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姥さに

刀剣男士は、主の霊力や顕現順によってどうも性格が違うらしい。
うちの切国は猫だと思う。いや、正しくは性格が猫だ。自分がかまってほしい時はすり寄ってくるのに、私がかまいたい時はスルリと何処かへ行く。まぁ、だからといって困っている事はないだけど。
「はぁ?」
画面越しに同期の審神者が驚いた。
「え、なに?」
「まんばちゃんが猫?え、どんな教育したの?」
「教育ってなにも…?」
「まんばちゃんって自分から撫でろなんて言わないよ!そういうタイプじゃないし!あと脳筋だし!」
「脳筋は関係なくない?」
「とにかく、まんばちゃんが猫なのは正直想像つかないな…。筋トレしてるイメージ」
「逆になんでそんなに脳筋なのよ」
「人間でも頭を撫でられるの嫌がる子もいるじゃない?うちの子はそう。撫でさせてなんかくれないわよ」
「そうなんだ」
自分の膝に視線を落とす。そこにはごろんと横になった切国がいた。
「だってよ切国。他の子は頭を撫でさせたりしないってよ」
「え、待って。まんばちゃんそこにいたの?」
「うん。撫でてた」
「はぁ!?通話中ずっと頭撫でてたの!?」
「うん。すり寄ってきたからつい」
通話をはじめた頃、切国は音もなく部屋に入ってきて、正座していた私の膝に頭を乗せた。いわゆる膝枕だ。撫でてほしいのかな?と思い、ずっとナデナデしていた。反抗しないし、撫でてほしいで正解だったと思う。
「み、見せつけるなー!」
「え、あ!ちょっと」
通話を一方的に切られてしまった。見せつけるなって、見えてないじゃんか。
「通話終わったのか?」
むくりと起き上がって、布の位置を調整している。その布どうにかならないんだろうか。
「う、うん。一応」
「俺は兄弟の所へ行く。あんたも仕事しろよ」
「わかってる。ありがとう」
立ち上がった切国は少し考えて、顔を近づけてきた。
「主」
離れていく切国のきれいな顔が見える。
「随分赤くなるんだな。人は」
そう言い残して、入ってきた時と同様に音もなく部屋を出ていった。
頬に残る小さな噛み跡。

あぁ、そうだ。猫は甘噛もするんだった。
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