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鶴さに

うすい肌の下、さらさらと流れる赤い血を飲みたい。
これは吸血鬼である鶴丸国永の本能であり、運命とも言える。吸血鬼は好きになった人間の血を吸って生きていかねばならないのだ。
「ねぇ、吸血鬼の鶴丸さんはどうして血を飲まないの?」
鶴丸の膝の上にい女子高生は、それが当たり前です。という雰囲気である。
「ん?」
「吸血鬼でしょ?」
「あぁ、きみには教えてなかったな。吸血鬼ってのはな、血を吸わなければ永遠の時を生きることが出来るんだぜ」
「どういうこと?」
「血を吸うことでしか栄養が取れないってのは、血の味を覚えちまったやつの話なのさ。その代わり、血を吸ったことのない吸血鬼はある程度で年齢が止まって不老不死ってことだ」
「それじゃ、鶴丸さんは血を吸ったことがないの?」
「あぁ」
えぇ…変なの。という少女に苦笑いし、頭を撫で続ける。
小さい頭。
まだ幼い声。
それらが全て愛おしい。
「ねぇ、好きでもないのになんで私のこと守ってくれるの?」
補足しよう。吸血鬼は一度血を吸った人間の血でしか栄養が取れない。血を吸われた人間が死ねば、それはすなわち吸血鬼の死でもあるのだ。だから吸血鬼は餌となった好いた人間を必ず守る習性がある。
「きみを愛してる」
「嘘つき」
「おいおい、俺は本気だぜ?」
「だって、血を吸わないじゃん」
「なんだ、そんなことか」
「そんなことじゃない!」
「そんなことだ」

きみを心から愛している。だから傷つけたくない。餌になんてしたくない。きみの血を吸わないし、かといって他の奴の血なんて食う気が起きない。
その代わり、俺はきみがいなくなったあとも生き続けよう。きみをずつと覚えていよう。
ずっとずっと、覚えている。

忘れない、愛しいきみ。
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