雑記
【エッセイ】「おいしい」を読む
2026/09/01 10:34つぶやき
おいしい記憶、と聞いて真っ先に浮かんだのは、いわゆる「思い出の味」といったものではなく、本のなかにある「おいしそう」だった(……母よすまない。料理が苦手ながらも一生懸命作ってくれたあなたの料理はもちろん大好きだったし、大事な思い出のひとつである)。
幼いころは食べ物の好き嫌いが激しく、特に食わず嫌いがかなり多かったのだが、食べること自体は好きだったようで、覚えている限りでは「わかったさんのおかしシリーズ」などを愛読していた記憶がある。
そのなかでも特に印象深かったのが、児童文学作家・はやみねかおるさんの「怪盗クイーンはサーカスがお好き」である。
はやみねかおるさんが私を読書好きにしてくれたと言っても過言ではない。彼の作品との出会いの詳細はここでは割愛するが、小学校中学年から高学年のころは特にはやみね作品に夢中になっていたように思う。
さて、この「怪盗クイーンはサーカスがお好き」であるが、もちろんストーリー自体もとても面白いのだが、作中に食べ物が多数登場し、それらがやけにおいしそうに感じたのだ。
コーヒーと目玉焼きつきトースト、コーラとフライドポテト、ラーメンとライスのセット、カレーライス、クリームソーダ、フルーツパフェ、大根と牛すじにこだわったおでん──思い出せるだけでもこれだけある。
読者の多くが子供であることを想定してか、当時の私でも食べられるメニューぞろいだったそれは、まさに食の宝庫、パラダイスだった。
暇を持て余していたときなどは、食べ物のシーンだけを読み返すのを何度も繰り返したぐらいだ。今思うと、偏食だったわりには食い意地が張っていたなと笑ってしまう。
その影響からか、私は今でも食べ物の描写がおいしそうな小説に出会うと、それだけで評価が爆上がりしてしまう。「食」を大事にする人に悪い人はいない、と思う。
それからずいぶんと時が経ち、いつの間にか多くの食わず嫌いを克服し、食べることだけではなく料理を作ることも楽しめるようになった。作った料理を家族に美味しく食べてもらう喜びは、なににも代えがたいものだ。
そんな私は今、趣味の範囲ではあるものの、「食」をテーマとした作品を描いている。簡単に言うと、少年少女たちがおいしいものを求めて世界中を冒険する……予定である。
ジャンルとしては、子供向けの異世界ファンタジーといったところか。もちろん、大人でも楽しめるように努めている。
昨今は小説、漫画、ドラマ、アニメ──どのメディアでもグルメをテーマにした作品で溢れていて、もはや飽和状態と言えるかもしれないが、こればかりはどれだけあってもいいのではないだろうか。食べることは生きることと同義、食の数だけ人生があると私は考えている。
かつて本のなかの「おいしい」に魅せられた私が、今度は誰かに「おいしい」を届ける番になりたい。
*****
5月ぐらいにエッセイコンテストに応募するために書いたものです。
幼いころは食べ物の好き嫌いが激しく、特に食わず嫌いがかなり多かったのだが、食べること自体は好きだったようで、覚えている限りでは「わかったさんのおかしシリーズ」などを愛読していた記憶がある。
そのなかでも特に印象深かったのが、児童文学作家・はやみねかおるさんの「怪盗クイーンはサーカスがお好き」である。
はやみねかおるさんが私を読書好きにしてくれたと言っても過言ではない。彼の作品との出会いの詳細はここでは割愛するが、小学校中学年から高学年のころは特にはやみね作品に夢中になっていたように思う。
さて、この「怪盗クイーンはサーカスがお好き」であるが、もちろんストーリー自体もとても面白いのだが、作中に食べ物が多数登場し、それらがやけにおいしそうに感じたのだ。
コーヒーと目玉焼きつきトースト、コーラとフライドポテト、ラーメンとライスのセット、カレーライス、クリームソーダ、フルーツパフェ、大根と牛すじにこだわったおでん──思い出せるだけでもこれだけある。
読者の多くが子供であることを想定してか、当時の私でも食べられるメニューぞろいだったそれは、まさに食の宝庫、パラダイスだった。
暇を持て余していたときなどは、食べ物のシーンだけを読み返すのを何度も繰り返したぐらいだ。今思うと、偏食だったわりには食い意地が張っていたなと笑ってしまう。
その影響からか、私は今でも食べ物の描写がおいしそうな小説に出会うと、それだけで評価が爆上がりしてしまう。「食」を大事にする人に悪い人はいない、と思う。
それからずいぶんと時が経ち、いつの間にか多くの食わず嫌いを克服し、食べることだけではなく料理を作ることも楽しめるようになった。作った料理を家族に美味しく食べてもらう喜びは、なににも代えがたいものだ。
そんな私は今、趣味の範囲ではあるものの、「食」をテーマとした作品を描いている。簡単に言うと、少年少女たちがおいしいものを求めて世界中を冒険する……予定である。
ジャンルとしては、子供向けの異世界ファンタジーといったところか。もちろん、大人でも楽しめるように努めている。
昨今は小説、漫画、ドラマ、アニメ──どのメディアでもグルメをテーマにした作品で溢れていて、もはや飽和状態と言えるかもしれないが、こればかりはどれだけあってもいいのではないだろうか。食べることは生きることと同義、食の数だけ人生があると私は考えている。
かつて本のなかの「おいしい」に魅せられた私が、今度は誰かに「おいしい」を届ける番になりたい。
*****
5月ぐらいにエッセイコンテストに応募するために書いたものです。