眠れない夜は
君の名前は?
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身体がだるい
「風邪だな…」
起きてそうすぐ理解した
起き上がるのがやっとで汗で部屋着もべたべたする
心当たりもあった
昨日は雨の中8時間以上も外に出っぱなしだったのだ
それにしても不甲斐ない
体調管理は基本中の基本
「筋トレメニュー…増やすか…..」
幸いにも今日はオフ日だ
一日寝てたら治るだろうと起きかけた身体を再びベッドへと倒した
「あー、だりぃー…」
ピコン
ピコン
ピコン
ピコン
ピコン
ピコン
ピコン
………愛柚希か
眠りに落ちようとしたまぶたをこじ開け枕元の携帯を探る
《悠くん起きてこないのめずらしーね!風邪でも引いたのー?》
こういうときの愛柚希の勘は鋭い
感動さえ覚える
《だるい》
3文字打って限界がきた
相当熱が上がってきているのかもしれない
朦朧としながら送信ボタンを押したか押してないか分からないまま
リビングでドタバタと仕事に向かったであろう同居人の音を聞きながら意識を手放した
味噌汁のいいにおいがする…
トントントン…
誰かが料理をしている
安心する音で目が覚めた
誰だろう…
今朝より少しだけ言うことを聞くようになった身体を起こして部屋のドアを開ける
するとそこにはキレイに畳まれた新しい部屋着とタオルが置かれていた
誰が置いてくれたのだろう…しかし熱に浮かされた脳みそではそこまで考えるのが限界で、とにかく着替えたいという感情のままに有難く使わせて貰うことにした
「きゃあ!!!」
バタンッ
そのまま廊下に座り込みもぞもぞと着替えようとしていたらリビングのほうから扉の開く音がし、悲鳴が聞こえた
「マネージャー…?」
途中まで腕を通した部屋着で視界を遮られ姿は確認出来なかったが、とりあえずそのまま着替えを済ましリビングのドアを開けた
「あっあっあの!これは愛柚希さんから緊急事態と言って大量の買い物リストと処方箋のような詳しい薬の名称が書かれたメッセージを頂きまして!そ、その申し訳ないと思ったのですが台所もお借りしてっ、あっパジャマは愛柚希さんが用意されていたのですが、悠さんが倒れたとお聞きしたのでっ、あの、これだけ作ったらすぐに帰ろうと」
おろおろと蒸しタオルだろうか、ふわふわ湯気の立ったタオルを握り締めて早口でまくし立てているのは間違いなく俺たちのマネージャーだった
食卓へ目をやるとコチラもまだ湯気の立っているお粥と味噌汁がちょこんと置かれていた
「ごめ、今日全然頭回らないかも。ありがと、これ食べていいの?」
そう言いながらリビングの椅子に手をかけようところでふらっと視界が揺らいだ
「悠さん…!!」
横切ったつもりだったが思ったより足は動いていなかったらしい
反射的にマネージャーにもたれかかってしまった
シャンプーの柔らかな香りが鼻先でひろがる
「すごい熱……まだ横になっていたほうが…」
そう促されるまま、ソファへ横になった
「愛柚希さんから悠さんはギリギリまで言わないから本当は食事を取ってから飲んで欲しいけれど、食前でも飲める薬があるからと言われて薬を買ってありますので、落ち着いたら飲んでくださいね」
マネージャーは水と薬を取ってこようとすぐに立ち上がろうとした
「悠さん…………?」
俺は思わずその手を掴んでいた
自分でも何をしているのか分からなかった
咄嗟に掴んでしまったのだ
離さないと
頭では理解出来ても身体は言うことを聞かない
いかないでほしい
頭の中では
ぐるぐるとその言葉だけが回っていた
朦朧とする意識の中
ふわふわと温かく柔らかいものが触れる感触と時より香るシャンプーの香り
心地よい感覚とともにそのまま意識を手放してしまった
「おーーーーーい」
「そろそろ起きてくんないかなーーーーーー」
身体が軽く、少しスッキリした頭で目が覚める
目の前にはピンクの頭が覗き込んでいた
「あ!やっと起きたぁ〜〜〜」
ピンク頭はニヤニヤしながら人差し指で俺の頬を突いている
「あのぉ〜〜〜そろそろ離して貰えますぅ?」
そう言って何故か繋がれている俺とピンク頭の手を顔の前に持ってくる
「うわっ」
理解した瞬間手を振りほどいた
「うわっ!って何ぃ〜?ひどーい!悠くんが繋いできたくせにぃ」
「はぁ???」
「まったくもう〜甘えん坊の坊ちゃんなんだからぁ〜〜!マネージャーちゃんにもやってもらってないでしょーねー?」
ニヤニヤと終始ソファに肘をつき覗き込む甘ったるい声にだんだんと意識がハッキリしてきた
「っっっばか!んなわけ!」
勢い余って上体を起こした俺と先程まで覗き込んでいた頭がぶつかる
「いってぇぇ〜〜」「いったぁ〜〜」
2つの声が重なった
「もー!急に起きないで!」
「お前こそ近いんだよ!」
「ハイハイ!そんなに元気ならもう大丈夫だねー!っふん!」
もー僕の可愛い顔にたんこぶ出来たらどうすんのさ〜とブツブツ言いながら
熱下がったみたいだけどそれとそれは飲むよーに!あとこれも全部食べちゃってよねーと言いながらピンクは自分の部屋にそそくさと戻っていった
机にはいつの間にか1錠のんだ形跡のある薬と水、桶とタオルに
あと何故かスポーツドリンクのタワー、、?
自分には毛布がかけられていた
「んーーーーーー!」
俺は少し伸びをしてソファを降りた
明日、お礼言わないとな
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