ルパン三世vs名探偵コナン

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蘭の双子の兄の名前は?
お名前をカタカナで!

ヴェスパニア王国の、王家私有林。緑豊かな美しい自然に、栗色の髪とアクアマリンの瞳を持つ麗人は、小さく感嘆の声をあげた。隣に座る金髪薄緑の瞳を持つ美青年は、その白魚のような手を掬い上げて軽く口づける。

「君がここを気に入ってくれたようで良かった」

「じ、ジル様…っ///陛下の御前です…!」

「ほら、また敬語。せめて名前だけはきちんと様無しに呼んで欲しいと言いましたよね、

ね?なんてニッコリと微笑まれ、はぐっと言葉につまった。そりゃ、二人の時なら問題ないだろう。だが、今は狩場へ行く途中の車内。女王のサクラ・アルディア・ヴェスパランドや、王子の叔父であるジラード・ムスカ・ヴェスパランド公爵までいるのに、その目の前では…

「これ、ジル。あまりを困らせてはいけませんよ。とても奥ゆかしい子なんですから」

「は、ははは…」

乾いた笑いしか出てこない。ヴェスパニア王国王子、ジル・カウル・ヴェスパランドは残念そうにむくれて見せた。

車が止まり、それぞれが降り立つ。ジルは先に降りて、をエスコートするように手をさしのべた。ははにかんだような笑顔でその手をとり、仲睦まじく降り立つ。

ちなみに、SPたちの目の前で堂々とこんなことをしているが、実は王宮で仕事をする者全員がジルの恋心に気づいている。気づいた上で王子の恋を応援するくらいには、もジルも皆から愛されていた。

「お前たちはここで待機していてくれ。大勢で行くと、獲物が逃げてしまうからな」

ジラードはSPにそう言って辺りを見渡した。SPはジラードに拳銃を手渡し、弾丸の数を確かめて箱を持ち上げる。それは私がと女王はその箱を受け取った。

ジルはSPから猟銃を受けとる。ジラードはその姿をにこやかに見つめた。

「使い方は教えた通り。覚えていますね」

「えぇ。完璧ですよ。あ、忘れた方が良かったですか?」

「できればその方が有難い。」

小生意気に笑うジルに、ジラードは気にした様子もなくにこやかに笑う。そんなジラードに、これを、と女王が弾丸を差し出た。陛下自ら申し訳ない、なんてにこやかに笑ってハンチングをあげる。

ジルは母と、その後ろにそっと控えるに向き直った。ふっと口許を緩めると、ジルはの頬に手を伸ばした。

「どうかな?少しは様になっているかい?」

「えぇ。とても素敵ですよ、ジル」

恋人同士といっても過言ではない甘やかな空間。おっとりと微笑むに、自然と吸い寄せられるようにジルは唇を寄せかけ、母の声にピタリとその身を止めた。うっかりしていた。ここには母もいたのだ。

「ジル」

「お母様。…本当にご一緒にはいらっしゃいませんか。も…」

「私は結構です」

「僕も、陛下のお供をしようかと」

そう?と残念そうに眉尻を下げるジルに、ははいと静かに答える。女王も、の肩を抱きながら、そうですよと続ける。

は動物を狩るというより、戯れている方が似合います。それに、私は狩猟などという野蛮なものは、好きではありません。」

「野蛮だなんて…狩猟はれっきとしたスポーツですよ」

「いいじゃないか、王子。ここは男同士、サシの勝負と行こう。」

狩猟の楽しみは、男でないと。肩をくんでそう耳打ちするジラードに、女王はじとっと目を眇める。まるで少女のような仕草に、はふふっと小さく吹き出した。

「聞こえましたわよ」

「いや、これはこれはっはははは」

楽しげな叔父に、ジルもははは、と苦笑する。と、SPの一人がのもとへと駆け寄り、そっと頭を下げた。

様、ミラ王女がお呼びです。至急来てほしいと…」

「ミラ様が?畏まりました。…陛下、申し訳ありません。御前を失礼致します。」

「わかりました。…ねぇ、。私は貴方を本当の子供のように、可愛らしく思っているのです。あまり気を使わないで」

「ふふっありがとうございます」

両手で顔を包み込まれる。昔、偶々ウィーンの声楽コンクールを聞きに来ていたヴェスパランド一家がの歌声に惚れて、お忍びで王宮に呼ぶようになって暫く。

博識で多才、なによりおっとりとした優しい人柄に惹かれ、王族から末端の使用人に至るまで皆に慕われていった。実は一目惚れなのだと、ジルに皆の前で告白されたのはいつだったか。君の気持ちが僕に傾くまで待つよ、と言ったかの王子は、王宮に戻ると言う想い人に情けなく肩を落とした。

「…君にかっこいいところを見せたかったのに…」

「ごめんなさい…ジル。でも、無事に帰ってきて下さいね」

「勿論だよ。愛する君の歌声をまた聴きたいからね。ちゃんと帰るから、また可愛らしい笑顔で出迎えてくれ」

すっと流れるように礼をとると、はSPと共に車へと向かうべく、くるりと踵を返した。パシンと後ろから手をとられ、ぐいっとひかれる。不意の出来事にぐらりと体が傾いだ。それをきゅっと抱き締めて、ジルはの耳にちゅっと軽く口づけた。

「ひゃ!?」

「忘れ物だよ」

「っジル!!!///」

ひらひらと悪びれなく笑って手を振るジルに、は赤い顔でもう…と息をつくも、笑顔につられて小さく微笑んで手を振りかえす。様、と再度促されて、も車に乗り込む。遠ざかる車にそっと手を振る女王とジルに、車の中から手を振り返した。

まさか、これがかの心優しい女王と王子の最後の姿となるなんて、このときのは気づいていなかった。
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