静さに
とてとてと私は廊下を歩いていた。
今日は七夕であり、連隊戦の真っ最中だけれども、短刀たちがはしゃいでいる。
微笑ましいなぁとニヤニヤしながら、ふと耳をすませば、そぉーと。そぉーとだ…。と大きいシルエットが、小さい声を出していた。
「静?」
「主ぃ…!」
大きい体が、きゅうりを見た猫のように弾んだ。ごめんねと声をかけつつ、
「何作ってるの?」
「七夕の輪飾りだ」
「おぉ!」
静も七夕が楽しみなんだね!と話しかけ隣に座る。修行前は隣に座るだけでずっとビクビクしていたが、今は落ち着いている(ように見える)。
「私も手伝って良い?」
「だめだっ!」
「ありゃ…?」
静なら喜んで手伝わせてくれそうなんだけれども?それとも何か気に障ることをしてしまっただろうか?
「あ、いや…。違うんだ。これは俺が一人で完成させなければいけないモノなのだ…」
明らかに落ち込んでしまった静の頭を撫でながら、大丈夫だよと声をかける。
「んー、そうだなぁ。だったら私も隣で自分用の輪飾り作っててもいい?飾りは多いほうが良いもんね!」
「それならば…。うん、よかろう」
さっそく自分の部屋から折り紙を持ってきて、静の隣で作り始めた。
折り紙を切って、輪っかにして繋げていく。単純な作業だが、子供の頃に戻ったみたいでとても楽しい。
ふんふんとおもわず鼻歌まで歌ってしまった。うるさかったかな?と静を見ると、こちらを気にしている暇もないくらいに、集中して輪飾りを作っていた。
体の大きな静が、輪飾りを壊してしまわないように、大切に大切に作っている。
私は、これもまた思い出になるかなぁと呑気にな考えていた。
一時間程たって、静が顔を上げた。
「主ぃ!輪飾りが出来たぞ」
「おぉ!すごくきれいだね!」
そこで一時間も経過していたことに気がついたのか、慌てて小さくなっていった。
「すまん。俺は細かい作業が苦手で、随分待たせてしまったようだ…」
「え?全然待ってないよ。お陰で私はすごく長い輪飾りが出来たの!」
ほら、見てーと静に見せながら、渾身のドヤ顔をする。
「主ぃ、短冊は書いたか?」
「うん?書いたよ!夕飯は山盛りの唐揚げが食べれますように!って」
というと、それはいいなと肯定してくれた。
「さて、飾りに行かなくては。一緒に来てくれるか?」
「うん!」
嬉しそうな静の裾をもって(手を繋ぐのはまだ怖いんだって)、笹の葉の下へと歩いていく。笹の葉はすでに飾られ始め、様々な色が揺れていた。
私は身長が小さいので下の方に、輪飾りを飾っていく。静は大きいからてっぺん付近に輪飾りを個性的に巻き付けていた。
静は可愛いなぁと眺めていたら、
「主ぃの短冊をくれ」
はい。と渡すと個性的に巻き付けられた輪飾りの中心に私の短冊が飾られた。
「こうすれば、空から見ても主ぃの短冊が見つけやすくなる。つまりは主ぃの願いが叶いやすくなる」
「へ?」
びっくりして声が出なかった。嬉しくて嬉しくて、ポタポタと涙も溢れてきた。
「あ、主ぃ…!す、すまん。俺は間違えたのだろうか?」
「違うよ、静。君の気持ちが嬉しくて泣いているの」
おもわず静に抱きしめた。こんなにも自分を思ってくれるこの子が愛しい。
山盛りの唐揚げも食べたいけれど、短冊の裏にね。もう一つお願い事を書いたんだ。
─この本丸のみんなを守れますように。
「静のお陰でお願いきっと叶うね」
大好きな大好きな私の静。
ありがとう、私の薙刀になってくれて。
オロオロしている静を見かねて、初期刀が私を引きはがすまでに二十分かかったらしい。
今日は七夕であり、連隊戦の真っ最中だけれども、短刀たちがはしゃいでいる。
微笑ましいなぁとニヤニヤしながら、ふと耳をすませば、そぉーと。そぉーとだ…。と大きいシルエットが、小さい声を出していた。
「静?」
「主ぃ…!」
大きい体が、きゅうりを見た猫のように弾んだ。ごめんねと声をかけつつ、
「何作ってるの?」
「七夕の輪飾りだ」
「おぉ!」
静も七夕が楽しみなんだね!と話しかけ隣に座る。修行前は隣に座るだけでずっとビクビクしていたが、今は落ち着いている(ように見える)。
「私も手伝って良い?」
「だめだっ!」
「ありゃ…?」
静なら喜んで手伝わせてくれそうなんだけれども?それとも何か気に障ることをしてしまっただろうか?
「あ、いや…。違うんだ。これは俺が一人で完成させなければいけないモノなのだ…」
明らかに落ち込んでしまった静の頭を撫でながら、大丈夫だよと声をかける。
「んー、そうだなぁ。だったら私も隣で自分用の輪飾り作っててもいい?飾りは多いほうが良いもんね!」
「それならば…。うん、よかろう」
さっそく自分の部屋から折り紙を持ってきて、静の隣で作り始めた。
折り紙を切って、輪っかにして繋げていく。単純な作業だが、子供の頃に戻ったみたいでとても楽しい。
ふんふんとおもわず鼻歌まで歌ってしまった。うるさかったかな?と静を見ると、こちらを気にしている暇もないくらいに、集中して輪飾りを作っていた。
体の大きな静が、輪飾りを壊してしまわないように、大切に大切に作っている。
私は、これもまた思い出になるかなぁと呑気にな考えていた。
一時間程たって、静が顔を上げた。
「主ぃ!輪飾りが出来たぞ」
「おぉ!すごくきれいだね!」
そこで一時間も経過していたことに気がついたのか、慌てて小さくなっていった。
「すまん。俺は細かい作業が苦手で、随分待たせてしまったようだ…」
「え?全然待ってないよ。お陰で私はすごく長い輪飾りが出来たの!」
ほら、見てーと静に見せながら、渾身のドヤ顔をする。
「主ぃ、短冊は書いたか?」
「うん?書いたよ!夕飯は山盛りの唐揚げが食べれますように!って」
というと、それはいいなと肯定してくれた。
「さて、飾りに行かなくては。一緒に来てくれるか?」
「うん!」
嬉しそうな静の裾をもって(手を繋ぐのはまだ怖いんだって)、笹の葉の下へと歩いていく。笹の葉はすでに飾られ始め、様々な色が揺れていた。
私は身長が小さいので下の方に、輪飾りを飾っていく。静は大きいからてっぺん付近に輪飾りを個性的に巻き付けていた。
静は可愛いなぁと眺めていたら、
「主ぃの短冊をくれ」
はい。と渡すと個性的に巻き付けられた輪飾りの中心に私の短冊が飾られた。
「こうすれば、空から見ても主ぃの短冊が見つけやすくなる。つまりは主ぃの願いが叶いやすくなる」
「へ?」
びっくりして声が出なかった。嬉しくて嬉しくて、ポタポタと涙も溢れてきた。
「あ、主ぃ…!す、すまん。俺は間違えたのだろうか?」
「違うよ、静。君の気持ちが嬉しくて泣いているの」
おもわず静に抱きしめた。こんなにも自分を思ってくれるこの子が愛しい。
山盛りの唐揚げも食べたいけれど、短冊の裏にね。もう一つお願い事を書いたんだ。
─この本丸のみんなを守れますように。
「静のお陰でお願いきっと叶うね」
大好きな大好きな私の静。
ありがとう、私の薙刀になってくれて。
オロオロしている静を見かねて、初期刀が私を引きはがすまでに二十分かかったらしい。
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