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「……というわけで、母上―…紅貴妃様がお隠れになられたので、私も後宮を去り臣籍降下させて頂きたく存じます」
「な…っ何がというわけなのかよくわからんがダメに決まっておりましょうぞ!!誰が後宮の抑止力になるのです」
あっさりにこにこ、と笑ってそんなことを言い出した彩雲国一の美貌を誇る第1公子にその場にいた高官も宵太子も目をむいた
「おや…あまり怒鳴るとお体に障りますよ」
「あんたのせいでしょーが!!」
「ふふふっ**おやおや…」
実に愉しそうに高官たちで遊ぶ綾に血の覇王は片眉を上げた
「ほぅ…王座に興味はない…と」
「毛頭ございません。私が後宮で主上の子として育てていただいたことは本当に感謝しておりますが、……――――私はその器ではない」
口調こそ穏やかだが、強く意思を持った声音でそう言い切った
「ほぅ…?では誰がその器だ?もう一人の第1公子か?はたまた清苑か…」
「片割れの彼は明らかに器ではございません。清苑は才覚に溢れ、賢く本当に良い子…ですがまた、彼も王の器ではございません」
二人のやり取りを傍目から見ていた高官たちはぶっ飛んだ
なんと、かの第2公子もダメなのか!!というかもう公子一優秀と吟われる貴方が王位につけば良いのでは…?
「そうですねぇ……あえて言うのなら、第6公子の劉輝。私は彼が一番その器であると存じます」
「理由は」
「野心無く、かの公子は人を思う一途で優しい心を持っております。それが家臣を惹き付け、良い家臣に慕われたならばその者たちは王が過ちを犯しそうであれば全力で止めることでしょう。けして…王とは一人ではいけないのです」
淀み無くにこやかに言い切る綾とそれを高慢な笑みを浮かべてみやる王
「で、お前は息子やめさせろと」
「はい。7人も候補は要らないでしょう?第1私は器ではないと分かっているのに。大体第1公子が二人もいる時点でおかしいんです。もっと早くお気づきになって下さいな。」
「息子が嫌なら早く言えば良いものを。いつでも嫁にしてやったと言うに」
「ふふふ♪結構でございます」
跪く綾の細い頤を持ち上げ唇が触れそうな位置にまで顔を寄せるが、綾は相変わらずにこやかに笑ったまま唇を袂で隠した
((((あ…あの主上が振られた…!?((((;゜Д゜)))))))
いつもは対立している高官の方々の心が1つになった瞬間である
「私は王でも男の生活を彩る華としてのお飾りものでも無く官としてこの国に尽くし、王をお支えしとうございます。今は亡き私の母がそう願ったように」
亡くなった紅の姫は美しかったが政に通じ、唯一この覇王に愛を返さなかった異色の姫だった
「…ふん。あいわかった、お前の望みを許そう。」
「ありがたき幸せ」
実に優雅な仕草で腰を折る第1公子に皆見惚れた
……のだが
「お前は紅邵可にやることにする」
「……………はい?」
場の空気が…というか、綾の持つ雰囲気がピシリと音をたてて凍った
「し…邵可様って、あの紅家長子の…?」
「あぁ。今は府庫の主だがな。この俺の可愛い息子をやるんだ。そんじょそこらの家では駄目だろう」
「あ…貴方は臣籍降下の意味をわかっておいでか!!」
大貴族に貰われては意味がないだろうが、と憤慨するも、紅家ならお前の親戚だろうと一蹴され綾は深く深くため息をついた
まぁ、いいか。
何だかんだで順応性の高い公子である
かくして、この麗しの第1公子は紅家に貰われることになったのだった