天狐の桜3
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「…………………」
「黒羽丸」
「………………………………」
「…機嫌を直せ」
鴆の屋敷から戻ったリオウは、本家に着いたと同時に飛び出してきた黒羽丸と首無によって、問答無用で自室の褥の上に転がされた。どこかぐったりとした様子の肢体は、抵抗するでもなく大人しくされるがままを貫いている。
「なぜ、黙って行かれたのですか」
「私の意思になぜと理由を求めるのか。ぬらりひょんの血をひく私に、そのような質問は意味をなさないだろう」
おかしくてたまらないとばかりにリオウの形のよい唇が弧を描く。ぬらりひょんとはふらりと現れ、のらりくらりと様々な場所に居座り消える妖怪だ。それなのに、行動に理由を求めるなんて愚考にすぎない。
(とはいえ、心配をかけたのは事実だからな)
首無は朧車を説教しに行ってしまった。あれにも心配をかけてしまったのだから、後々きちんと宥めてやらないと。
リオウは黒羽丸に向かってついと手を差し出した。それに気づいて身を屈める黒羽丸の頭を素早く抱き寄せて、胸に抱き込む。
「私は私の意思で動く。そんなに不安ならお前が私から離れなければ良いだろう」
呆気にとられた様子の黒羽丸の唇をそっとなぞり、その指を己の唇に当ててふわりと微笑する。
「ッッ…///承知致しました…///」
どうあがいてもこの天狐には敵わない。それは生きた時間でも神力妖力の差でも何でもない、惚れた弱味だと自覚して、黒羽丸は人知れずため息をついた。