ルパン三世vs名探偵コナン
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暫く歩くと、小さな酒場を見つけた。昼間なのに関わらず開いているそこに、すんなり入ろうとした次元を蓮とコナンはちょっぴり怒ったように止める。
「ダメですよ!まだ昼間です!」
「これから事件現場に行くっていったよね!?」
「いやぁ俺が悪いんじゃねぇ。こんな時間からやってる店が悪いんだ」
「とっても分かりやすいすり替えだね」
コナンのあきれたような声音と、蓮の冷たい視線も何のその。次元はコナンにコインを渡した。日本円にして五百円玉だというそれでジュースでも買ってこいと言われ、蓮は仕方ないねとコナンを見下ろした。が、次元は違ったらしい。
「お前はどーする」
「………僕はまだ未成年です」
「今は俺のカミさんだろ」
「貴方のお嫁さんならなおのことです。小さい子ども一人置いてけるわけないでしょ。もう!」
腰に手をあててぷりぷり怒っているのも可愛らしい。これはこれでありか、なんて思ってしまった自分に気づき、次元はごほんと咳払いをする。
「あーほら。早く行ってこい」
ひらひら手を振る次元に、二人は顔を見合わせて諦めたように肩をおとした。
コナンと蓮は自販機の前で何やら喋り続ける男を見つけた。経絡秘孔の1つ!出すっきゃねーでしょのツボー!なんて言いながら自販機をどつく男に、二人は呆れたような視線を投げる。
「子供になんてこと教えてるんですか…」
「ひぇ~綺麗なおねーさん♡♡これからどぉ?」
「ダーメ♡私にはこの子と、素敵な旦那様がいるんだもの」
ばっと手をとられ一瞬呆気に取られるも、すぐににっこり微笑んで手を振りほどく。泥棒は犯罪だよ。おじさん本当に悪い人なの?そうは見えないんだけどと小首を傾げるコナンに、ルパンはニヤリと犯罪者のような笑みを浮かべた。
「こわーい泥棒さんだったりするかもよ」
「あっそっかぁ!だからおじさん、胸のホルスターに拳銃いれてるんだね!」
「!」
正直、ママも盗んじゃうかもよ、なんて口説き混じりの冗談でも言おうと思っていたのだが、思いがけない言葉に、ルパンは瞠目した。何者だ?この親子。
「右肩が少し下がっていらっしゃったから、ね」
「ねー」
顔を見合わせてくすくす笑う二人は、見ていてとても微笑ましい。ルパンはばっと胸元からビデオカメラを取り出して、驚いたようすの二人の顔を写真にとる。
「残念でした~。ビデオカメラだったの!」
「なんだぁ…ほんとに悪い人かと思っちゃった」
「でも良かった…本当に悪い人の前であんなこと言ったら殺されちゃいますからね」
安堵した様子でコインを置き、ジュースを手に取る二人にルパンは共犯友達しようぜと呼び掛ける。犯罪だよとしれっと言い返して去っていく二人を、ルパンは面白くなさそうに見つめた。…あいつ、さては友達すくねーな?
ぶーたれながらも、律儀に戻ってきて二本目のコインもきちんとコインの山に置いていく。コナンと##NAME1##は、後ろから聞こえる「ちゃんと二本分おいたかんなー!!」という声に、顔を見合わせてくすっと小さく笑った。
次元と合流した二人は、事件現場を探るため例の桜のもとへと向かった。そこで泣きじゃくる王女に、ばっと三人は岩かげに隠れる。
あと五分待ってやろうと口の動きで伝える次元に、蓮とコナンはこくりと頷いた。
「こ、ここだよ。いや、これは近かったな」
「綺麗な桜だねー」
「ほんと…ヴェスパニアにこんな素晴らしいところがあるなんて…」
くさい田舎芝居の二人とは対照的に、ごくごく自然なやり取りをする蓮がかえって浮いている。…解せない。でも、この状態でミラに正体を見破られるわけにもいかず、蓮は覚悟を決めた。
「ちょっと!貴方達がどうしてここにいるのよ!っていうかそこの女誰!?」
「あらー王女さんどうしてここに」
「ビックリー全然気づかなかったー」
(やりすぎだよ二人とも)
ミラの声に、棒読みもいいとこな二人の台詞に蓮は苦笑した。謎の美女…もとい蓮の正体には触れず、コナンはかいつまんで今の状況を説明していく。
「ふーん。貴方たちがねー。探偵ごっこ」
ま、頑張れば?ワイン少年君。
おちょくるようなミラの台詞を気にした様子もなく、コナンは辺りを見渡した。
「ねぇ、サクラ女王はあそこに倒れてたの?」
「そう聞いてるわ」
次元はそっと蓮に目配せした。蓮もそっと首肯く。…確かに、確認したのだ。倒れ伏す二人の姿を。ここから撃ったのなら、あそこの丘から撃ったのだろうか?
思案を巡らせていると、コナンが桜の枝をさわっているのが見えた。目を凝らすと、どうやらそこだけ折れているらしい。…当時、女王が亡くなったときに共におれた枝か。
「で、どうする姫さん。俺たちのヘリで帰るか?」
「凄いんだよ、このおじさん。この国の兵隊さんたち、なんでも言うこと聞いちゃうんだから。ね?」
「ん?はっはっは!」
ミラはいいえと笑った。人を待たせているんだという。国際弁護士の不二峰子って言うの!なんて声に、次元は頭を抱えた。まーためんどくさいのが来てしまった。ルパンのせいか、それとも運か。…十中八九前者だろう。
ヘリコプターに乗り込み、三人はじっと事件の事について考え込んでいた。ふと、次元は口を開く。
「さっきの話、1つ引っ掛かってねぇか」
「うん。ジル王子が長い猟銃を使わないで拳銃を使うのは納得できるけど…そのおじさんが拳銃を持っていたことがね」
「SPがいるのに、猟銃と拳銃…」
「帰ったらその銃、見てみようか。ね、次元さん」
「あぁ」
「協力してくれるの!?」
「仕方ねぇだろ。仕事なんだから」
ぶっきらぼうにそう言って顔を背ける次元に、コナンと蓮はやったぁと声を弾ませた。
蓮は王宮に戻ったあと、ばたばたと慌ただしく変装を解いた。そして、女王の部屋でミラを待つ。
「おかえりなさい、ミラ様」
「蓮…」
ミラは叱られることに怯えた子どものような表情で、ぎゅっとスカートを握りしめた。蓮は柔らかな笑みを浮かべて、言葉の続きを待つ。
「私は、私は、待っていてくれた貴方を…裏切ってしまった…っ」
「…はい。確かにミラ様は御逃げになりました。」
「っ」
びくっと肩が揺れる。蓮はそんなミラに苦笑して、そっと続けた。
「ですが、こうして帰ってきてくださったでしょう?この国で待っていれば、いつか貴女の意思で帰ってきてくださると、そう思っておりました」
本当に、無事で良かった…
「蓮、ごめんなさいっ。…ただいまっ」
「はい。おかえりなさい、ミラ様」
涙声で飛び付いてきたミラをしっかりと受け止め、蓮はふわりと優しく微笑んだ。
暫くして、コンコンと扉を叩くものがいた。蘭と小五郎、コナンの3人だ。3人は此方をみて、あ、と言わんばかりの顔をするが、蓮は小さく手を振ることで応えた。
「ミラ王女、二人連れてきました。…本当に良かったんですか」
「構わないわ。此処が母の部屋よ。何もかも、なくなった当時のまま。捜査するんでしょう?協力するわよ」
「んじゃ、遠慮なく」
でも笑っちゃうわよね。と、ミラは自嘲した。母と兄を殺したのが叔父で、その証拠探しを手伝うなんて。そんな、と蘭はフォローしようと言葉を探すが、うまく見つからずごめんなさいと俯いた。
「呪われたのよ、この国は。…あの石ころに」
小五郎は、懐かしそうに写真を見つめる蓮を振り返った。そこには蓮とその腰を抱くジル王子、そして二人に飛び付くミラの写真。女王と蓮の写真や、ジル王子と蓮の写真もあった。
「蓮、お前なら証拠集めも何もかも、とっくに終わってたんじゃねぇのか?」
「…僕は、一切関わらせてもらえなかった。今回のこれも、次元さんとコナンくんの二人についていくことでしか、僕の捜査権は認められていない。…恥ずかしながらね、捜査資料も見せてもらえていないんだ」
ジラードの圧力か、とコナンは内心舌打ちした。…博識な蓮は推理力も高い。余計なことを見つけられてしまう前に、動けなくされたのだろう。ただ、女王と王子についてなら、教えてあげられるよと蓮は淡く微笑んだ。