好きって言って欲しい?
君の名前は?
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「え?来れない!?」
○月×日(水曜日)晴
今日は前々から申請してやっと手に入れた丸一日オフ日!
思う存分楽しむぞ〜!
今日は朝から念願の
今人気絶頂の男女混合バーチャルアイドルユニット「BBB」のコラボカフェに行く予定だ
「BBB」通称トリプルBは男3人、女3人の6人グループで、アイドルらしからず公式カプが存在している
彼らは恋愛リアリティショーから発展したユニットであることがこの今までにない世界観の要因のひとつだろう
新しい時代のアイドルをまじかに感じ、より良い刺激を貰うべく今日は勉強してくるのだ!
というのが建前で…
私がアイドルマネージャーを希望したのはアイドルヲタクを拗らせたからであり、今回も推しのコラボカフェがただただ楽しみなだけだ
激戦と化すチケット戦争に見事勝利し、ペアチケットを手に入れた私は推しコーデに身を包みルンルンで友人との待ち合わせ場所に到着した
「来られない!?」
そして現在に至る
彼氏との予定が入ったと唯一のオタ友の幼なじみにあっさりと予定をキャンセルされてしまった私は放心状態でその場に立っていた
ねぇキミ可愛いね!待ち合わせ?俺らと遊ぼうよ
遠くのほうで声が聞こえる
ナンパだろうか
ごくごく普通の平均的な容姿だからか
駅前のキャッチにも外国人観光客にも話しかけられやすい
それどころではないというのに
そのまま聞こえないふりで乗り切ろうとしていると
「おい聞いてんのかよ!」
今日はどうやらしつこいナンパ男だったらしい
ようやく男のほうに目線をやると
男の右手が上がるのがみえた
「あれぇ、マネージャーちゃん ?」
パシッと音と共に上から誰かに体重をかけられる感覚がする
振り返るとそこにはナンパ男の手首を掴んだ葵がいた
「この人知り合い?」
葵の問いにぶるぶると首を横に振る
「ふーん」
聞いたくせにあまり興味がないような空返事をした後、葵は男の手を離した
「っなにすんだてめぇ!」
「え、やば、こっちのセリフなんだけど」
そう言って彼は私の手を取り
「話通じないわ、行こ」と耳打ちし走り出した
「おい!」
「しつこいな〜この子は諦めな〜じゃあね〜ナンパ男さんナンパがんばって〜」
彼は振り返りざまにそう言うと
私の手を引いたまま人混みに紛れた
「ごめんね勝手に、マネージャーちゃん大丈夫そう?」
人混みの中を進み少し開けた木陰で
彼はそう言ってわたしのほうをみる
「私は全然、むしろありがとうございます。葵さんこそなんでこんなところに」
「あーいや、ちょっと散歩してたらマネージャーちゃんいたからさ〜」
ふわふわと掴みどころのない話し方をする彼はメンバーの中でも一番不思議な存在だ
愛柚希や悠にはない彼のミステリアスな雰囲気と垣間見えるオタク感がかわいいとファンを狂わせている
「てかキミこそなんでこんなところに?」
そう言われてはたと気が付いた
「あ!そうなんです実は…」
私は彼にことの経緯を離した
「ということでして……葵さんもしこの後お時間あったら一緒にいかがですか!?」
とつい友人にドタキャンされた悲しみで余計な所まで口走ってしまった
「あっ、いや、忙しいですよね〜………」
「のった」
「え?」
間髪入れずにそう答えた彼は携帯でマップを見ながら口早に話す
「あ〜ここから近いね、はやく行こ、予約何時?物販早く並ばないと目当てなの無くなっちゃうよ」
そう言って葵は歩き出してしまった
会場のカフェに着くと予約必須とはいえ既に多くの人で賑わっていた
「予約番号030番さんどうぞ〜」
私の番号だ
係員の指示に従い店内に入る
少しひんやりとした空気が流れる店内は憧れの「BBB」1色に染まっていた
わぁ…!と内心テンションが上がったが葵の手前少し自分を抑えて彼のほうをみる
あれ、いない?
先程まで少し後ろを着いてきていた彼の姿がなく、店内を見渡すと真剣な顔をしながら店内のフォトスポットでこれでもかという低い体勢で写真を取る葵がいた
「ねぇ!みて!コレすごいよ!」
私よりよっほどはしゃぐ彼に思わず笑ってしまった
我慢することは無さそうだ
私も彼に続きパシャパシャと思う存分写真を撮りまくった
やっとのことで席に着いた私たちはコラボメニューを開いた
【コラボ特別!カップルで頼むと限定ランダムチェキ2倍!】
デカデカと書かれた宣伝文句が嫌でも目に入る
さすが公式リア充アイドル……………
「え、ランダムチェキ2倍だってーすごいじゃん」
あえて見ないようにしていたそれを彼はあっさりと口にする
「でも…」
「あー、オムライス嫌いだった?」
「いえ!そんなことは!」
「じゃあ決まりだね」
テキパキと店員さんを呼び流れるように注文する
「このカップルセットで、コラボドリンクは全種お願いします」
「全種!?」
思わず心の声が結構なボリュームで口から出た
彼は不思議そうな顔できょとんとした後
にっこり笑って何事も無かったように携帯に視線を落とした
「えっっ葵さん全種って…!」
「ん〜?あ〜大丈夫大丈夫、マネージャーちゃんは好きなのだけ飲んだらいいよ〜」
そう言って彼はまた携帯に視線を落としてしまった
「お待たせしました〜ッ!末永く爆発しろ☆らぶらぶ光線オムライスにコラボドリンクB1、B2、B3ですね〜!」
コラボカフェらしいむちゃくちゃな名前のオムライスと共にカフェ限定コースター全種、ランダムチェキが6枚も付いてきた
マネージャーちゃんどれんするーと言いながら真剣に色んな角度から写真をとる彼に
どれも美味しそうなので葵さん先に選んでくださいと言うと
「じゃーキミはこれね」
と最推しの概念ドリンクが目の前に置かれた
「え、!なんでわかったんですか?!」
「だって、それ」
と彼は私のほうを指差す
そうだった、今日私は全身を担当カラーでまとめていたのだ
ドリンクの色と服の色が同化している
「同じだねぇ」
そう言いながら彼はオムライスをほうばり
ドリンクも余裕の表情で飲み干してしまった
彼はドリンクに付いていたさくらんぼを口に入れながら、良いの出ると良いねと付いてきたコラボグッズを私のほうへ差し出す
いやそんな!全部頂くなんて!と反論しようとしたところで彼の携帯が鳴った
「あ、、、ちょっとごめんね」
そう言って彼は席を離れしまった
「ごめ、今日ミーティングだったっぽいから行くね」
そう言って
ごゆっくり〜と彼は帰ってしまった
「お会計お願いします」
「お客様…はお会計済んでおりますのでそのままお帰りください。ご来店ありがとうございました。」
え?
葵さん!?
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