天狐の桜2
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「だから…いるんだよね!妖怪は!」
「清継くん!?また新しい見解ですか?」
「何?なんの騒ぎ?」
昼休みの教室が騒がしい。リクオはわらわらと集まるクラスメイトたちに目を白黒させた。クラスメイトの一人は、そんなリクオに困ったように笑って騒ぎの渦中の人物を指差した。
「隣のクラスの清継くんの妖怪話よ。昼休み利用して巡回してるらしーよ」
「よ…妖怪?」
「あの…清継くんが?」
リクオとカナは目を瞠った。だって…あの人って…信じてない人の筆頭格みたいなもんじゃなかったか…?
なんでそんな言い切れんだよ~と揶揄う同級生に、清継はふんと胸を張る。
「ボクの「研究」によれば…確かに、古来の伝統的妖怪は姿を見えにくくしてるかもしれない。現代の背景に溶け込む事が出来ないからだ。しかし!!」
ボクのサイトに集まった情報や目撃談!!そこから導きだされた答え!!それは!!
「妖怪には世代交代があり、いつの時代も我々の日常で悪事を働いている!!」
まぁー随分昔と違う意見だこと…
カナは呆れたように目を眇めた。手のひらをくるっと返してこれか。以前は散々妖怪だなんだと言っていたリクオを「そんなものいない」といじめていたというのに。
リクオは乾いた笑いを浮かべた。学校で妖怪がいるなんて話をしたらバカにされるに決まっている。…のに。
「きっとそーすよ!」
「賢いなー!」
「清継さまカッコイー♡お話は変でも許すー♡」
(エエェ―――!?支持者がいるぅぅう!?)
実に解せない。人望か、人望の差なのか。何をもってして彼に人望が集まっていくのか自分にはよくわからないけれど。
「奴良くん…昔は馬鹿にして悪かったね。キミのは嘘だろうけど。ボクは…目覚めたんだよ…ある方々によって、ね」
「ある方々?」
そう、そのお方は闇の世界の住人にして若き支配者…そして天女と見紛うほどの美しき美貌の君!彼らは幼い頃ボクを…地獄から救ってくださった…
「惚れたんだよ!!彼の悪の魅力に!そしてかの君の慈愛にとりつかれたのさ!もう一度会いたい…そして、出来ることならかの君のお側に置いてもらいたい…だから彼らに繋がりそうな場所を探しているのさ!!」
(うわ―――――!!!!)
えらいことになったぞ!?よ、余計ばれるわけにはいかなくなったじゃんか…てゆーか清継君も兄さん狙いかよ!!絶対会わせないようにしなくっちゃ!
リクオは中々に過保護で嫉妬深かった。同級生で人間だろうが、組の妖怪だろうが関係ない。あの美しい兄に触れて良いのは自分だけ。…まぁ気まぐれで自由人な兄がそれを了承するはずもなく、本人は神から妖から人間から虜にしながらも、のらりくらりと逃げて遊んでいる。
「もしかして…清継くん!?」
「噂の旧校舎も!?」
「あぁ…行きたいと思っている。皆にも協力してほしいと思ってる。でも生半可じゃない、本物の有志を期待している!!」
清継の言葉に、一人また一人と用事が~なんて嘯きながら離れていく。旧校舎?と目を丸くするリクオに、シマは雑誌にも載ったくらい有名だぜ!?と雑誌を開いて見せる。
この中学校の真横を走る"東央中央自動車道"。その向こうにひっそりと建つ古い建物。あれこそが、道路を通すために引き離された、10年前から誰も近寄れないうちの"旧校舎"なのだと。