ONE PIECE FILM GOLD
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「うっひょー!これがカジノかー!」
広いな~~!と目を輝かせるルフィに、バカラはにこにこと解説を続けていく。このカジノには様々なゲーム、アトラクションがある。
とりあえず2000万ベリー分のチップをお貸ししましょうなんてすんなり出してきたバカラに、ほんとに借りていいの?とナミはまじまじとチップを見つめた。
「はい、遠慮なく」
「ありがとう!俺遊んでくる!行くぞルーク!」
「っ!?ちょっと待て馬鹿…!」
チップを一掴みぶん取ると、ルフィはルークの手を引いて駆け出した。俺も!とウソップとチョッパーが追いかけてくる。とりあえず落ち着け、とルフィの頭を軽く叩き、「HOT CHELL」とかかれた看板の下で、近寄ってきたバニーにここは何なんだと聞いてみる。
「は、はいっ♡///ここはカメ車レースとなりますっ(きゃ~~綺麗な人ぉ~~♡♡)」
「参加料は1回100万ベリーでーす♡///(やだ声も素敵♡♡)」
「100万ベリーだと?」
なるほど、バカラがとりあえずと言って2000万も貸すわけだ。掛け金がでかい。出るぞ!と言ってきかないルフィたちに、わかったわかったと困ったように微笑しながら、代わりに手続きをしてやる。
「お前は出ねーのか?」
「…俺は待ってる。こういうのは見てる方が好きだ。――かっこいいとこ、期待してる」
「シシシッ!おう!」
ルークはルフィたちと別れ、一足早く観客席に入る。凄まじい熱気だ。よほど人気のレースなんだろう。だが、グラン・テゾーロでのレースだ。一筋縄ではいかないことは容易にうかがえる。
「あんたたち!負けたら承知しないわよ!ていうか何であんたがいながら止めらんなかったのよ~~!!」
「……俺が止められると思うか?」
ナミはそれもそうね、とがっくりうなだれる。ついであんたの言霊で必ず勝たせろ!!とびしっと指を突きつけられ、それは勝負の世界ではタブーだろ、と首を振る。
「ルフィ、ウソップ、チョッパー。Good luck」
「任しとけって!勝てばいいんだろ?勝てば」
《さぁ、やってまいりました!ルール無用のカメ車レース!参加台数は6台!カスタムOK!妨害OK!兎に角一番早く一周して戻ってきたものが優勝!参加費が10倍となって返ってきます!さぁ、緊張の一瞬!》
――レディ…ゴー!!!!
各車が一斉に爆音をあげてスタートする。銃火気の使用も能力の使用も無制限なこのレース。コースアウトがたて続き、残り3台のデッドヒート。僅差で優勝したのはなんと、麦わらチーム。
「よーし!この勢いで勝ちまくるわよー!」
(……まぁ、わかってはいたんだが)
ストッパーが居なくなったなぁ、と遠い目をしつつ、ルークは一味の皆に振り回され続けた。ルーレットにスロット、ポーカー、闘技場…あっという間に積み上がっていくチップの山。
「すごい…3000万ベリーも儲かってる…!うふふっ」
「すげぇ!」
「特にルーク、お前あんなにポーカー強かったのか?」
「……まぁ、な」
先程半ば無理矢理ポーカーに参加させられていたルーク。これがまた負け無しであった。そもそも、数々の海賊やら海兵やらに取っ替え引っ替え船にのせられ、そのなかで酒の席での賭け事なども教え込まれたルークにとって、その辺のディーラーなど相手にならない。
『コール。…ロイヤルストレートフラッシュ』
『なっっ!?』
『悪いな』
悪いな、なんて言いながらしれっと1000万ベリーほどふんだくって来たのだから質が悪い。相手のディーラーは完全に意気消沈してがっくり膝をついて項垂れていた。
「なんであんなに強いんだ?」
「……………………運だろ」
シャンクスやらニューゲートやらに、ポーカーに負けたら脱げ!とかいろいろ言われ、必死になってカードの読み合いやらイカサマやらの腕を磨いた子供時代を思い出して、ルークは顔をひきつらせた。あぁ、思い出したくもない。
「流石ですわ、皆様。では、そろそろVIPルームへいきませんか?」
「なんだそれ?」
「ハイリスク・ハイリターン。勝てば億万長者のスペシャルギャンブルに参加しませんか?」
バカラの言葉に皆息を飲む。どうする?と顔を見合わせ、意見をうかがうように視線を投げ掛けてくる面々を一瞥すると、ふむ、とルークは独り言ちた。ここは、かけてもいいかもしれない。
「ナミ、うちの財布を預かるのはお前だからな。お前の好きにするといい」
「ほんと!?…そうね、ここはもちろん勝負よ!」
「That's great!最高ですわ!」
バカラは感情の読めない笑みを浮かべた。一行はエレベーターで上の階へと連れていかれる。やがてエレベーターが止まったかと思えば、閉ざされた扉の向こうからタナカさんが壁をすり抜けて顔をだした。
「うわっなんだこいつ!?」
「彼はこのカジノの警備責任者、タナカさんです」
タナカさんは中へ入り込むと、片手を胸に当てて礼をとった。
「ようこそ、スルルルル…」
「彼はヌケヌケの実の能力者で、無機物なら何でもすり抜けるのです」
「ささっ!どうぞお手を」
半信半疑で手を繋ぐと、一行は壁をすり抜けるタナカさんに続いて壁をすり抜けた。抜けた先は、黄金の壁に朱塗りの床。階下では巨大な壷が置いてあり、人々が賭け事に興じている。
黄金の壁と天井の照明は金魚の水槽が備え付けられていて、何処と無く和を感じさせる作りとなっている。2階のロビーと見られる部分にはソファーとテーブルが置いてあり、テーブルの上で全身金に染まったダンサーが水着姿でポーズを決めている。
「ここがVIPルーム?」
「へぇ~、スペシャルギャンブルってのは丁半か?」
「はい」
サンジは辺りを見回し、海軍がいることに気づいて目を眇めた。海軍も悠々と闊歩するのか、ここは。
「ご安心ください。グラン・テゾーロは世界政府によって認められた特別中立区。海軍は海賊に手を出さない、そういうルールとなっております」
「へー」
「なるほど」
ルークは興味深そうにまじまじと丁半の様子を見つめた。大男二人が鉄のサイコロを運んでくる。そしてそこに、体の至るところにサイコロの目が描かれた格好をした男が進み出てくる。
「なんだ?あいつ」
「彼はダイス。元は裏世界一危険と言われたデスマッチショーで無敗を誇ったチャンピオン。あまりの打たれ強さに相手がいなくなってしまったらしく、今はディーラーとしてここを任されています」
ダイスはサイコロを軽々持ち上げると、天井高くまでひょいと投げた。鉄の壺でそれを受け止め、勢いよく地においたかと思えば、天高く飛び上がって斧ではなく額で叩き割る。
「2.6の丁」
「どうです?エキサイティングでしょ?」
「意味がわからないわ」
「……右に同じく」
ルークとロビンは呆れたような視線を向けた。バカラは、チップをとりあえず3億ほどお貸ししましょう、と頬笑む。流石にここは慎重に…と相談を始めたナミたちを尻目に、一人勝手に輪に入っていたルフィは全部丁!と言い切る。
「オィィ!!」
「大丈夫だ。あれのくじ運は強い」
ルークは慌てることなく、傍にあった水槽の金魚をまじまじと見つめている。どうやら気に入ったらしい。フランキーは今度金魚用の水槽でも置いてやろうと心に決め、ルフィたちに向き直った。
「ピンゾロの丁!!」
「よーし!ナハハハハ!」
「うおぉ!すっげー!」
倍だ!!と喜ぶナミとウソップ。さすがルフィ様、素晴らしい強運です、とバカラは笑った。
「行ける!私たち本当に…億万…!」
「落ち着け!」
「これはこれは、グラン・テゾーロへようこそ」