ルパン三世vs名探偵コナン
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一方、先に広間に帰ってきていたキースは、集まっていた次元、コナン、蘭、そして数人の使用人たちを見渡した。不躾に足を組んだ次元は、ちら、と隣のコナンを一瞥する。チームを組めとは言われたが…
「なぁ、大体の話はそいつから聞いたが、俺とこのガキはムリがあんじゃねぇのか?」
「大丈夫。どこから見ても、日本人の親子に見えるが」
「やめてくれ~」
「僕も、次元様とコナンくんにつきます。」
次元の情けない声に、涼やかな声が返した。皆の表情がぱあっと明るくなる。
「蓮!」
「蓮様、こちらを…」
「ジラード様は?」
「ありがとうございます。彼ならベッドに誘われたので眠らせてきました。今頃ベッドの上でぐーすか寝こけてると思いますよ。」
蓮はメイドから何やら紙袋のようなものを貰うと、コナンと次元の座るソファの後ろへと立った。何処からも死角になってしまうためか、立っているキースとカイルは兎も角、他の面々は蓮が何をしているのか分からない。
蘭は不安げにキースに向き直った。
「いくらなんでも、コナンくんまで巻き込む気ですか?」
「恥ずかしい話、ここにいるものしか私は信じることができない」
こんな時期に無理矢理日本に行ったのも、キースの考えだった。その結果、SPのなかにも疑わしいものが出た。ミラがいなくなって喜ぶのは次の王位継承者となる人間…
「このガキにだって誰が黒幕かわかるだろう」
「はい。二人を事故に見せかけて殺害したのはジラード様に違いありません」
「おいおい…オメーが言っていいのか?」
証拠などない。そのうえ、自分達は代々王家に仕えてきた者。蓮は部外者と言うにはヴェスパニア王家に寵愛され過ぎた。…動くには、分が悪すぎる。その上王家の者を裁けるのは女王のみ。今この国に、女王はいない。
この国の司法も地に落ちたってやつだな!なんて皮肉混じりに笑う次元に、蓮はそんなことを言わないでくださいと疲れたように言った。
ついで、かつりかつりとヒールの音を響かせてソファの後ろから顔を出したのは、長い漆黒の髪を緩く巻いて、清楚な白いワンピースを身に纏った美女。
「さぁ、行きましょう。次元さん、コナンくん」
「「「「「……………………」」」」」
…………………………誰だこいつ。
全員の心がひとつになった。いや、声は蓮なのだ。面倒だからマスクは使わないでウィッグと化粧だけ、と言うだけあって、確かに系統は似ているし、蓮の10年後みたいな気もしてくる。
でも、メイクのお陰か、ビックリするくらい大人びた女性の姿になっていて、それこそ今ならコナンの母だと言っても通用する位には、若い大人の女性になっていた。
「あれ?なんかおかしかったですか?…あ、声もこちらの方が自然でいいかしら?」
鈴のなるような声。声まで自然とは、もうどうなっているのやら。キッドやルパンと並ぶほどの変装の腕前に、コナンたちは揃って感嘆の息をついた。
パレードのコースのなかで一番高いのはここだな。町をブラブラ歩きながら、コナンは心のなかでそう独りごちた。子供らしく肩車されているのを、蓮は落ちないようにとそっとたおやかな手を添えて支えてやる。
「ねぇパパ?パパならどこから狙う?やっぱり一番高いビル?」
「調子こいてんじゃねーぞ。降りろ」
「ふふっ本物の親子みたいですよ」
なに可愛い子ぶってんだと言う次元に、コナンは小さい声でケチ、と呟く。蓮は鈴のなるような声でころころ笑った。全く、仲が良いったらありゃしない。
ぽいっと猫の子のようにおろされたコナンは、めげずに次元の足元を走り回る。蓮はそっと手を差し出して、手を繋いだ。もう本当に観光に来た日本人一家にしかみえない。
「ねぇ答えてよー。あのビルなら逃げるときも早いよね」
「あら、ママはあのビルなんかも良さそうだと思うわ。ほら、屋根伝いに逃げるのも簡単そうでしょう?」
「俺は殺し屋じゃねぇ。どっから狙うかなんざ、わかんねぇよ」
恐ろしい会話を、まるでピクニックに行く場所を決めるかのように楽しそうに話す二人に、次元は内心ため息をついた。…なんだってまぁこんな奴等と組まされたんだが。
次元の言葉に、コナンは無邪気にむくれて見せた。蓮もふふっなんて小さく笑いながら続ける。
「パパが殺し屋なんて言ってないでしょー。でもパパの人差し指の第2関節と左の手のひらにタコがあるよね。」
「それって、相当リボルバーを使い込んでるって手ですよね?」
思いがけない洞察力。いつ見たのかと問えば、王宮でちらっと見たときに気づいたのだと言う。次元は、コナンの目線の高さに合わせて膝をおった。
「おい小僧。1つだけ忠告しとくぞ」
突然凄まれ、コナンは驚いたように目を瞠る。蓮も警戒したように目を細めた。
「2度とパパと呼ぶな!」
((そこかよ))
俺の緊張返せ、なんて思いながら、コナンは蓮の滑らかな手をきゅっと握りしめた。