瞳の中の暗殺者
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「すごーい!たくさん来てる!」
「…やはり警察関係者が多いね」
蓮は見知った人達にそっと微笑んでペコリと頭を下げた。華のような笑顔に、それを見た者はかぁっと頬を赤らめ、だらしなくにへらっと笑って手を振り返す。そんな息子の人タラシっぷりを横目に、英理はぐるりと会場を見渡した。
「警察関係者は一目でわかるわね。目付きが悪いし、重苦しい雰囲気だわ」
「無理もない。例の事件の捜査で、パーティどころじゃねぇんだろう」
「でも、佐藤刑事はいつも明るいわ」
どう?馬子にも衣装でしょ?なんて笑う佐藤刑事と、よくお似合いですとタジタジの高木刑事に、蘭と蓮は微笑ましげにくすくすと笑みをこぼした。
新郎新婦が登場し宴も酣な時に、白鳥は小五郎たちのもとへ歩み寄った。
「毛利さん」
「よっ!おめでとう!!」
へらっと笑う小五郎に、白鳥はにこりと軽く微笑みながら、後ろに控えた男性を紹介する。
「ありがとうございます。あの、ご紹介します。私の主治医で、米花薬師野病院心療科の、風戸先生です」
「風戸です」
「よろしく、毛利です!妻の英理に息子の蓮、娘の蘭、そして居候のコナンです」
ペコリと頭を下げながらも、米花薬師野病院 心療科医師だという男性に、蓮は何か直感的な違和感を覚えて、僅かに後ずさった。
「あの、僕お酒頂いてきますね」
「蓮?」
蓮は一人壁に寄りかかると、疲れたように息をついた。なんだろう。あの違和感は。笑顔なのに、目の奥が笑っていないような、どこか怖い顔…
(なんて、初対面の方なのに失礼なことしちゃったな…後で謝らなきゃ)
「蓮ー?大丈夫?」
「蘭…うん、大丈夫。僕も皆のとこ行くよ」
手を引かれてまたみんなの輪の中へと入っていく。そこでは、丁度園子が新郎新婦と談笑していた。
「じゃあ、プロポーズの言葉はなかったんですか?」
「えぇ。彼、そういうの苦手だから…」
たはは…と頭をかく新郎と、それでも幸せそうに微笑む新婦。蓮は微笑ましそうに小さく笑った。母譲りの栗色の髪をさらさらと揺れる。長いまつげがふるりと揺れ、眩しそうに目を細める。
「男はそれくらいの方がいいわよ!歯の浮くようなセリフ言うヤツに、ろくなヤツはいないから…」
ぶっきらぼうに言う母の言葉に、双子は顔を見合わせた。悪戯っ子のような好奇心の塊といった表情で興味津々に話を聞く。
「ねぇ、前から聞こうと思ってたんだけど、お父さんは何て言ってお母さんにプロポーズしたの?」
「あ、それ僕も聞きたい」
「もう、蓮まで…だから歯の浮くような下らないセリフよ!」
「先生!教えてください!」
「でもなんか、忘れちゃったから…」
「またまたぁ、とぼけちゃって…」
「今後の参考のために、ぜひ!!」
「もー、焦らさないでよ、お母さん!!」
照れながら焦る英理に、皆で食いつく。一歩下がりながらも、蓮もにこにこと楽しそうに母の言葉を待っている。
「んーっと…「お前のことが好きなんだよ!この地球上で誰よりも」…だったかな?///」
「「「わぁーっ♡♡」」」
「わぁ…母さんと父さん。へぇ…」
ちょっといいなぁとか、思ってない。…っていうかあの父さんがそんなことを…何て言うか、実はうちの両親はけっこうロマンチストだし、何だかんだ仲良しな気がする。
「蓮は言われる予定ないの?」
「はぁ…!?」
華奢な肩がびくりとゆれる。誰にだよ、と流そうとするが、蘭は笑顔で次々名前をあげていく。新一でしょ、白馬くんに、怪盗キッド、あとうちの学校の……次々上がる名前にぶわっと赤面する。
「そっ、そんなやましい間柄じゃないよ!しかもそんなにいっぱい…みんな男の子だし…///」
「だってむこうは蓮のこと大好きじゃない。告白もあるでしょ?」
「それはっ……うぅ////」
にこにこ楽しそうな片割れになにも言えなくなる。女の子でも告白してくれる子はたくさんいる。…それ以上に男子から狙われているだけで。
「どーしたの?蓮兄ちゃん…顔赤いよ?」
「ぅえ!?あ、ううん!何でもないよ!///」
コナンは蓮の表情に小首をかしげた。蓮は顔が暑い…とぱたぱた仰ぐ。とその時、小田切警視長の怒号が響いた。息子の敏也と、何故ここにいるのかと口論に発展しているようだ。白鳥がとりなそうとするも、小田切警視長は止まらない。
「出ていけ!!野良犬がエサを漁るような真似はやめてな!!」
「何だと!?」
「敏也さん!!」
佐藤刑事に肩を押さえられ、敏也は不服そうに鼻を鳴らすと煙草の火を灰皿に揉み消した。
「ケッ!邪魔したな!!」
「あ…敏也くん!」
騒然とする会場を後にする敏也という男性を見送りながら、蓮は敏也と共に姿を消した女性に訝しげな視線を送った。