ルパン三世vs名探偵コナン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ミラは蓮とコナン、そしてルパンと共にあの桜を訪れていた。
ここで、あんたの母さんに会ったんだ。と桜を見ながら、ルパンは懐かしそうに言った。あのときも、満開の桜が咲いていた…
クラウンと一緒に、私も盗んで!と、あのとき彼女は言った。籠の中の鳥は嫌、大空を羽ばたきたいのだと。サクラの親が王だったように、サクラは、ゆくゆくはこの国を納めなくてはならない。俺とじゃなく、この国の国民と大空を羽ばたくのが、彼女の運命。
この国がまた、サクラのお陰ていい国になったら、そのときはまた盗みに来てやると、約束した。そんな約束は、とっくに忘れていたけれど、彼女が死んだと聞いたときに、思い出したのだ。
ルパンはクラウンを取り出した。コナンはそれをみて目を眇める。
「おじさん。泥棒は犯罪だよ」
「俺じゃねーよ。盗ったのはバイクのねーさんだよ。」
「仲間なんでしょ?」
「っるっせーなお前。こーすりゃいいんだろ?」
ルパンはミラの頭にクラウンを被せた。
「こいつは返すぜ。やっぱりあんたの頭の上が、一番お似合いだ」
ところで、とルパンはコナンと蓮を振り返った。どうしてサクラが撃たれたのが、事故じゃないと思ったのか。
「パパが言ってたぜ?ここを調べたときから、オメーらは決めてたって」
「それは、あの折れた枝さ」
「あの枝が?」
ジル王子も、お母さんがこの桜を好きだったって知ってたはず。だから、その大事な桜に銃を向けたりしないだろうなって。そう語るコナンの声を聞きながら、蓮はそっと桜に歩み寄った。
「成る程、それで撃ったやつは王子じゃねぇ、と」
「桜が、教えてくれたんだよ」
蓮は泣きそうな顔で微笑みながら、そっと桜に額をつけた。やっと、終わったよ。…ジル。
「あ、僕からもおじさんに質問していーい?」
「あ、そうだ。僕も聞きたかったんだよねー」
「ん?」
蓮とコナンは揃って小首をかしげた。
「貴方のお名前は?」
「僕、まだ聞いてないんだけど」
「あ、あり?そうだっけか?」
ルパンは茶目っ気たっぷりに片目を閉じた。
「俺の名は、ルパン三世」
ルパンを見送った三人のもとに、キースとカイルが迎えに来た。
「あの方たちは、もう行ってしまいました」
「そうですか」
「一日も早く、クイーンクラウンを盗みに来ていただかなくては」
えっと驚くキースとカイルに構わず、晴れやかな顔でミラはそれを見上げた。そんなミラを、コナンと##NAME1##は微笑ましげに見つめる。
「この国が美しく平和な国にならないと、あの方は来てくれません」
王宮に戻ったミラは、戴冠式の前にと蘭と小五郎を呼んだ。
「貴方たちには心から感謝をするわ。本当にありがとう。蘭、あの夜は本当に楽しかったわ。蘭のお陰よ」
「いえ、私もお姫様になれるなんて……」
頬を上気させる蘭に、ミラも楽しそうに微笑んだ。側で控えていたカイルが声をかける。
「ミラ様、お時間です」
「えぇ。そういえば、キース。蓮に何か言うことがあるんじゃなくって?」
「え?」
驚いた様子のキースと、なんだなんだと興味津々な小五郎と蘭。ミラはニッコリと、実に楽しそうに笑って言った。
「帰っちゃう前に想いくらい伝えないと、別な人に盗られちゃうわよ」
ぴしっと音をたてて固まるキース。…いや、彼に思いを寄せているのはそうなのだが…それを彼の身内の前で暴露されるとは。蘭はきゃーなんて興奮したように声をあげ、小五郎はそうなのか!?と目を剥いている。
「ご心配なく。…ちゃんと捕まえます」
そうぎこちなく返すキースに、カイルも思わず小さく吹き出した。本当に、蓮やミラから振り回されてばかりの人だ。まさかこんなに動揺した姿が見られるなんて、思ってもいなかった。
「あれ?そういやコナンと蓮は何処だ?」
「え?さっきまで戴冠式を見るんだって…」
「コナンくんは、先程、日本の大使館からお迎えが来てましたよ。何せ彼は、不法に入国してますから」
「でしたな」
では我々も行きましょうか、と踵を返した銭形の背中には、一枚の白い紙が。ガキンチョと可憐なおにーさんはいただいた!と書いてある文字。
「「えぇぇえ!!!!????」」
「まぁ!大変!」
目を剥く二人に、ミラたちは楽しそうに笑った。
大使館からのお迎えの車内。後部座席で、一人の職員の膝に抱っこされたコナンは、焦ったように思案を巡らせた。
(まずい…パスポートの申請なんてしたら、江戸川コナンなんて存在しないことが…っ)
「流石の名探偵もお手上げって顔だな」
「え?あ、お、おじっルパンさん!?」
「言いにくそうだな~。ま、おじさんでいーよ」
ぎょっとするコナンに、隣の次元はへんっと鼻をならす。
「へっ。さっきから変装は解いてたのによ」
「気づかなかった?」
「バイクのおねーさん?それにパパ~」
「パパって呼ぶなって言っただろっ」
「髭いたい~」
ぐっとコナンの胸ぐらを引っ付かんで髭を擦り付ける次元。と、それを五右衛門と次元の間に座っていた職員がやんわりと止めた。
「ダメですよ、運転中は座ってないと危ないです」
「っな///蓮!?///」
ぎゅっと抱き直され、膝の上に戻される。何でここにとか、下ろせとか、言いたいことは山ほどあったのだけれど、口は魚のようにパクパクするだけで一向に言葉が出てこない。
「僕の変装くらいは見破れるかと思ったんだけどな~。10年以上一緒にいるのに分からなかったの?」
(今はそれどころじゃねーだろバーロー!)
子どもに見えても中身は高校2年生だ。何が悲しくて想い人の膝に抱っこされるなんて情けないことをしなくちゃいけないのだ。…抱っこするなら、構わないけれど。
五右衛門は、隣でじたばたするコナンをじっと見下ろした。
「どこから見ても子供だが?」
「え?」
「それが可哀想に中身は高校生なんだと」
「え?あっちょ…」
「体が子供なんて、切ないでしょ?ね、蓮くん?」
「え、何で僕にふるんですか」
今度は蓮が困惑したように小首を傾げた。意味が分かってしまったコナンはかえって真っ赤になる。五右衛門ははーっと息をつきながら、下ネタかと呟いた。
「全然下ネタじゃないじゃない!」
声をあげる不二子を、運転していたルパンは俺は体も中身も大人だからと抱き寄せる。ついでスパーンと小気味良く響く平手の音。
「安心しな。このおねーさんが無事に日本まで送ってくれるってよ。工藤新一くん」
顔にべったり紅葉を張り付けて、ルパンはぶすくれる。たまたま知り合いの船がいたからよ、と不二子は後ろを振り返り、蓮ちゃんも乗せてくからね♡とウインクした。
「ありがとう、でも次泥棒してたら捕まえるからね」
はっはっは!
車内にルパンの笑い声が響いた。
「妃 蓮か」
蓮とコナンが乗った潜水艦を見つめて、次元はぽつりと呟いた。ルパンはにやにやと次元を振り返る。
「惚れちゃった?」
「…さぁな。第一あいつまだ17だろ。ガキだガキ」
そう言ってひらひら手を振る次元に、ルパンはつまんねーのと言って車に乗り込んだ。
「でも、ま、嫁は取り返さねぇとな」
不敵に笑う次元の言葉は、人知れず虚空に溶けていった。