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ほぼほぼウェポン

 ウェポンは子どもに近づき、しげしげと眺める。
「お兄さん、これ、私と同じ武器ですね。私とは違って魔法タイプみたいです」
 ウェポンによれば、ウェポンと同じような武器はいくつかあるらしい。ウェポンは体の一部を変化させるタイプだが、魔法タイプというものもあるらしかった。
「所有者がいるかはわかるか?」
「いないと思います。もしいたとしたら、呼べば主のところへ行くのだから、こんなところで捕まったままにならないでしょう」
「なるほど。では呪符を剥がそう」
 もしかしたら、逃げるための戦力になるかもしれない。
「でも、危ない武器かもしれませんよ」
「その場合はこの場の撹乱に使わせてもらう」
 私は呪符に手を伸ばした。バチッと強い力で弾かれる。指先が赤くなった。強い呪符のようである。私は細心の注意を払って、ゆっくりと呪符を一枚剥がした。呪符には魔力の流れがあり、それを避けて触れればなんとかなる。だが、ものすごく時間がかかってしまった。
「一枚剥がすのにこんなに時間がかかるんじゃ、諦めた方が……」
 ウェポンは辺りを見回して、看守がいないかとそわそわしていた。私は構わず、ウェポンを手招きで近くまで呼び寄せた。ウェポンはしぶしぶ近くに来た。
「コレが一枚剥がれればあとは簡単だ。右手を貸してくれ」
 ウェポンは首を傾げながら、剣になったままの右手を差し出した。私はウェポンの剣の刃に、呪符を裏返しにして貼り付けた。
「ちょっと、変なの貼らないでくださいよ」
「何か違和感は?」
「特にはないですけど」
 ウェポンはどうしていいかわからない様子で、自分の右手を眺めながら、眉根を寄せている。
「それはよろしい。じゃあ、その右手で彼を切りたまえ」
「えっ、でも」
「いいから」
 ウェポンは少し躊躇しながらも、刀を振り下ろした。すると、呪符だけが切れ、子どもの体が露わになる。
「どういうことですか?」
「細かい説明は今はやめておこう。ただ、このタイプの呪符はこれで切れるのだ」
 私は、ウェポンの右手から呪符を剥がした。裏返しの状態なら実に簡単に剥がすことができる。
 子どもは、何も身につけていなかった。下半身を見る限り、少年であるようだ。私は少し悩んで、自分が履いていたズボンを少年に履かせる。少年には少し大きいので、胸の辺りまで隠れた。代わりに私の下半身は心許なくなった。
「少年。私に付いてくるといい」
 少年はゆっくりと頷いた。
「いたぞ!」
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