ルパン三世vs名探偵コナン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「これで全員か」
「私たちで最後だと思いますが…」
王宮に残った者たちは、皆東屋に集められた。何が始まるの?とざわめく人々。
「これで良かったのですか?銭形警部」
「はい。ありがとうございます。…おほんっみなさんに集まってもらったのは、他でもありません。先程、王宮金庫の中からクイーンクラウンが盗まれました!」
(悪いけど、先に俺にしゃべらせてくれ)
意気揚々と話す銭形。コナンは小五郎に向け麻酔銃の照準を合わせる。だが、一瞬早く気づいた小五郎がそれをスッと避け、銭形警部に命中してしまった。
(何してるんだよもう!)
一部始終見ていた蓮は思いがけない展開に卒倒しそうになった。どうするんだよ、これ。コナンは、やるっきゃねぇと慌てて銭形の声にダイヤルを合わせる。
「居るんですよこの中に。ミラ王女を殺そうとしているやつが」
「それ調べてたのは…」
俺ェ?とすっとんきょうな声をあげる小五郎。カイルやメイドたちも不思議そうな顔で「それは蘭さまと蓮さまのお父様が調べていたのでは」と顔を見合わせる。
「まずすべての発端は、あの不幸な猟銃事故」
あれは事故ではありません、と言った次の瞬間。
ふわぁ~ぁ
何処か間の抜けた声が響いた。ばっと振り返ると、欠伸をして背伸びをしている銭形が。コナンと蓮はぎょっとした。
(ばけもんかよ…!?象でも30分は寝てんぞ…!?)
(うわぁ益々どうするんだよー!!)
「そう、事故に見せかけた殺人だったんです」
前の台詞を引き継いで意気揚々と話はじめたのは、なんと小五郎。その後ろ手に握られたビデオカメラをみて、蓮とコナンは瞠目した。…泥棒のおっさん?
(面白そうじゃねぇか。ガキンチョ、おにーさん)
「ちょ~っと先にしゃべらせてくれっかな?とっつぁん」
(分かったぜおっさん。うまく合わせろよ)
ひらひら手を振る小五郎、ないしルパンに、コナンはニヤリと笑って推理を続けた。
あの日ジル王子は、桜の木の陰にいた狐を狙って銃を撃ったところ、狐を逃がそうと飛び出したサクラ女王に命中してしまったのだと、ジラード公爵は証言した。
「そうですな?ミラ王女。…え゙?」
「えぇ。そう聞いてるわ」
「まさかと思うけど、今また間違えなかった?お父さん」
「お父さんなの?…ごほんっ」
うっかり出てきたルパンの素に、コナンは咳払いをすることでごまかす。ジラードは蘭の姿をみて、ぎょっとした様子で呟いた。
「何故あの娘がここにいるんだ…!?」
「日本のお嬢さんのこと、ご存じでしたか」
キースの言葉に、あ、いや…とジラードは口ごもった。SPの誰かが話しているのを聞いたかな、なんて白々しく誤魔化す彼に、キースは誰にも知らせずに連れてきたことを詫びた。
その間にも、コナンの推理は続いていく。
「自殺したジル王子が拳銃を握っていた手は右手。右の米神を撃っているんです。右に持つのは当たり前、そうなのか?…蓮。」
「ジルは…左利きです」
「な…っ!?」
「ほぅ?なら誰かが間違えて拳銃を握らせた…」
ジラードは驚いたように声をあげた。それに気付かないふりをして、コナンは続けた。
何故、王子は右利きと思われたのか。小さい頃の野球をしている写真の王子は、グローブを右につけていた。
「兄は小さい頃から、食事もサインをするのも右で教えられてきました。」
「成る程、時期国王ともなれば色々あるんでしょう。」
カイルは猟銃を小五郎に手渡した。あの事件で使われた、王子が持っていたとされる猟銃を。ライフルは、特注品でもない限り、左利きだろうと右で構えるしかない。…弾を装填するボルトは右にしかついていないから。
かしゃんっ
ボルトを引き、あ~あ、しょうゆ~こと~なんて好き勝手話はじめるルパンに、コナンは手すりに登って怒る。推理の続き聞きたいなー💢!なんて言うコナンに、蘭はビックリしたように声をあげた。
「コナンくん!!そんなとこ登っちゃダメでしょ!!」
「蘭、彼は僕が見てるから…父さん。続き」
「(父さんなの…!?)ジラード公爵~」
あなたそこに引っ掛かりましたね。直前まで右手でライフルを持っていた王子を見て、あなたはなんの疑いもなく右手に拳銃を握らせた。
『何故だ…何故…!何故母さんを撃った!!??―――っ!!!!』
『女王を撃ったのは、お前だよ』
ミラは震える声で呟いた。
「本当に、叔父様が…」
「何を言い出すかと思えば。銭形警部。あなたの部下はどうしても事件にしたいらしい。どうしたものでしょうなぁ?」
証拠はあるんだろうな?と言う銭形に、ルパンは勿論だと飄々と返す。女王を撃った猟銃の、ライフルマークのこともある。だから、ジルを殺したあとに猟銃を自分のものとすり替えたのだ。
蓮は唇を噛んだ。白い肌に血が流れる。柔和な美貌に怒りを閃かせ、その瞳は憎悪と憐憫に燃えていた。
ルパンはなんのためらいもなくライフルをぶっぱなした。悲鳴をあげ、腰を抜かす皆に空砲だよ、と悪びれもせずに言って見せる。
「この銃はあの日貴方が使用していた銃ですよね?私はコナンに、あの日ジラード公爵が使用していたものをとカイルさんに伝えてくれるよう頼みました。」
サクラ女王は、スポーツと称して動物たちの命を奪う狩猟が好きではなかった。ジル王子にもそんな遊びはしてほしくなかったはず。そこで女王は、弾丸を抜いた弾をジル王子に渡した。
その様子は、カイルが残した事故のファイルに、そしてその場にいた蓮が確認していた。
サクラ女王は、スポーツが得意で近代五種競技で優勝もしていた。その五種とは、馬術、水泳、ランニング、フェンシング。…そして、射撃。
「もういいよ、名探偵。…もし私が犯人だとしたら、何故証拠も消さずノコノコとこんなところに顔をだしているのかな?」
「俺が答えよう。…邪魔者をまとめて始末するためさ」
「流石だよ名探偵。あんたは一番最後にしてやるよ」
ジラードはハンドサインを出した。…だが、なにも起こらない。それもそのはず、その頃東屋の人間を狙撃しようとしていた輩は、皆次元と五右衛門によって伸されていたのだから。
「衛兵!」
「キース。王宮内におまえの言うことを聞く兵士は独りもいない!」
集まってきた衛兵は、皆ジラードのそばに控えた。ニヤリと嫌な笑みを浮かべて、ジラードは何かのスイッチを取り出した。
「動くな!真ん中の柱にはちょっとしたサプライズがあってな。みんなで仲良く女王のところに行けるって訳だ」
「テメェはどうすんだ。一緒にぶっ飛ぶ気か?」
「この距離だからな。下手をすれば巻き込まれる。だから押させないでくれ。…あぁ、蓮」
憎しみ怒れる様もまた美しいなと、ジラードは笑った。ジルに愛されていた当時から、ジラードは蓮に目をつけていた。仲睦まじく頬笑む二人に、その隣にいるのがジルではなく自分ならと、どれだけ渇望したことか。
蓮は、いくら寵愛されているとはいえ異国の平民。国王が妻にすると言えば、逆らうことなどできはしない。…否、王族に逆らうことなどできはしないのだ。
だから、ジルが蓮に求婚したと聞いたとき実行するしかないと思った。かの美しい少年への熱い、身を焦がすほどの恋情を、努々忘れることなど出来なかったから。
「可愛い可愛いお前を殺してしまうのは、流石に惜しい。…俺の元にこい。そうすれば、命は助かるし、お前も時期国王の妻だ。さぁ――」
「黙れ下郎!!今すぐその穢らわしい口を閉じろ!!!!」
珍しく声を荒らげた蓮に、皆は瞠目した。ルパンは一人、ひゅ~かわいこちゃんやる~♡なんて口笛を吹いていたけれど。
「…そうか、残念だ。ではキース。お前に最後のチャンスをやろう。」
キースは突然名指しされ、驚いた様子で僅かに眉をあげた。
「このヴェスパニア、私と一緒に大きくしてみないか?伯爵とは名ばかり。ずっと王室で子守りをしていて楽しいか!?お前の中に流れる血は、このチャンスに沸き立って居ないのか?カイルも助けようじゃないか。どうだ?男なら世界を相手に一暴れも二暴れもしてやろうじゃないか」
それが国民のためにもなるんだ。今、ヴェスパニアはその力を手に入れようとしている。新たなるエネルギー、世界が欲しがる無限のパワーをな!
キースは無言で踵を返した。かつりかつりとミラに向かってあるいてくる。
「我がスティンガー家は、王家に仕えて200年。私の体に流れる血は…―――最後の一滴までヴェスパニア王家に捧げる!!!!」
「貴様ら…!」
決まった~なんて皆キースの言葉に笑みを浮かべる。と、銭型はルパンの手に手錠を引っかけた。折角おにーちゃんがかっこよく決めたじゃないのよ、何とっつぁんKY?なんて軽口を叩くルパン。
そんな人達を尻目に、ミラは喉の奥から声を引っ張り出した。信じられない。信じたくない。そんな卑劣な外道が、身内にいたなんて。
「本当に、すべて叔父様の仕業なの!?」
「あぁ、姉さんにこの国は任せられん」
女王は、ヴェスパニア鉱石を採掘し他国に売り付けるビジネスに、最後まで反対していた。
『本格的に鉱石採掘が始まれば、このヴェスパニアの自然は失われます!』
『分かっていない!この国が、今どれだけの価値があるか!』
『分かっていないのは貴方です!利益を得る代わりに私たちはかけがえのない大切なものを失う!考えが小さいのは貴方です。地球を食い物にしてきた人間はやがて、地球に見捨てられます。それすら分からなくなったのですか!?』
野心無き王など、最早王の器ではない。その子供たちに変わったところで結果は同じ。
「それで、兄も、私も…」
「残念だよ、キース。だがお前の望み、最後に叶えてやる」
ピピッという電子音。ヤバイと悟るコナンとは対照的に、何処か間延びした色っぽい女性の声がした。…あの、バイクのおねーさんだ。
「スイッチ、いれたわよ~ん」
「はいよ!」
ルパンはジラードの腕に手錠をかけた。そのままジラードを引きずり倒す。駆け寄る衛兵たちもキースとカイルに阻まれた。
ルパンは蓮を振り返り、にかっと笑って見せた。今なら、二発くらいなら見逃してやってもいいぞ、なんて銭形も目をつむる。蓮はありがとうございます、と可愛らしく微笑んだ。
「はぁっ!!」
ガッと思いきり下から顎を蹴りあげる。一瞬にして蹴りの威力で持ち上がる体に、蓮は軽々跳ぶとやや下向きに回し蹴りを決めてジラードを沈めた。
「す、すっげぇ…」
「僕の大切な人たちを苦しめた報いには、こんなのまだまだ足りないけどね」
ミラは倒れ伏すジラードの前に、毅然と立った。
「もう貴方を叔父とは思わない。実の姉と、その息子を…そんなことができるなんて…!!」
迫り来る衛兵たちを、使用人や不二子達が次々ダウンさせていく。蓮は、涙を浮かべて怒り狂うミラを見つめた。
「私は、貴方を許しません。決して貴方なんかに、この国は渡さない。――この国の王は、この私です!!!!」
ミラの言葉に、皆が安堵したように微笑んだ。コナンは、床に転がる謎のメカに、そういえば…と首をかしげる。
「バイクのおねーさん!このメカの効力はどのくらい続くの??」
「んー…あと3秒かな♡」
「「えぇっ!!!!????」」
飛びこめー!!というルパンの言葉に、皆は慌てて湖に飛び込んだ。因みに、逃げられなかったジラード以下衛兵3名重傷、2名が軽傷を負ったらしい。