては。
「ふぇぇ…知らない男の人こわいよぉ」
(((((((誰だお前ぇぇぇぇ――――!!!???)))))))
端から見守っていた面々は驚きに思わずぶっ飛んだ。きゃるるんっ♡と効果音がつきそうなくらい、涙目上目使いで女の子声をだすルークの演技力は凄まじかった。よくお前普段表情筋死んでるのにそんなことできるなと感心するレベルだ。
案の定デレッとした顔で油断した男たちを、下から思いきり上段蹴りで蹴り飛ばす。鉄扇をうなじに叩き込み、飛び回し蹴りで頭を吹き飛ばす。流れるようなそれは無駄も隙もなく、まさに瞬殺。
「…邪魔だ」
(((((((怖ッッ!!!!)))))))
無様に吹っ飛ぶ三人を、能力で物陰へと放り投げ、行くぞ、と隠れている面々に声をかける。慌てて飛び出してくる面々に、すまないな、と困ったように微笑してルークは再び走り出した。
(ルークすげー!)
(かっこいい…!)
(あんな特技があったなんて…!)
うちの副船長すげー…とルークの新たな一面が見れたことにクルーたちがはしゃいでいたことなど、ルークは知るよしもなかった。