沈黙の15分
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その日の午後、ダムの底に沈んだ山尾さんの元の家から、宝石類の入った鞄が発見された。証拠を突きつけられた山尾さんはすべてを自白、事件は解決した。
みずきさんは8年前の妹の件を告白。警察に事情を聞かれることとなった。
冬馬くんは、すべての記憶を取り戻したわけではなかった。しかし、彼がすべてを思いだし、本来の笑顔を見せるようになるのは、そう遠いことでは無いだろう。
「荷物の方は、こちらの住所へ送っておきましたので」
「ありがとうございます。お世話になりました」
「あんなことになってしまいましたが、またいらしてくださいね」
フロント係の女性の言葉に、子供たちははーいと元気よく手をあげる。絶対来るぜ!なんて楽しそうに宣言するのを微笑ましげに見つめていると、きゅっと誰かに手を握られた。見れば、ふいっとそっぽを向いた幼馴染がしっかりと手を握りしめている。
「オメー、からだの方はもういいのか?」
「ふふっ心配性だね。もうすっかり元気だよ」
ふわりと花のように微笑む蓮。と、小五郎が運転する車がやって来た。早くしろ!!ぐずぐずしてるとおいてくぞ!!と急かす小五郎に、園子は何急いでんのかしらと眉根を寄せる。
「あー!誠さんへのお土産買ってない!」
「あ、私も!」
ロッジに戻ろうとする蘭たちに、小五郎は早くしねーと間に合わねー!と声を荒らげる。
「あー!私たちも小林先生にお土産買ってないー!」
「やっぱ熊の饅頭だろ?」
「何いってるんですか!白鳥のマグカップで決まりですよ!」
「俺は梟がいいと思うぞ?」
元気な子供たちに、くすくすと小さく笑みをこぼす。あと15分だ!15分で出ちまうぞ!と拳を振り上げる小五郎に、みんな一斉にロッジへと駆け出す。皆を追いかけようと足を踏み出した蓮は、雪でつるりと足をとられた。
「ひゃ…!?」
「っと…ははっ!お手をどうぞ?王子様」
「…むぅ」
胸に飛び込む形でよろけた蓮を抱き止めて、その柳腰と頬をガッチリホールドしながら、成実はにこっと笑った。そっと胸を押すも、しっかりと抱き締められていて動けない。蓮は思わずジト目で成実を見上げた。
(…本人はあきれた顔をしているつもりなんだろうけど、上目使いで可愛いだけなんだよな)
「行きますよ!もう!」
時間無いんですからなんて言いながら、蓮は無意識に成実の手を引いて歩き出した。成実はその手と蓮をきょとんとしながら交互に見つめる。
二人きりでロマンチックにデートするどころか、大所帯になったあげく大事件に巻き込まれてしまったりしたけれど。
(こんなのも、まぁ…悪くはないかな)
成実は心底嬉しそうに微笑んだ。